ブエルタ・ア・エスパーニャ第9ステージ:ベネット勝利!自信50勝、チームグランツール通算100勝・・・が降格処分で幻に!繰り上げでアッカーマンがステージ勝利
勝利は時に覆ることがある。紳士のスポーツと呼ばれるロードレースでは、違反行為や激しい他ボディーコンタクトなどはその対象となることがある。今大会すでに勝利を挙げ、好調さを見せていたサム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ)だったが、ゴールで先着したものの、その後の裁定で降格が言い渡され、自らの通算50勝目とドゥクーニンク・クイックステップのグランツール100勝目という節目の勝利が仕切り直しとなった。
それにより繰り上げでステージ勝利を手にしたのはパスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグロエ)、勝負に負けたがレースに勝ち、チームに貴重な勝利をもたらした。
山岳ステージ続きのブエルタの中で数少ないスプリントステージ、多くのスプリンターが今大会への参加を見送る中で、出場してきたスプリンターたちは皆その少ないチャンスに勝利への意思を明確に示している。その為このステージはスプリンター系のチームがその主導権を握ることとなる。
このステージでも例外なくアタックが発生、しかしスプリンターチームはそれを常に射程圏内にとどめてレースを展開する。ドゥクーニンク・クイックステップに加えUAEチームエミレーツらが先頭を牽引、そしてコースの方角が変わっても、横風を気にしながらもレースは静寂のままに進む。
残り110㎞、アッカーマンらを含む落車が発生、アッカーマンはすぐに隊列復帰を果たすが、今年のレースは落車の頻度が高く、緊張感はさらに強くなる。その後も落車が発生するが大きなダメージを負った選手はいない。
そのままレースは後半まで大きな展開無く進み、逃げは吸収される。ログリッチも残り13㎞でパンクでのバイク交換があったものの、レースはそのままゴールスプリントへと一直線に向かっていく。この日もハイペースで展開すると、ドゥクーニンク・クイックステップがベネットのために完璧な隊列でのおぜん立てを目論む。しかしその隊列にエミルス・リーピンス(トレック・セガフレド)が迷い込むと、ベネットは激しく2度チャージしそれをはじき出す。
そしてそのまま一気にスプリントで先頭に躍り出てゴールラインを誰よりも早く駆け抜けた。しかしこの激しい動きが危険行為とみなされ降格処分扱いになる。これによりステージ2着でゴールのアッカーマンがステージ優勝、ヘルベン・テイセン(ロット・ソウダル)が2位、マックス・カンター(チームサンウェブが3位となった。
「今日は長いスプリントだったね。位置取りが難しくて、押し合いへし合いになったね。ベネットが先着したと思ったんだけど、リプレイを見たらあれはアウトだったね。僕も一度降格処分になっているし、昨今は落車が多くて選手のリスクを回避する傾向にあるから、しょうがないと思う。囲まれたらその時点で勝負をあきらめなきゃいけないんだよ。無理をしてもろくなことにはならないね。」ベネットはそう納得した表情で語った。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第9ステージダイジェスト
ブエルタ・ア・エスパーニャ第9ステージ順位
1位 パスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグロエ) 3h39’55”
2位 ヘルベン・テイセン(ロット・ソウダル)
3位 マックス・カンター(チームサンウェブ)
4位 ジャスパー・フィリップセン(UAEチームエミレーツ)
5位 ヤコブ・マレッコ(CCCチーム)
6位 アレクシス・レナード(イスラエル・スタートアップネーション)
7位 ヨン・アベラステゥリ・イザガ(カハルーラル・セグロスRGA)
8位 ロレンツォ・マンチン(トータルダイレクトエナジー)
9位 ロバート・スタナード(ミッチェルトン・スコット)
10位 レイナード・レンズバーグ(NTTプロサイクリング)
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス) 36h11’01”
2位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ) +13”
3位 ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション) +28”
4位 ヒュー・カーシー(EFプロサイクリング) +44”
5位 エンリック・マス(ドゥクーニンク・クイックステップ) +1’54”
6位 フェリックス・グロスチャートナー(ボーラ・ハンスグロエ) +3’28”
7位 エステバン・チャベス(ミッチェルトン・スコット)
8位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +3’35”
9位 マルク・ソレル(モビスター) +3’40”
10位 ワウト・ポエルス(バーレーン・マクラーレン) +3’47”
H.Moulinette