ジロ・デ・イタリア2022第9ステージ:ヒンドリーが頂上スプリントを制しジロ通算2勝目!ロペスは踏ん張り切りマリアローザキープ!S.イェーツ脱落(ダイジェスト動画あり)


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大本命なきグランツールでは山岳ステージの一つ一つが勝負の場となる。そしてブロックハウスの頂上決戦は選手たちをふるいにかける場となり、総合順位も大きく動くステージとなった。そんな山頂を制したのはジェイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグロエ)、有力候補たちによる山岳スプリントを制しうれしいジロ通算2勝目を上げるとともに、総合でも20秒差の5位までジャンプアップを果たした。このステージで総合順位は大きくシャッフルはされたが、ペドロ・ホァン・ロペス(トレック・セガフレド)は総合リーダーの座を守り切りマリアローザを死守し、ガッツポーズを決めた。対して総合優勝に最も近いかと思われたサイモン・イェーツ(バイクエクスチェンジ・ジェイコ)浜坂の脱落、大きく順位を下げ総合優勝争いが絶望的となった

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第9ステージは総獲得標高が5000mを超えるハードなレース、潰しあいになることが予想された。この日の逃げは山岳賞ジャージ奪取をもくろむディエゴ・ローザ(エオロ・コメタ)が何度となく仕掛ける展開となった。そして逃げの最後の一人として最後までどん欲に走り続けたが、にらみ合いと牽制を始めたメイン集団のペースアップの前に、残り17㎞で飲み込まれていった。
そしてメイン集団はいよいよブロックハウスの頂上バトルに動く。リチャード・カラパズ擁するイネオス・グレナディアスがペースアップを図李ライバルたちにプレッシャーをかけると、次々と選手たちが脱落していく。ゴールまで12㎞以上を残し、まずは上位候補の一角、ギウリオ・チッコーネ(トレック・セガフレド)が犠牲になる。そして1㎞後に予想外の光景が目に飛び込んでくる。今大会ここまで絶好調で、本命視されていた イェーツが遅れだしたのだ。実は第4ステージでの落車による膝が芳しくなく、このステージでその膝がついに悲鳴を上げた。さらにウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグロエ)も脱落、3人の総合の夢はここで潰えることとなった。総合リーダージャージを着用するロペスも残り8㎞で脱落、ここから粘りと我慢の走りとなる。

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残り4.5㎞、局面は大きく動く。カラパズがアタックを仕掛け先頭集団は粉砕される。ロメイン・バルで(チームDSM)とミケル・ランダ(バーレーンヴィクトリアス)が抜け出していく。ここに残り3㎞でヒンドリー、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(インターマルシェワンティゴベール・マテリオー)、ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)が合流を果たした。
残り1.5㎞でランダがアタック、しかしカラパズ、バルデらはそれにきっちりと対応する。揺さぶりをかけ続けるもどれも決定打にはならず、6人はそのままゴールスプリントへと向かっていく。揺さぶりをかけあう中、残り700mでヒンドリーが先頭に泥出でると、そのまま自分のペースでライバルたちを引き連れていく。そして残り300mを切り真っ先にスプリントを開始、そのまま追いすがるカラパズとバルデを僅差抑えてブロックハウスを制した。

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「生き残ることだけを考えていたよ。あとはゴール前最後のコーナーを先頭で入りたかったんだ。それだけに専念していたよ。本当に去年からしんどかったから、ようやくそこから抜け出られたよ。」ヒンドリーは安堵と喜びの表情を見せた。
総合勢はこれで大きなシャッフルとなった。 総合リーダーのロペスは遅れながらもかろうじてマリアローザをキープしたが、総合5位にヒンドリーがジャンプアップ、さらにステージ2位のバルデが総合3位に、ステージ3位のアルメイダが総合2位となり、さらに1分以内に8名がそろう混戦模様となった。
ジロ・デイタリア第9ステージダイジェスト
ジロ・デイタリア第9ステージ順位
1位 ジェイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグロエ) 5h34’44”
2位 ロメイン・バルデ(チームDSM)
3位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス)
4位 ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス)
5位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)
6位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(インターマルシェワンティゴベール・マテリオー) +03”
7位 エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +16”
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ・カザフスタン) +34”
9位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +46”
10位 サイメン・アレンスマン(チームDSM) +58”
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 ペドロ・ホァン・ロペス(トレック・セガフレド) 37h52’01”
2位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツ) +12”
3位 ロメイン・バルデ(チームDSM) +14”
4位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス) +15”
5位 ジェイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグロエ) +20”
6位 ギヨーム・マルタン(コフィディス) +28”
7位 ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス) +29”
8位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(インターマルシェワンティゴベール・マテリオー) +54”
9位 エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +1’09”
10位 ペッロ・ビルバオ (バーレーン・ヴィクトリアス) +1’22”
H.Moulinette