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山岳頂上決戦にふさわしい激しいバトルの末、大会3連覇を狙う絶対王者、プリモズ・ログリッチ（ユンボ・ヴィズマ）が貫録の独走勝利を飾った。ライバルたちも積極的な仕掛けを見せたが、結局ログリッチの妥協なき攻撃的姿勢の前に屈することとなった。昨日までの総合首位オッド・クリスチャン・エイキング（インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー）は悪天候の中で落車を避けようとして自らが落車、なんとか総合トップ5死守を狙っていたものの、大きく順位を落とし、トップ10陥落となった。

ついに迎えた山岳での直接対決、注目はログリッチとユンボ・ヴィズマがどのようにしてライバルたちの攻撃を受け止めるかというところにあった。モビスターのエンリック・マスとミゲル・アンヘル・ロペス、イネオス・グレナディアスのイーガン・ベルナルとアダム・イェーツとの直接対決に加え、ダークホースたちの一発逆転劇を狙う動きなど、様々な展開が予測されたが、結局ログリッチの圧倒的な個人の力が明確になるステージとなった。「リスク無くして勝利はない」と語るログリッチは、悪天候の中でも躊躇なく攻め続け、独走でゴールするとともに、一気にマイヨ・ロホを奪還、さらには最大ライバルたち全員にタイム差をつける見事な勝利を挙げた。

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雨と霧が選手たちを苦しめた第17ステージの山岳は、スタートから50㎞を超えようやく逃げが決まった。これまでステージ2勝を挙げているマイケル・ストーラー（チームDSM）はこの日も元気に飛び出していく。さらにはエースから降格となり、ステージ優勝狙いのミケル・ランダ（バーレーン・ヴィクトリアス）もアタックを仕掛けるが、ユンボ・ヴィズマはこのステージを総合バトルの重要なステージと見ており、簡単に逃げ切りが容認される気配はなかった。

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そしてペースアップを繰り返しメイン集団は削られながらも逃げを早々と吸収、すると残り61㎞の山岳の上りで新人賞ジャージを身に着けるベルナルが仕掛ける。するとこれに反応できたのはログリッチだけだった。ログリッチの右腕のセップ・クス（ユンボ・ヴィズマ）でさえ、「二人のペースが速すぎて何もできなかった」と語るほど、2人の攻撃は圧倒的だった。

そして下りに入るとさらにログリッチとベルナルのペースは上がっていく。ログリッチはベルナルのアタックに気を配り、ついていくだけでよいものを、あえてローテーションをして先頭でさらにペースを上げていく。この攻撃的な走りの前にライバルたちは必死に追いすがることしかできなかった。

下りではマイヨ・ロホのエイキングが落車していたアレクサンダー・ヴラソフ（アスタナ・プレミアテック）らが視界に入り、それを避けようとして自ら落車、チームとしてはレイン・タラマエ（インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー）も落車をきっかけに総合リーダージャージを失っており、痛い落車となった。

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ログリッチとベルナルは後続との差を2分以上にまで広げるが、バーレーン・ヴィクトリアスが新エースのジャック・ヘイグの為に猛追を仕掛け、1分20秒ほどにまでその差は縮まっていく。さらにユンボ・ヴィズマ、イネオス・グレナディアスらが選手たちを数名ずつ残す中で、総合2位のギヨーム・マルタン（コフィディス）も粘り切れずついに脱落していく。

先頭では最後の上りに入っても手を緩めない二人だったが、残り7.6㎞でつにベルナルが力尽生きる。ログリッチとの差が開くと、そのままずるずると後退していく。ログリッチはぐんぐんと加速、ベルナルのさらに後方、メインライバル達とのタイム差も広げていく。

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ログリッチはそのまま最後まで独走、ゴールではガッツポーズを決めた。そしてベルナルは残り600mで加速してきたクスにかわされ、さらにマスらに吸収される。2位集団はそのままスプリント勝負となり、クスが2位でチームとして難コースでのワン・ツーを達成した。そしてロペスが3位、4位にアダム・イェーツが入った。

「自転車レースとはリスクとの戦いだよ。何か起きうるのがレース、だから仕掛けるんだよ。今日はきつかったけど、”これぞレース”という勝負ができたと思うよ。ベルナルに対しては仕掛けたんじゃなくて、ペースを落とすまいとしてテンポを上げたんだよ。そしたらベルナルがついてこなかったんで、あとはそのままのペースを刻んでいったんだ。」ログリッチはただただ強かった。

そして敗北したベルナルも、「ログリッチの勝利に貢献できてよかったよ。彼の走りは勇敢そのものだった。攻めなくてもいいのに積極的に攻撃的な姿勢を崩さず、僕に反応しただけではなく一生にローテーションして攻め続けたからね。」と語り、勝者に尊敬の念を見せた。

ブエルタ・ア・エスパーニャ第17ステージダイジェスト

ブエルタ・ア・エスパーニャ第17ステージ順位
1位　プリモズ・ログリッチ（ユンボ・ヴィズマ）　　　4h34’45”
2位　セップ・クス（ユンボ・ヴィズマ）　　　　＋1’35”
3位　ミゲル・アンヘル・ロペス（モビスター）
4位　アダム・イェーツ（イネオス・グレナディアス）
5位　ジャック・ヘイグ（バーレーン・ヴィクトリアス）
6位　エンリック・マス（モビスター）
7位　イーガン・ベルナル（イネオス・グレナディアス）
8位　ジーノ・メイダー（バーレーン・ヴィクトリアス）
9位　ルイス・メインチェス（インターマルシェ・ワンティゴベール・マテリオー）　　　＋2’29”
10位　クレメント・シャンプシン（AG2Rシトロエン）　　　＋2’44”

ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位　プリモズ・ログリッチ（ユンボ・ヴィズマ）　　　68h42’56”
2位　エンリック・マス（モビスター）　　　＋2’22”
3位　ミゲル・アンヘル・ロペス（モビスター）　　　　＋3’11”
4位　ジャック・ヘイグ（バーレーン・ヴィクトリアス）　　　＋3’46”
5位　ギヨーム・マルタン（コフィディス）　　　　＋4’16”
6位　イーガン・ベルナル（イネオス・グレナディアス）　　　＋4’29”
7位　アダム・イェーツ（イネオス・グレナディアス）　　　＋4’45”
8位　セップ・クス（ユンボ・ヴィズマ）　　　＋5’04”
9位　フェリックス・グロスチャートナー（ボーラ・ハンスグロエ）　　　　＋6’54”
10位　ジーノ・メイダー（バーレーン・ヴィクトリアス）　　　＋6’58”

H.Moulinette