UCIシクロクロス世界選手権2023:2強がロードシーズン前に激突!一騎打ちはゴールスプリント勝負でファン・デル・ポエルに軍配!シクロ界はロード界でも活躍する選手たちの舞台にUCIシクロクロス世界選手権2023:2強がロードシーズン前に激突!一騎打ちはゴールスプリント勝負でファン・デル・ポエルに軍配!シクロ界はロード界でも活躍する選手たちの舞台に
マシュー・ファン・デル・ポエル(オランダ)とワウト・ファン・アールト(ベルギー)はかつてシクロクロス会を牽引してきた2強だった。しかしその二人はそれぞれロードレースへとシフトし、ロードレース界でも大成功を収めている。しかしそんな二人はロードシーズン終了後、僅かかな休息ののち3大シクロクロスシリーズ(ベルギー国内戦、ヨーロッパ戦、UCIワールドカップ)にそれぞれスポット参戦、かつてはそれぞれのシリーズチャンピオンの称号を欲しいままにしてきた二人はそれぞれに勝利を積み重ね、大本命の世界チャンピオンの称号にターゲットを絞ってきた。
2人が揃って欠場した昨年を除き、2015年度以降2人でファン・アールトが3度、ファン・デル・ポエルが4度世界チャンピオンの証、アルカンシエルを獲得しており、この2人が今年も世界の頂点を目指す戦いの主人公となった。その2人が欠場した昨年度制したトム・ピドコック(イギリス)がロードレースに専念するため欠場となったことで、レースは完全にサイクルレース界の至宝ともいえる2強が躍動の舞台となる。
序盤からハイペースで展開したレースは、中盤で早くもファン・アールトとファン・デル・ポエルの一騎打ちの様相を呈する。その2人から遅れ、イーライ・イザビット、ラース・ファン・デル・ハール(オランダ)が激しく3位争いを繰り広げる。レースは大きな波乱がないままこのまま最後まで進んでいく。そうなると精舎意を分けるのはゴール前僅かなターマック区間(舗装路)でのスプリントとなる。
最終ラップはお互い激しい位置取りの応酬となったが、最後の最後、最終コーナーからの立ち上がりで、駆け引きすることなくファン・デル・ポエルがスプリントを開始する。それに反応したファン・アールトだったが立ち遅れたスプリントでは成す術がなかった。渾身のガッツポーズを決めたファン・デル・ポエルに対し、ファン・アールとはがっくりとうなだれた。
「超リラックスしてたよ。それが勝因だと思うよ。うまくは言えないけど、ここのコースも熟知していたし、最初からこのスプリント勝負をイメージしていたんだよ。準備万端だったけど、やはり背中の調子が今一つで、一度リセットして再調整をしてきたんだ。この勝利の為に準備してきたから、結果が出せてとても嬉しいよ。この10年間ファン・アールトと最強のライバルとしてやってこれたのは、多くの人たちの声援と応援があったからこそだよ。でも僕らのストーリーはまだ終わりじゃない、まだこれからも続いていくよ。これからのロードレースでも二人で優勝を競い合うことがあると思うよ。」ファン・デル・ポエルは楽しげに語った。
一方で敗北したファン・アールトは、「完全に出し抜かれたよ。勝負所で動かなかった彼を見て、状況が理解できなかった。そして予想していないタイミングで先にスプリントをされてしまったので、まったく対応できなかったよ。そのタイミングでギアを上げたんだけど、ギアが全く足りなかった。それも読まれて仕掛けられたんだと思う。ロードシーズンは全く別物、この敗北を引きずることはないよ。」と完敗を認め、そしてロードシーズンへ向け気持ちを切り替えた。
シクロ出身のロード選手たちが多く活躍する現在、その選手たちが完全競技移籍ではなく、引き続きシクロにも出場し続ける2足の草鞋が定着しつつある。この10年シクロ界を引っ張ってきた2人、さらには昨年の世界王者ピドコックとファン・デル・ポエルに至ってはMTBにも参戦しており3足の草鞋だ。専門を一つに絞らないマルチな選手たち、野球でいえばメジャーリーグの大谷のような選手たちはこれからますます増えていくのかもしれない。
UCIシクロクロス世界選手権
金メダル マシュー・ファン・デル・ポエル(オランダ)
銀メダル ワウト・ファン・アールト(ベルギー)
銅メダル イーライ・イザビット(ベルギー)
4位 ラース・ファン・デル・ハール(オランダ)
5位 マイケル・ファン・トゥーレンハウト(ベルギー)
6位 ヘルベン・キュイペルス(ベルギー)
7位 ニルス・ファンデプット(ベルギー)
8位 ローレンス・スウィーク(ベルギー)
9位 キャメロン・メイソン(イギリス)
10位 クレメント・ヴェントゥリーニ(フランス)
H.Moulinette