シクロクロス世界選手権2020:ファン・デル・ポエルが圧巻の独走勝利!ピドコックが躍動し銀メダル獲得で英にエリート男子初メダル!年間王者のアールツは銅!ネイス息子はジュニア制す
シクロクロスシーズンを締めくくる世界選手権、男子エリートは誰が最強のマシュー・ファン・デル・ポエル(オランダ)の連覇を阻止するかに注目が集まったが、ふたを開けてみればファン・デル・ポエルの別次元の走りにベルギーの一団は見事に玉砕、連覇を許す形となった。そしてその間隙を縫って、今シーズン僅か20才でエリートにステップアップしたイギリスのトム・ピドコック(トリニティ―・レーシング)もベルギー勢を撃破、英国初のシクロクロス男子エリートのメダルを獲得した。また男子ジュニアでは、シクロクロスの伝説の鉄人スヴェン・ネイスの息子、ティボー・ネイスが見事優勝、父親声を目指す息子が早くもその強さを発揮してみせた。
練習では走りやすかったコースは、雨によりぬかるみと化し、泥沼地獄になる。その為スタートダッシュが重要となる中で、ファン・デル・ポエルが凄まじい加速を見せる。悪路では前を抜くのが困難となるため、一気に勝負を仕掛ける。雨が降り続き、さらには強風が吹きすさぶ中では我慢比べとなるが、そんな無駄な駆け引きよりも自分のペースで走るために前に出る。するとそのまま一気に加速、最初の周回で15秒をつけ後続を引き離す。トゥーン・アールツ(ベルギー)が必死に追いすがるがあっという間に脱落、、3周回目で50秒ほどのタイム差をつけてファン・デル・ポエルは独走態勢へと持ち込む。
その背後では2位争いが激化する。脱落してきたUCIシクロクロス世界選手権シリーズ2年連続チャンピオンのアールツに加え、元シクロクロス世界王者のワウト・ファン・アールト、、今シーズンUCIシクロクロス世界選手権シリーズで4勝のイーライ・イザービットら5人のベルギー勢にピドコックが混じり激戦を繰り広げる。そしてレース中盤、ピドコックは一気に勝負に出る。直線で加速をするとあっという間にベルギー勢を置き去りにして単独2位となる。
余裕の独走となったファン・デル・ポエルは無理することなく走行を続ける。不用意なパンクやトラブルで一気に形成は変わるだけに、冷静に走り続けた。そのまま独走し続け世界選手権連覇達成、引き続きアルカンシエルを着続けることとなった。これで世界チャンピオンは3度目、東京五輪ではMTBで金メダルを狙う男が、五輪種目ではない自転車競技でまずは金メダルを奪取して見せた。「完璧な走りだっただろ。今日は絶好調だったし、最初の周回で逃げれたからね。それが僕に翼を授けてくれたよ。あまりにもコースがマディーでタフになってしまったから、序盤でレースが分裂すると思っていたんだ。正直今まで走ったレースの中で最難関のレースと言えるかもしれないね。最終ラップでは橋のセクションが泥まみれすぎて滑って上り切れるかわからなかったよ。」勝者のコメントには余裕が感じられた。
ベルギー勢は入れ代わり立ち代わりピドコックに4秒差ほどまで迫るが、そこからが遠かった。ピドコックは小柄ながらも馬力ある走りで距離を詰められる都度突き放す。男子エリートでは今まで世界選手権でのメダル獲得は皆無、しかし昨年度のU-23 UCIシクロクロス世界チャンピオンの実力は本物だった。すでにMTB、ロード、トラックでも結果を残して生きている若手のホープは早々と20歳でエリートにステップアップしてきており、シーズン終盤に調子を上げてきていた。その勢いのままに強豪ベルギー勢から30分近くも逃げ続け、独走で銀メダルを決めた。
「最強のファン・デル・ポエルに次いでの銀メダルは嬉しいよ。後続の集団でトップを取れるようになれば、確実にファン・デル・ポエルと競い合える存在になれるね。普段は2位に満足はしないんだけど、今回ばかりは特別だよ。もはや勝利したの同じ気分だよ。ファン・デル・ポエルはとにかく別格だからね。」ピドコックのこれからに注目だ。
そして3位にはアールツが入った。ファン・アールトは終盤のパンクが響き4位に終わった。
そして注目だったのがジュニアだ。シクロクロス会の伝説の鉄人スヴェン・ネイスの息子がティボー・ネイスが圧倒的な力を見せつけた。今シーズンUCIシクロクロス世界選手権シリーズのジュニアカテゴリーで7戦6勝で圧倒的な速さと強さと技術を見せた若人が、着実に2度の世界チャンピオンの父親越えを狙っている。
UCIシクロクロス世界選手権 エリート男子
金メダル マシュー・ファン・デル・ポエル(オランダ) 1h08’52
銀メダル トーマス・ピドコック(イギリス) +1’20”
銅メダル トゥーン・アールツ(ベルギー) +1’45”
4位 ワウト・ファン・アールト(ベルギー) +2’04”
5位 ローレンス・スウィーク(ベルギー) +2’32”
6位 マイケル・ファントゥーレンハウト(ベルギー) +3’12”
7位 コーン・ファン・ケッセル(ベルギー) +3’52”
8位 ティム・メリエール(ベルギー) +4’32”
9位 クインテン・ヘルマンス(ベルギー) +4’48”
10位 イーライ・イザービット(ベルギー) +5’11”
UCIシクロクロス世界選手権 ジュニア男子
金メダル ティボー・ネイス(ベルギー)
銀メダル レナート・ベルマンス(ベルギー)
銅メダル エミール・ヴェロストリンゲ(ベルギー)
H.Moulinette