ついに開幕したシクロクロス世界選手権シリーズ、2強のファン・デル・ポエルとファン・アールトが抜け混戦予想も、エリート初年度の21才イザ―ビットがアメリカラウンド連勝!
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ロードシーズンがまだ終わらぬ中、早くも2019~2020年のシクロクロス世界選手権シリーズが開幕した。今年も最初の2戦はアメリカラウンドとなったが、注目は2強のマシュー・ファン・デル・ポエルとワウト・ファン・アールトが揃ってロード転向したことで、誰がその覇権を握るかということだった。昨年度この二人に唯一迫ったのがトゥーン・アールツ(テレネット・フィデア)だったが、開幕した今シーズン、そのアールツが開幕戦、そして第2戦と同じ相手に屈する形となった。U-23でありながら、飛び級でエリートに参戦してきた165㎝の小柄なイーライ・イザ―ビット(パウエルス・サウゼン・ビンゴール)が、開幕戦、そして2戦目と圧倒的な馬力の違いを見せつけ連勝、いきなりシクロクロス最強伝説を開始させた。
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昨年度最高のシーズンを送り、2強を相手に世界選手権シリーズでは総合優勝、ヨーロッパシリーズ戦では総合2位、ベルギー国内シリーズでも総合2位、さらにはベルギーチャンピオンにまで上り詰めたアールツに取っては、2強が消えたことはすなわち自分の天下が訪れる可能性を感じていたはずだ。しかし開幕戦のアイオワで、イザ―ビットがまさかの独走勝利をし2位に甘んじると、第2戦のウォータールーでは、一時イザ―ビットの落車に伴いトップに躍り出て20秒近いタイム差をつけるも、揺るがないメンタルと圧倒的な攻めの姿勢で追走するイザ―ビットの前にあっさりと逆転を許すと、そのままぐんぐんと引き離され最後は1分以上の大差をつけられての2位となった。
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決してアールツが弱いわけではない。その証拠にアールツはイザ―ビット以外の選手をキッチリと引き離しての2位、それだけに新世代小さな巨人イザ―ビットの登場はアールツに取っても想定外だったかもしれない。
「イザ―ビットが早すぎた。そのペースに序盤からついていったけど、結局それが仇になってしまったよ。」アールツは敗因を語った。
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飄々と勝利者インタビューを受けるイザ―ビットは、「今日は遅れをとったんで、リスクを承知で攻めざるを得なかったんだよ。コースがスリッピーで右、左と大変だったね。ジュニア、U-23 でもリーダージャージを着てけど、エリートで着用できるのは格別だね!嬉しいよ!」と流暢に英語で答えた。
ベテラン勢が多く名を連ねる今シーズンのシクロシーンだが、今シーズン間違いなくこのニューカマーが主役となりそうだ。イーライ・イザ―ビットは2015年UCIシクロクロス世界選手権ジュニアで銀メダル、2016年、2018年とUCIシクロクロス世界選手権U-23で金メダル獲得など、その圧倒的強さをエリートになった今シーズンも発揮している。シクロクロスも世代交代の時期へと差し掛かっているのだ。
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UCIシクロクロス第一戦アイオワ
1位 イーライ・イザ―ビット(パウエルス・サウゼン・ビンゴール)
2位 トゥーン・アールツ(テレネット・フィデア・ライオンズ)
3位 ダーン・ソート(テレネット・フィデア・ライオンズ)
UCIシクロクロス第2戦ウォータールー
1位 イーライ・イザ―ビット(パウエルス・サウゼン・ビンゴール)
2位 トゥーン・アールツ(テレネット・フィデア)
3位 ミカエル・ファントゥーレンハウト(パウエルス・サウゼン・ビンゴール)
H.Moulinette