新型コロナの影響によるツール・ド・フランスのスケジュールが8月末から9月に、ジロは10月、ブエルタ11月という強行スケジュールに、クラシックはまだ未定、見通せぬ年内開催
新型コロナの影響は、レース界を大きく揺さぶっている。UCI(世界自転車競技連盟)は何とか年内に延期を発表しているレースを組み込もうと躍起になっている。新たに発表されたスケジュールを見てみよう。
ツール・ド・フランス:8月29日から9月20日
世界選手権:予定通り9月20日から9月27日
ジロ・デ・イタリア:10月3日から10月25日
ブエルタ:未確定だが10月24日から11月15日か10月31日から11月22日
このスケジュールを見てわかる通り、開催できたとしても3つのグランツールが数珠つなぎであり、ジロとブエルタに至っては開催期間が重なることが想定されている。男子も女子も、5月の15日を目途に再度検討がされることが決まっており、まだ確定ではないが、チームにとっても選手たちにとってもかなりのハードスケジュールとなる。更にここにクラシックレースが重なるとなれば、かなりしんどいシーズン最終盤となる。
現在のスケジュールではツール最終日が世界選手権男子エリートの個人TTと重なるため、これを狙う選手はツールを途中リタイアするか、世界選手権に絞るしかない状況だ。ゲラント・トーマス(チームイネオス)、トム・デュムラン、プリモズ・ログリッチ(ロットNLジャンボ)らツールを狙う選手たちにとっては選択を迫られることとなる。
またミラノ~サンレモ、ツアー・オブ・フランダース、パル~ルーベ、リエージュ・バストーニュ・リエージュ、イル・ロンバルディアの主要クラシックも開催するとしているが、いったいスケジュールのどこにはまった来るのかは全く未知数だ。
「できる限りのレースを組み込みたい。」とUCIはしており、各国選手権は例年通り8月22,23に行い、ヨーロッパ選手権はツール期間中の9月9日から13日に予定されている。
UCIは各レース主催者(AIOCC、ASO、RCS、Unipublic&Flanders Classic)、さらにはチームユニオン(AIGCP)、選手会(CPS)と話し合いを進めている。現段階では7月1日まで全てのUCIレースはは中止と決定しており、かなり強い危機感を持っている。主催者にとって開催は放映権確保のためになんとしてでも行い所であると同時に、チームにとってはスポンサー維持のためには必要不可欠になりつつある。選手たちもこのまま解雇ということにもなりかねないボーダーライン上の中堅選手たちには悲壮感が漂っている。今現在UCIとAIGCPさらにCPAは、各チームの経営状況に応じた救済枠を話し合っており、このままでは解散となりかねないチームへの支援策を検討している。
「この様な時には、主催者と各チーム、及びその選手たちが手を取り合って困難を乗り切るししかない。まだ2021年度のレースカレンダーにも全く手が付けられない状況となっている。今は何とかこの局面を乗り切り、新型コロナによるパンデミック終息後をイメージしていかねばならない。」UCIのラパルティアン会長はそうメッセージを投げかけた。
現実的には年内のレーススケジュールもまだ見通せない世界中でのパンデミックの状態を鑑み暫定的、希望的観測でしかない。スポーツによっては、すでに年内のシーズンを早々とあきらめ、来シーズンへ向けた動きに切り替えたところもある。UCIは5月15日の段階で次の判断を下すとしているが、現状世界での感染者数はまだまだ収まることを知らず、南半球などでの感染が拡大しつつある状況での難しい舵取りが要求されている。
選手たちの中にはZwiftなどを利用してeスポーツなどに参戦することでコンディション作りをしている者も多い。果たしてシーズンがどうなるのか、それを見極めるにはまだまだ時間がかかりそうだ。
H.Moulinette