ブエルタ・ア・エスパーニャ第3ステージ:連夜の総合バトルを制したのはダニエル・マーティン!イスラエル・スタートアップネーションに貴重な勝利をもたらす!ログリッチは盤石の2位
開幕から連日の総合勢によるバトルはこの日も健在、ゴールスプリントはまたしても総合優勝を争う絞られたメンバーによるものとなった。コロナの影響とはいえ短縮された大会では、通常のセオリー中々通用しない、かなり難しい戦略が求められる大会となっている。
そんなステージを制したのはダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション)、上りスプリントで切れ味鋭く加速、総合リーダーのマイヨ・ロホ、プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)とリチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス)を振り切り、久しぶりのビッグな勝利を挙げた。
またしても総合バトルにしかなりえない1級山岳ゴール、今年のブエルタはいったいどれだけ過酷なステージを選手たちに用意しているのだろう。初日で出遅れたティボー・ピノ―(グルーパマFDJ)が早くもリタイアで未出走となり、クリス・フルーム(イネオス・グレナディアス)はカラパズのアシストとしての役割転換がなされ、同時開催のジロ・デ・イタリア同様に混沌とした雰囲気が漂う。
この日は5人の逃げが決まるが、逃げ切りが容認される可能性は低く、小さなアドバンテージしか許されない。集団はユンボ・ヴィズマが主導権を握り、タイム差は4分ほどまでで推移する。そしてこの日は悪天候も選手たちを苦しめる。雨と風での体温低下を避けるため、選手たちは防寒具を身に着けることとなる。例年であれば灼熱のブエルタと言われるが、今年ばかりは勝手が違う。
悪天候は場合によっては思わぬ展開となる可能性があるだけに、主力チームはかなり神経質になる。横風区間の分断も含め、各チーム隊列を密にしてこなしていく。その分レースペースが上がり気が付けば残り57㎞を前にメイン集団は吸収されてしまう。しかしそれにより集団が落ち着きを取り戻すと、今度は4名が集団から飛び出していった。しかしここでも集団は容認はせず、タイム差は1分半ほどまでしか広がらない。そして残り18㎞、最後の上りを前にその4名も吸収されてしまう。
集団はイネオス・グレナディアスがコントロール、ここでフルームもアシストとして集団のペースアップに尽力する。役目を終え脱落していくフルームの姿に、一抹の不安さえ感じた。残り5㎞、エステバン・チャベス(ミッチェルトン・スコット)が不運に見舞われる。なんとこのタイミングでメカトラに見舞われ、ひーむメイトからバイクを借り受けて再スタートする。しかしペースの上がった集団は容赦なくゴールを目指し、チャベスはこの日だけで1分以上のタイムを失ってしまう結果となった。
残り2.7㎞、ケニー・エリソンデ(トレック・セガフレド)がアタックするも集団は冷静に対処、あっという間に飲み込まれていく。そして残り1.5㎞、エンリック・マス(モビスター)、セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ)、フェリックス・グロスチャートナー(ボーラ・ハンスグロエ)がそれぞれ自らのチャンスをうかがう。しかしどれもうまくいかず、集団はそのままゴールへと迫っていく。
するとここでマーティンがロングスパートを仕掛ける。クラシックで培った経験は伊達ではなかった。一気の加速でライバルたちを置き去りにすると、踏みとどまるカラパズとログリッチを引き連れ、見事に2018年以来の勝利を飾った。ボーナスタイムを獲得したマーティンはこれでログリッチとのタイム差を5秒にまで縮めた。
「今年は勝利に限りなく近づいたんだよ。そして何とかチームのためにもステージ勝利を挙げたかったんだよ。新型コロナの間もスポンサーとチームは僕らを支えてくれたしね。ロックダウンの間徹底してインドアでトレーニングできたおかげで、ツールでも活躍できる期はしてたんだけど結局怪我で何もできなかったからね。だから今日は狙っていたんだよ。」マーティンは素直に結果を喜んだ。クラシックハンターに復活の兆しを感じた。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第3ステージダイジェスト
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ブエルタ・ア・エスパーニャ第3ステージ順位
1位 ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション) 4h27’49”
2位 プリモズ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)
3位 リチャード・カラパズ((イネオス・グレナディアス)
4位 ワウト・ポエルス(バーレーン・マクラーレン) +04”
5位 アレクサンダー・ヴラソフ(アスタナ) +07”
6位 エンリック・マス(モビスター) +09”
7位 フェリックス・グロスチャートナー(ボーラ・ハンスグロエ) +12”
8位 ヒュー・カーシー(EFプロサイクリング)
9位 セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ)
10位 クレメント・ヴェントゥリーニ(AG2Rモンディアル) +24”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) 12h37’24”
2位 ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション) +05”
3位 リチャード・カラパズ(イネオス・グレナディアス) +13”
4位 エンリック・マス(モビスター) +32”
5位 ヒュー・カーシー(EFプロサイクリング) +38”
6位 セップ・クス(ユンボ・ヴィズマ) +44”
7位 フェリックス・グロスチャートナー(ボーラ・ハンスグロエ) +1’17”
8位 エステバン・チャベス(ミッチェルトン・スコット) +1’29”
9位 マルク・ソレル(モビスター) +1’55”
10位 ジョージ・ベネット(ユンボ・ヴィズマ) +1’57”
H.Moulinette