ジロ・デ・イタリア2023見どころと勝負所をチェック!3回の個人TTと5度の本格山岳ステージでで必須はオールラウンド能力!前半戦から勝負は動く予感、第20山岳TTは最難関も変更の可能性あり

今年のジロ・デ・イタリアがいよいよ開幕する。総合優勝という最高の称号を狙うのはプリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)、元スキージャンプジュニア金メダリストは、ロードレースでもその頭角を現すと、2019年、2020年と年間世界ランク1位となり、ブエルタ・ア・エスパーニャでの3連覇を達成、クラシックからステージレースまで多くの勝利を積み重ねてきた。33歳となり円熟期を迎えているログリッチが、台頭する若手たちを相手に老練な戦略で挑むのか、それとも力業での真っ向勝負を選ぶのか、どちらにしてもログリッチはよほどのことがない限り、総合優勝争いの中心となるだろう。過去ジロには2度出走、2019年の総合3位が最高順位だ。

©RCS
その対抗馬はレムコ・エヴァネポエル(ソウダル・クイックステップ)だ。強豪サッカー大国でU-16 ベルギー代表だった男は自転車競技へと転向すると、あっという間にその才能を開花させた。ログリッチより10歳年下の23歳は、グランツール2度目の出場となった昨年のブエルタ・ア・エスパーニャを制し、また昨年度は世界選手権を制すなど、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を続けている。所属するソウダル・クイックステップは、常勝軍団というスタイルを変えてまでも、エヴァネポエルがグランツールで勝つためのチーム作りを躊躇なく行ってきただけに、その責務は重い。しかしそこは鋼のメンタル、伝説エディー・メルクスに酷評されてもそれに言い返す男は、勝利への躊躇はない。
その2人の対抗馬がUAEチームエミレーツの二人、ジョアオ・アルメイダとジェイ・ヴァインだろう。アルメイダは4度出走したグランツールで3度総合トップ10入りをしており、安定感が光る。ヴァインは昨年のブエルタの山岳ステージで台頭、エヴァネポエルを置き去りにするなど、山岳での強さが光る。また昨年度はEsportsの世界選手権でも優勝しており、戦績こそ少ないがダークホース筆頭ともいえる存在だ。
今年のレースでは第1、第9、第20ステージに用意されているのが個人TTだ。前出の4人はそれぞれ個人TTでそれなりの成績を残しているだけに、致命的な差がつくことは少ないだろう。ただログリッチとエヴァネポエルの二人の速さは別格なだけに、残る二人はどこまでタイム差を抑えることができるかにかかっている。

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注目すべきは第20ステージの個人TTだ。僅か18.6㎞だが、後半8㎞で標高850mから標高1766mまでを駆け上がるのだ。最大勾配22%が複数個所登場するまさに超級山岳ゴールのような上りがTTに組み込まれており、最後の最後、総合優勝を決定づける順位変動も予想されるような勝負所となりそうだ。
その前に広がる10の山岳ステージ、これらをいかにこなしていくかが、第20ステージでの総合優勝争いへのチケットとなる。中級山岳が第3、第4、第8、第12、第18ステージに用意されており、山岳が第7、第13、第15、第16、第19ステージに配されている。大会全体の約半分が山岳ステージとなっており、ここをいかにこなすかが総合順位を大きく左右する。ただこれにはチームワークが必要不可欠であり、チームの総合力が問われる大会となりそうだ。

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前半戦の山場は第7ステージだ。ゴールが標高2130mの頂上ゴールとなり、ここでもまず大きくセレクションがかかるだろう。そして第13ステージでは中盤に、今大会の最高標高到達地点である標高2469mチマコッピが選手たちを迎える。そして第19ステージでは、サメの歯のような大きく激しい山岳のアップダウンをこなし、2000m級の頂上を2度超えた先に、標高2304mの頂上ゴールが待ち構える。

©RCS
その翌日第20ステージの山岳個人TTは決定打となるだけではなく、懸念材料も議論されている。実はこのステージ、前半の平坦と後半の山岳でバイクを使い分ける選手がほとんどとなる。そのためバイク交換が必須となるが、山岳ステージに入ってからは、細い道が続くためにサポートカーの進入ができず、モトバイクによるサポートとなる。つまりこの区間でパンクやメカトラが起きた場合、それが致命的になる可能性があり、UCIと選手会の双方がジロ・デ・イタリアの主催者であるRCSに改善を求めているのだ。今のところまだ変更などは出ていないが、コースそのものが別の場所へと移される可能性もあり、まだまだ流動的な状況だ。
しかしそれでも大会は開幕する。世界最高峰の称号を目指すグランツールがいよいよ開幕する。
H.Moulinette
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