東京五輪男女個人TT:男子はログリッチが念願の金メダル!銀も所属チームメイトのデュムラン、女子はロードで銀のファン・フルーテンが金メダルで今大会2個目
個人TTはチーム力ではなく力と力の真っ向勝負、実力もはっきりと差が出るが、それ以外にも気候などへの対応力など、様々なスペックが問われる。高温多湿と、サーキットという特性上路面からの照り返しによる熱など、選手たちを苦しめる要因がコース設定以上にあった今大会、個人TT男子はユンボ・ヴィズマ所属のプリモズ・ログリッチ(スロベニア)とトム・デュムラン(オランダ)が1位、2位を独占、チームとしてロードのワウト・ファン・アールト(ベルギー)に続いて、合計3つのメダル獲得(金1銀2)となった。今やワールドツアー最強チームとなりつつあるユンボ・ヴィズマがその力を遺憾なく発揮して見せた。そして女子ではロードレースでアンナ・ケーゼンホファー(オーストリア)の逃げ切りに気づかず、ガッツポーズもまさかの2位に終わったアンネミエック・ファン・フルーテン(オランダ)が今回こそ正真正銘の金メダルを獲得した。
44.2㎞で行われた男子個人TTは、ログリッチの圧勝ともいえる快走が際立った。銀メダルのデュムランには1分1秒のタイム差をつけ、銅メダルのローハン・デニス(オーストラリア~イネオス・グレナディアス)にも1分3秒の差をつけた。実は2位から5位までが僅か4秒の中にひしめき合う大混戦、4位のステファン・キュング(スイス~グルーパマFDJ)、5位の現個人TT世界チャンピオンのフィリッポ・ガンナ(イタリア~イネオス・グレナディアス)はそれぞれ1秒と2秒メダルに届かなかった。
「ここしばらくいろいろきつかった(ツール・ド・フランスの落車)から、勝ててうれしいよ。とにかくいかに冷静に落ち着いていられるかだったんだ。家族や仲間に思いを馳せ、自分を信じることで乗り切れたよ。その結果が最高の色のメダルになったね。今日阿蒙スタートからゴールまで全力でこぎ続けるだけだったよ。」ログリッチは様々な思いを抱え、ここしばらく続いた不運から力で抜け出した。
「今日はメダル獲得が目標だったんだ。でも実際に取れるとは思っていなかったよ。今日はできる限りのことはやった。その結果がこの銀メダル、満足しているよ。僕の中では金メダルと同じ価値のある銀メダルだよ。」メンタルコンディションに苦しんできたデュムランも、この結果でまたレースに集中できるかもしれない。
そして女子は38歳の大ベテラン、アンネミエック・ファン・フルーテン(オランダ)が、こちらも圧勝で金メダルを獲得した。22.1㎞で行われた女子のレース、こちらも2位に1分近いタイム差でのメダル獲得となった。その2位、銀メダルを獲得したのはマーレン・ロイサー(スイス)、だれも予測していなかった伏兵が、世界の大舞台で大仕事をやってのけた。これで先日のMTBクロスカントリーの3つのメダルに加え、スイス女子は4つのメダルを獲得した(男子も含めると5つ)
「ロードの後、モチベーションもコンディションも最高の状態を維持できたわ。まああのレース金メダルを獲得できていたらもっと皆が騒いでいただろうから、でもそうならなかったことでより集中できたの。とにかくSNSとかの情報は遮断して、余計なことを考えないようにしたわ。私は完璧じゃないけど金メダルを取れた。いつも金メダルを取るにはもっとストイックに打ち込んでいなければならないと思っていたけど、私はそこまで人生すべてを自転車に捧げていない。でも人生の長い旅路の中で最高のボーナスになったわ。金メダルが自分首から下がっているのを見てもまだ信じられないわ。」最強オランダ女子は笑顔で語った。
東京五輪男子個人TT
金メダル プリモズ・ログリッチ(スロベニア~ユンボ・ヴィズマ) 55’04”
銀メダル トム・デュムラン(オランダ~ユンボ・ヴィズマ) +1’01”
銅メダル ローハン・デニス(オーストラリア~イネオス・グレナディアス) +1’03”
4位 ステファン・キュング(スイス~グルーパマFDJ) +1’04”
5位 フィリッポ・ガンナ(イタリア~イネオス・グレナディアス) +1’05”
6位 ワウト・ファン・アールト(ベルギー~ユンボ・ヴィズマ) +1’40”
7位 キャスパー・アスグリーン(デンマーク~ドゥクーニンク・クイックステップ) +1’48”
8位 リゴベルト・ウラン(コロンビア~EFエデュケーションNIPPO) +2’14”
9位 レムコ・エヴァネポエル(ベルギー~ドゥクーニンク・クイックステップ) +2’17”
10位 パトリック・べヴィン(ニュージーランド~イスラエル・スタートアップネーション) +2’20”
東京五輪男子女子TT
金メダル アンネミエック・ファン・フルーテン(オランダ) 30’13”
銀メダル マーレン・ロイサー(スイス) +56”
銅メダル アンナ・ファン・デル・ブレッヘン(オランダ) +1’01”
4位 グレース・ブラウン(オーストラリア) +1’08”
5位 アンバー・レオーネ・ネベン(アメリカ) +1’12”
6位 リサ・ブレナウアー(ドイツ) +1’57”
7位 クロエ・ダイガート(アメリカ) +2’16”
8位 アッシュリー・ムールマン・パシオ(南アフリカ) +2’24”
9位 ジュリエット・ラバウス(フランス) +2’28”
10位 エリサ・ロンゴ・ボルギーニ(イタリア) +2’47”
H.Moulinette