ブエルタ・ア・エスパーニャ2021第19ステージ:マグナス・コート・ニールセンがまたしても勝利、逃げからのスプリントバトルを制し今大会3勝目!(ダイジェスト動画あり)

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©A.S.O

合計21ステージしかないブエルタ、200人近い選手たちが競う中で、その勝利を手にすることができるのは僅か一握り、誰もが勝利を狙うハングリーさ全開の中で、勝利を挙げることは至難の業だ。そんな中マグナス・コート・ニールセン(EFエデュケーションNIPPO)は異なる勝ち方で合計3勝目、チームにとっても、本人にとっても大成功と言える大会となっている。

第19ステージではスプリントステージになることは予想されたが、スタート直後から飛び出した逃げの生き残小集団によるスプリントに持ち込まれた。チームメイトがその中にいたことは最大のアドバンテージ、そのおぜん立てを完璧に活かしきったコート・ニールセンが快心のスプリントでガッツポーズを決めた。

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191.2㎞の第19ステージは、スプリンターたちにとっては最後の勝負の場となる。3つの山岳がある為、まったくの平坦ステージではないが、それでも高速で貪欲に勝利を狙ってくる。ステージはスタート直後から選手たちの動きが激しく、20名の選手たちが逃げグループを構成する。今大会すでに2勝を挙げているコート・ニールセンはさらなる勝利の積み重ねを狙いこのグループにチームメイトのローソン・クラドック(EFエデュケーションNIPPO)とともに飛び出していく。

この動きに加え、ポイント賞ジャージのファビオ・ヤコブセン(ドゥクーニンク・クイックステップ)が早々と脱落したことで、ドゥクーニンク・クイックステップが積極的な追走をしなかったことが、先頭の逃げには大きなプラスに働いた。チームバイクエクスチェンジとチームDSMがその役割を担ったが組織力の差は歴然としており、逃げのメンバーの背中は近くて遠い。

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スプリントステージはちょっとしたことで落車が起きうる危険なステージでもあるハイスピードがゆえにそのダメージも大きい。昨日の山岳で総合10位までジャンプアップを果たしたルイス・メインチェス(インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー)だったが、残り43㎞で起きた集団前方の落車で地面に強く叩きつけられた上に、後続の選手がそれに激しく接触、脳震盪を起こし道路上で倒れたまま全く動くことができなかった。チームにとっては成功と言える大会になっているが、総合リーダージャージを失った2度の落車が起因、そして総合トップ10でのリタイアも落車が起因と泣き笑いの激しい大会となっている。

先頭の逃げでも激しいアタック合戦が繰り広げられたが、なかなか抜け出しきるには至らない。残り7名にまで人数を減らした集団は、背後間近に迫る集団のピリピリとした圧力を感じながらも、自分たちの勝負に徹する。残り20㎞でリードはわずか30秒ほど、しかしここから驚異の粘りを見せる。一度は20秒まで縮まったその差も、残り10㎞では再び30秒、そしてそこから一切変わることがなかった。

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追いきれなかった後続集団に対し、先頭ではクラドックがコート・ニールセンの為に全力を出し切ってリードアウト、そして残り200mで一斉に始まったスプリントは、誰よりもスプリントでの勝負勘が冴えわたっているコート・ニールセンに軍配が上がった。

「これが覚めない夢であり続けてほしいよ。最高の勝利だよ。全てはクラドックのおかげだよ。彼がスピードを落とさず後続との距離を維持し続けてくれたおかげで逃げ切れたし、スプリント勝負に持ち込めたんだよ。そ祖のクラドックの走りのおかげで、最終盤逃げからも誰もアタックを仕掛けられなかったんだよ。正直後続との差が僅かだったんで、いつ追いつかれるかと思っていたんだ。とにかく今日の勝利はクラドックなしには無し得なかったよ。」コート・ニールセンはクラドックの働きを讃え続けた。

ブエルタ・ア・エスパーニャ第19ステージダイジェスト

ブエルタ・ア・エスパーニャ第19ステージ順位
1位 マグナス・コート・ニールセン(EFエデュケーションNIPPO)   4h24’54”
2位 ルイ・オリベイラ(UAEチームエミレーツ)
3位 クイン・シモンス(トレック・セガフレド)
4位 アンドレア・バジョーリ(ドゥクーニンク・クイックステップ)   +
5位 アンソニー・ルー(グルーパマFDJ)
6位 アンドレア・クロン(ロット・ソウダル)
7位 ローソン・クラドック(EFエデュケーションNIPPO)   +05”
8位 アルベルト・ダイニース(チームDSM)    +18”
9位 マッテオ・トレンティン(UAEチームエミレーツ)
10位 アレクサンダー・クリーガー(アルペシン・フェニックス)

ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)   73h24’25”
2位 エンリック・マス(モビスター)   +2’30”
3位 ミゲル・アンヘル・ロペス(モビスター)    +2’53”
4位 ジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス)   +4’36”
5位 イーガン・ベルナル(イネオス・グレナディアス)    +4’43”
6位 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアス)   +5’44”
7位 セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ)   +6’02”
8位 ジーノ・メイダー(バーレーン・ヴィクトリアス)   +7’48”
9位 ギヨーム・マルタン(コフィディス)    +8’31”
10位 ダビ・デ・ラ・クルス(UAEチームエミレーツ)   +9’24”

H.Moulinette