パリ~ルーベ2023:史上最速またもや更新!新世代の異次元高速バトルは運も味方につけたファン・デル・ポエルの頭上に!祖父と父が届かなかった勝利を奪取!フィリップセンとワン・ツー

新世代の選手たちの速さは異次元だ。今シーズンも史上最速を更新するレースが続出する中、この最難関の悪路バトル、55㎞にも及ぶ石畳が含まれた「北の地獄」パリ~ルーベでもその高速バトルが勃発した。そして昨年度更新されたばかりの史上最速をさらに平均時速で1㎞以上も上回る平均時速46.841㎞で制したのはマシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・ドゥクーニンク)、終始攻撃の手を緩めずアタックを繰り返した男が第3セクター(最後から3つ目の石畳)で一緒に抜け出していた最大ライバルのワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ)が不運なパンクに見舞われたことで独走状態となり、そのまま最後まで単騎で駆け抜け、見事自身3つ目のモニュメント、今シーズンだけでもミラノ~サンレモに続く2つ目のモニュメント制覇を成し遂げた。

©Paris Roubaix
新旧シクロ王者の二人にとってはオフロードはお手の物、すでにロードでもその圧倒的速さと持久力でロードレース界屈指の選手となったファン・アールトとファン・デル・ポエルはこのレースでも主人公となった。今シーズンここまで絶不調のソウダル・クイックステップ勢がこれ以上ないほどツキにも見放される中、着々とレースを進めていった。しかしこの日の結果を大きく左右したのはこの二人の勝負だけではなく、チーム力と運だった。ファン・アールトがその右腕でもあり勝利も狙えるクリストフ・ラポルト(ユンボ・ヴィズマ)をたった一度のパンクとそのホイール交換で失い、昨年度の覇者ディラン・ファン・バーレ(ユンボ・ヴィズマ)を落車で失う中、ファン・デル・ポエルは昨日のスヘルデプライスでスプリント勝利を挙げたばかりのヤスパー・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク)、さらにはジャンニ・フェルメーシュ(アルペシン・ドゥクーニンク)の二人と共に先頭集団で走り続けた。

©Paris Roubaix
石畳バトルが本格化する名悪路アレンベルグがこの両者の最初の大きな明暗の分かれ道となった。まずはファン・バーレがここで落車に巻き込まれ追走集団から脱落すると、先頭集団を飲み込んだファン・アールトやファン・デル・ポエルの集団でラポルトがパンク、更に独自のKPAタイヤプレッシャーコントロールシステム搭載のホイール交換に手間取り、大きく後れを取ってしまう。ファン・アールトは何度となく後方を振り返り、追走してくるラポルトを確認するが、このチャンスをアルペシン・ドゥクーニンクが見逃すはずはなかった。ペースを上げるとそのハイペースを維持、ラポルトは一度も集団に迫ることができず、サブエースとしてもアシストとしてもその役割を果たすことができなかった。

©Paris Roubaix
残り50㎞を切るとファン・デル・ポエルは猛烈な攻撃を繰り返す。立て続けにアタックを決めると、気が付けば先頭集団は僅か7名にまで絞られていた。マッズ・ペデルセン(トレック・セガフレド)、フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス)、ステファン・キュング(グルーパマFDJ)、ジョン・デゲンコルブ(チームDSM)に加え、フィリップセン、ファン・デル・ポエル、ファン・アールトに絞られたバトルは、ここからなおもハイペースを維持し続けたまま次々と石畳セクションをクリアしていく。

©Paris Roubaix
そして残り16,4㎞、名物のカルフール・ド・ラルブルでデゲンコルブに不運が訪れる。アタックを仕掛けようとしたファン・デル・ポエルだったが、フィリップセンが左側の進路を譲ろうと右へと避けたが、ファン・デル・ポエルと息が合わずファン・デル・ポエルはフィリップセンが避けた側を走行しており外側へとはじき出されてしまう。するとそのさらに外側にいたデゲンコルブは行き場を失い落車、久しぶりに優勝争いに絡んでいた元パリ~ルーベ王者は為す術なく路肩にたたきつけられてしまった。

©Paris Roubaix
これに怯んだアルペシン・ドゥクーニンクの二人をよそに、ファン・アールトがここでアタックを仕掛ける。しかしファン・デル・ポエルはこれにきちんと反応、一気にこの二人が後続との差を広げていく。テクニカルな石畳のコーナーを高速で駆け抜けていく二人だったが、最後の最後、石畳を抜ける手前でファン・アールトがこの日二度目のパンクを喫してしまう。これで一気に有利になったファン・デル・ポエルはそのままさらに加速、単独でゴールへと突き進んでいく。ホイール交換を余儀なくされたファン・アールトは何とか交換を終えフィリップセンらと合流するが、誰も積極的にファン・デル・ポエルの追走を行わない。逆転へ一縷の望みを賭け、ファン・アールトは猛追を仕掛けるが、ファン・デル・ポエルとのTT能力の差は僅か、そのタイムは縮まることはなかった。

©Paris Roubaix
ファン・デル・ポエルは独走で勝利、祖父と父がそれぞれ10度以上もパリ~ルーベのトップ10入りを果たしながら最後まで立てなかったその頂点、自らの力と運で掴みとった。2位争いも白熱したが、ファン・アールトの背後で脚を温存で来たフィリップセンが2位、これでアルペシン・ドゥクーニンクはワン・ツーフィニッシュとなった。ファン・アールトは3位に沈み、ビッグタイトルを逃した。
「今日は最後までファン・アールトとの真っ向勝負になると思ったよ。でも彼がパンクして一人になってしまった。これもまたレース、運と実力の両方が揃わないと勝てないんだよ。今日の僕にはそれがどちらもあったんだよ。」ファン・デル・ポエルは満足げな表情で語った。

©Paris Roubaix
そして落車でチャンスを逸したデゲンコルブはゴール後に悔し涙を流し、優勝したファン・デル・ポエルと2位のフィリップセンがそれに声をかけるシーンも見られた。
パリ~ルーベ2023順位
優勝 マシュー・ファン・デル・ポエル(アルペシン・ドゥクーニンク) 5H28’41”
2位 ヤスパー・フィリップセン(アルペシン・ドゥクーニンク) ∔46”
3位 ワウト・ファン・アールト(ユンボ・ヴィズマ)
4位 マッズ・ペデルセン(トレック・セガフレド) ∔50”
5位 ステファン・キュング(グルーパマFDJ)
6位 フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス)
7位 ジョン・デゲンコルブ(チームDSM) +2’35”
8位 マックス・ワルシェイド(コフィディス) ∔3’31”
9位 レックス・ローレンツ(インターマルシェ・サーカス・ワンティ) ∔3’35”
10位 クリストフ・ラポルト(ユンボ・ヴィズマ) ∔4’11”
H.Moulinette
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