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初夏の訪れを告げる例年のツールとは違い、秋の訪れを告げる形となった今年のツール・ド・フランスは、開幕ステージから再開後のシーズン同様に落車が連発する荒れた展開となった。多くの選手たちが濡れた路面でスリップをするなどして落車、総合優勝候補のイーガン・ベルナル（チームイネオス）、トム・デュムラン（ジャンボ・ヴィズマ）、ティボー・ピノ―（グルーパまFDJ)など主力選手も地面に叩きつけられた。そんな荒れたステージはスプリント勝負となり、そんな展開でも動じないアレクサンダー・クリストフ（UAEチームエミレーツ）が勝利をもぎ取り、今大会最初のマイヨ・ジョーヌに袖を通した。

とにかく落車の多いステージとなった。ステージ前半に3人の逃げが決まったが、その背後のメイン集団では何度となく選手たちが路面に叩きつけられた。ざっと名を挙げるだけでも、ナイロ・キンターナ（アルケア・サムシック）、カレブ・イーワン（ロット・ソウダル）、ジョージ・ベネット（ジャンボ・ヴィズマ）、ワウト・ポエルス（バーレーン・マクラーレン）、ミケル・ランダ（バーレーン・マクラーレン）、サム・ベネット（ドゥクーニンク・クイックステップ）、パベル・シヴァコフ（チームイネオス）、ジュリアン・アラフィリップ（ドゥクーニンク・クイックステップ）、イルヌール・ザッカリン（CCCチーム）、アンドレイ・アマドール（チームイネオス）、ミケル・ニエベ（ミッチェルトン・スコット）、リッチー・ポート（トレック・セガフレド）といった主要選手が巻き込まれた。

それにより選手たちが自主的にペースアップや仕掛け合いをを自粛するなどしてレースは自発的にニュートラル化される。残り25㎞になり再びレースが再開されるが、それでも残り3kmでまたしても大きな落車が発生、ピノーが巻き込まれてしまう。破れたジャージでため息をつくピノー、総合優勝を狙う男にとっては、最悪の滑り出しとなった。

©Le Tour

荒れた展開となったことで、スプリントに向けた主導権争いは混沌となる。サム・ベネットで勝利を狙ったドゥクーニンク・クイックステップトレインも崩壊、一斉に入り乱れてのスプリント勝負が始まる。最初に仕掛けたのはシーズ・ボル（チームサンウェブ）、するその背後を取ったクリストフがコース右端を駆け上がっていく。一気に加速するクリストフ、誰もそれについていくことはできなかった。クリストフの背後を取ったマッヅ・ペデルセン（トレック・セガフレド）だったが、仕掛けが遅く届かずステージ2位、ボルは粘りの走りで3位に入った。

これで今大会最初のマイヨ・ジョーヌはクリストフが手にすることとなった。「このジャージに袖を通すことを夢見てきたんだよ。念願の夢がついに叶ったよ！最高の滑り出しができたよ。うちは今回クライマー中心のチーム編成だから、スプリントでの勝利は正直あまり期待されていなかったんだよ。まあ少なくともリードアウトは他力本願となるからね。でも残り数kmを切り、なんとなく勝利がイメージ出来たんだよ。ピーター・サガン（ボーラ・ハンスグロエ）の後ろにいたんだけど、ボルが見えたんでそっちに乗り換えたんだよ。あとは自分の脚を信じただけさ。」クリストフはいつになく饒舌だった。

TDF第1ステージハイライト

TDF第1ステージ
1位　アレクサンダー・クリストフ（UAEチームエミレーツ）　　　3h46’23”
2位　マッヅ・ペデルセン（トレック・セガフレド）
3位　シース・ボル（チームサンウェブ）
4位　サム・ベネット（ドゥクーニンク・クイックステップ）
5位　ピーター・サガン（ボーラ・ハンスグロエ）
6位　エリア・ヴィヴィアーニ（コフィディス）
7位　ジャコモ・ニッツォーロ（NTTプロサイクリング）
8位　ブライアン・コカード（B&Bホテルズ・バイタルコンセプト）
9位　アンソニー・チュルギス（トータル・ダイレクトエナジー）
10位　ジャスパー・ストゥーヴェン（トレック・セガフレド）

TDF総合順位
1位　アレクサンダー・クリストフ（UAEチームエミレーツ）　　　3h46’13”
2位　マッヅ・ペデルセン（トレック・セガフレド）　　　＋04”
3位　シース・ボル（チームサンウェブ）　　　＋06”
4位　サム・ベネット（ドゥクーニンク・クイックステップ）　　　＋10”
5位　ピーター・サガン（ボーラ・ハンスグロエ）
6位　エリア・ヴィヴィアーニ（コフィディス）
7位　ジャコモ・ニッツォーロ（NTTプロサイクリング）
8位　ブライアン・コカード（B&Bホテルズ・バイタルコンセプト）
9位　アンソニー・チュルギス（トータル・ダイレクトエナジー）
10位　ジャスパー・ストゥーヴェン（トレック・セガフレド）

H.Moulinette