ブエルタ・ア・エスパーニャ第11ステージ:ガウドゥがソレルとの一騎打ちを制して嬉しいグランツール初勝利!2位のソレルは総合でジャンプアップ!総合争いはチャベス脱落
山岳は勝負の場、しかし時に実力が拮抗すると、大きな動きがなく展開することがある。それはメンタルの試練の場となり、ライバルの動きに神経をとがらせながら耐える時間となる。時にそれは何時間も続き、そして時に実力以外の運の要素が左右することもある。
第11ステージを制したのはダビ・ガウドゥ(グルーパマFDJ)、若手期待の選手の一人がチーム戦略として動いてきたマルコ・ソレル(モビスター)との一騎打ちを制し、うれしいグランツール初勝利で雄叫びを挙げた。
総合勢はエステバン・チャベス(ミッチェルトン・スコット)が度重なるメカトラで追走を余儀なくされ、勝負所で遅れてしまい大きく順位を落とす結果となった。
この日のゴール予想タイムは日没後というステージ、幾重にも連なる山岳での総獲得標高は4000mを超える極めてハードな山岳ステージだ。しかし翌日にもきつい山岳ステージを控え、ペース配分と戦略が求められるステージとなった。
この日は山岳ジャージ奪取を狙うティム・ウェレンス(ロット・ソウダル)が動く。それに応じて逃げが形成されるが、山岳賞ジャージを着用するギヨーム・マルタン(コフィディス)とチームがそれを放ってはおかない。しかし最初の山岳ではウェレンスらが先頭で山頂を通過してしまう。
だがここで逃げは吸収され、新たな逃げが構成される。マルタンを中心に、ガウドゥが加わり、またしてもウェレンスも合流する。そしてこの集団は2分前後でメイン集団の前を泳がされることとなる。そしてゴール手前の山岳で、総合10位につけるソレルがアタックを敢行、そのまま単独で逃げ集団への合流を目指す。
逃げ集団とメイン集団のペースが上がらない中、ソレルは簡単に先頭集団に合流すると、チームメイトのネルソン・オリベイラ(モビスター)のアシストを受けて一気にペースを上げていく。メイン集団にはどちらも総合トップ10に名を連ねるエンリック・マスとアレハンドロ・バルベルデがおり、チーム戦略としてソレルを先に行かせ、逃げ切れれば総合ジャンプアップ、追いついた場合にはマスとバルベルデのアシストという2段構えの作戦を見せる。
メイン集団では総合リーダーのプリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)擁するユンボ・ヴィズマと総合2位のリチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス)擁するイネオス・グレナディアスがペースをキープ、ソレルの集団が大きく離れていかないように目を光らせる。
そして下って迎えた最後の頂上へのバトル、ソレルはマイペースで上り続ける。一時はバーチャルで大きく順位を上げるも、最後はその差を詰められたが、それでも1分近いタイムを稼ぎ出し、これで総合6位へとジャンプアップを果たした。そのソレルと最後一騎打ちになったのはガウドゥ、ソレルが懸命にメイン集団とのタイム差を維持するための尽力する中で脚を休められたことが勝因となった。
メイン集団からは残り1㎞でアレクサンダー・ヴラソフ(アスタナ)がアタックを仕掛けて飛び出すが、残り200mでダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション)、マス、ログリッチらがスプリントを開始、ソレルとのタイム差をぎりぎりまで削り続けた。
「叫んじゃったよ、だってほっとしたんだもん。ここ数日体が悲鳴を上げていてチームにもずっとぼやいていたんだよ。今シーズンここまであまり調子が上がらなかったし、ツールでも結果が出なかったからね。それにエースのピボーが早々とリタイアしてしまって、なんとか目標をステージ優勝に切り替えてモチベーションを保っていたんだよ。後はソレルの動きを見て、行けると思ったんで残り150mまで我慢したんだよ。」ガウドゥは体もメンタルも追い込まれていたことを語った。
総合1位と2位は相変わらず同タイムのままだが、トップ10には僅かな入れ替わりが発生した。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第11ステージダイジェスト
ブエルタ・ア・エスパーニャ第11ステージ順位
1位 ダビ・ガウドゥ(グルーパマFDJ) 4h54’13”
2位 マルク・ソレル(モビスター) +04”
3位 ミカエル・ストーラー(チームサンウェブ) +52”
4位 マーク・ドノヴァン(チームサンウェブ)
5位 ギヨーム・マルタン(コフィディス) +55”
6位 アレクサンダー・ヴラソフ(アスタナ) +58”
7位 ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション) +1’03”
8位 エンリック・マス(ドゥクーニンク・クイックステップ)
9位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス)
10位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) 45h20’31”
2位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス)
3位 ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション) +25”
4位 ヒュー・カーシー(EFプロサイクリング) +58”
5位 エンリック・マス(ドゥクーニンク・クイックステップ) +1’54”
6位 マルク・ソレル(モビスター) +2’44”
7位 フェリックス・グロスチャートナー(ボーラ・ハンスグロエ) +3’31”
8位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +3’44”
9位 ワウト・ポエルス(バーレーン・マクラーレン) +3’54”
10位 ミケル・ニエベ(ミッチェルトンン・スコット) +4’43”
H.Moulinette