自転車ヨーロッパ選手権:移籍確定のクリストフが念願のビッグタイトル獲得!僅差の写真判定はわずか数cm差の激戦!
自転車界ではまだ新しいタイトルとも言えるヨーロッパ選手権、時期的にグランツールの間で行われ、また他のレースとスケジュールが重なることもあり、あまり多くの主力選手が出場しているとはいえなかった。でもだからこそ「そのようなシーンではしっかりと勝ちきらねばならない」、そう常づね口にする男がきっちりとヨーロッパチャンピオンジャージを獲得してみせた。先日UAEチームエミレーツへの移籍を発表したばかりのアレクサンダー・クリストフ(ノルウェイ)が見事にスプリント勝負を制してみせた。
勝負は僅差だった。最後は写真判定にも連れたが、ゴール手前1mほどでクリストフが逆転、僅か数cmの差でエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)を抑えての勝利となった。ゴール直後にヴィヴィアーニは進路を塞がれたとして手を挙げその後ビデオ判定になったが、斜行や進路妨害には当たらないとしてクリストフの勝利が確定した。
「本当に勝てて嬉しいよ。こんな僅差で勝てるなんてスリリングだろ。でもそれは勝てたから言えるんだけどね。とにかくイタリアがいい面子を揃えてヴィヴィアーニをサポートしていたから、だから少し早めに仕掛けたんだよ。僕は進路を塞いだつもりはなかったけど、彼が針穴を通すような感じで狭い右側をこじ開けてきたんだよ。でもあの隙間は体を振ってスプリントするには十分じゃないからね。僕もあれ以上彼にスペースは与えなかったんだよ。僕はあくまでも直線的にスプリントをしていたから問題なかっただろ。」クリストフは勝利を喜んだ。
今シーズンここまで結果が残せていなかったクリストフ、クラシックとツール・ド・フランスで結果が残せないでいたが、ツール後のレースで勝利を収めると、その勢いのままヨーロッパチャンピオンにまで上り詰めた。今年は世界選手権を狙うと公言しており、それに合わせてきっちりと調子を上げてきているのは流石と言えるだろう。
ワールドツアーレースと違い、駆け引きというよりはお互い国同士での力の応酬が繰り返されるレースとなった。そして残り7kmを切るとハイペースで常に誰かが先頭に少しだけ飛び出しているような状態が繰り返される。イタリアとフランスの意地の張り合いに、ノルウェイも加わり、残り1kmではエドヴァルド・ボアッソン・ハーゲン(ノルウェイ)ガ果敢にアタックを仕掛ける。しかし後続がそれを許すはずもなく残り1kmで捉えると、そのままスプリントへとなだれ込んで行く。そしてクリストフは同胞の意志を受け継ぐかのごとくスパート、そのままビッグタイトルを手にしてみせた。
これでこれからの一年間、ヨーロッパチャンピオンジャージでクリストフは走ることになる。この勝利は新チーム移籍へ向け、最高の手土産となった。
ヨーロッパチャンピオンシップ ロード男子
1位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェイ) 5h41’10”
2位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)
3位 モレーノ・ホフランド(オランダ)
4位 パスカル・アッカーマン(ドイツ)
5位 ルーカ・メズゲック(スロヴェニア)
6位 エドワード・ソーンズ(ベルギー)
7位 アクセル・ノメーラ(エストニア)
8位 イヴァン・ガルシア(スペイン)
9位 パウェル・フランチャック(ポーランド)
10位 ミカル・コラー(スロヴァキア)
H.Moulinette