ブエルタ・ア・エスパーニャ2022St.5:ソレルが間一髪逃げ切り勝利!総合リーダーはモラードが獲得、ユンボ・ヴィズマは無理せず総合の座を明け渡す(ダイジェスト動画あり)
逃げ切りは難しいが、そこにステージ勝利以外の要因が関わったとき、それはさらに複雑化する。目の前、わずか2秒差に逃げる選手が見えていながら、誰も仕掛けることをせずみすみす勝利を逃してしまった選手たち、戦略ミスとも言えるが、結果的には駆け引きで動きが停滞したことにより、自らの勝利のチャンスをも逃してしまった。そんな後続での駆け引きのおかげで勝利を手にしたのはマルク・ソレル(UAEチームエミレーツ)、迫りくる波は、ゴール前で失速し、それを確認したソレルは渾身のガッツポーズを決めた。
そしてソレルの背後の逃げ集団で勃発した総合争いでは、メイン集団が逃げ切りを容認したことにより、ルディー・モラード(グルーパマFDJ)がマイヨ・ロホを獲得、4年ぶりのブエルタでの総合リーダージャージ獲得となった。昨年度はブエルタで落車の際に外傷性肺気胸によりリタイア、その後の長期離脱を余儀なくされただけに、喜びもひとしおだ。「3月にレースに復帰できるまでにかなり時間を要したし、そもそもベストな状態まで体が戻るのかさえ分からず不安だったんだ。だからまたこうして最高の結果を手にすることができたことは感慨深いよ。」モラードは喜びをかみしめた。
この日は5つの山岳ポイントがあるハードなステージ、逃げが決まる公算は高かった。大会序盤ということもあり、ユンボ・ヴィズマが総合リーダージャージ固執する理由もなく、大会の最終的な総合順位の脅威になる選手が逃げない限り、これを容認すると思われた。
そんなステージの逃げはスタートから70㎞ほどまで決まらず、しかもメイン集団からアタックを決め逃げへと合流を次々とはたし、最終的にはソレルが合流し19名にまで膨れ上がった。この日はヴィクトル・ランゲロッティ(ブルゴスBH)が積極的な動きで山岳ポイントを積み重ね続けた。それと同時にフレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス)とモラードが僅差で総合バトルを展開することとなる。
メイン集団は早々と逃げ切りを容認する中、逃げ集団では脱落者を出しながら繰り返しアタックが発生する。ライトとモラードはお互いを振り落とそうと仕掛け続けるが、それに乗じてステージを狙う選手たちも動きを見せる。ソレルは一旦はその犠牲となり後れを取るも、その後驚異的なと反応力で先頭に躍り出ると、そこからゴールまで単独走を続けた。
それを追走する面々は何度となく分裂と合流を繰り返したが、それぞれの思惑が大きく影響し、目の前のソレルを捉えきることができなかった。ソレルと総合リーダーとなったモラードが喜びを爆発させる一方、何も結果を手にすることができなかった逃げのメンバーは一様に疲れの表情を見せた。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第5ステージダイジェスト
ブエルタ・ア・エスパーニャ第5ステージ順位
1位 マルク・ソレル(UAEチームエミレーツ) 4h15’23”
2位 ダリル・インピー(イスラエル・プレミアテック) +04”
3位 フレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス)
4位 ルディー・モラード(グルーパマFDJ)
5位 ローソン・クラドック(バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
6位 ニキアス・アルント(チームDSM)
7位 ヴィクトル・ランゲロッティ(ブルゴスBH)
8位 ヴラディミール・プロンスキー(アスタナ・カザフスタン)
9位 グレゴール・ミュールベルガー(モビスター)
10位 ロジャー・アドリア(エキッポ・ケルン・ファルマ)
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 ルディー・モラード(グルーパマFDJ) 16h07’22”
2位 フレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス) +02”
3位 ニキアス・アルント(チームDSM) +1’09”
4位 ローソン・クラドック(バイクエクスチェンジ・ジェイコ) +2’27”
5位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) +4’09”
6位 セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ) +4’22”
7位 パヴェル・シヴァコフ(イネオス・グレナディアス) +4’35”
8位 タオ・ゲイガンハート(イネオス・グレナディアス)
9位 レムコ・エヴァネポエル(クイックステップ・アルファヴァイニル) +4’36”
10位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス) +4’42”
H.Moulinette