ブエルタ・ア・エスパーニャ第9ステージ:総合勢直接バトルは雨と雹と未舗装路で明暗、ロペスとログリッチが落車もログリッチは挽回、総合トップ4が20秒差以内に
今年のツール・ド・フランスでもレースに影響を与えた異常気象が、このブエルタでも選手たちに影響を与える結果となった。僅か94kmながらもアップとダウンしかない山岳バトルで総合優勝狙うトップ4が直接対決となったが、突発的な大雨と雹が選手たちが未舗装路区間に差し掛かるタイミングで振ったことで明暗が分かれる結果となった。それにより総合トップ4のタイム差は僅か20秒という大混戦となった。そんな中その間隙を縫ってステージを制したのはタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)、20才の期待の星が、これで一気に総合5位まで順位を上げてきた。
先行した逃げ集団に対して、ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)、プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ)、そしてナイロ・キンターナとアレハンドロ・バルベルデのモビスターコンビらの直接対決は、お互いチーム戦略のぶつかり合いとなった。各チーム先行する逃げにアシストを送りんだが、先手を取ったのはアスタナだった。
残り20kmで早々とアタックしたロペスに、まずはゴルカ・イザギーレが逃げから降りてきて合流、牽引して後続との差を開く。その差は徐々に開き30秒差ほどに広がる中で、モビスター、そしてジャンボ・ヴィズマも順にアシストを逃げ集団から下げるが、追走するもその差は縮まらない。
すると突如として選手たちを土砂降りの雨と雹が選手たちを襲う。中継が途切れる中で、ドラマが待っていた。なんと先行していたロペスが荒れた未舗装路と天候に足元をすくわれ落車してしまう。これにより左半身に擦過傷を負うと共に、一気に稼いできたタイム差を吐き出してしまう。更にログリッチもスローダウンしたモトバイクの影響を受け落車、キンターナとバルベルデに後れを取ってしまう。
その中でキンターナとポガチャルが加速、後続を引き離していく。レースの先頭はマルク・ソレル(モビスター)だが、チームオーダーでキンターナを待てとの指令にあからさまな不服を示し、首を振る。ペースが落ちない走りでステージ優勝も視野に捉えていただけに、怒り心頭のソレルはその後アシストをしたものの、不快感を示したままでキンターナのアシストを終えるが、ポガチャルの加速にキンターナは全く太刀打ちできず、ステージ優勝はポガチャルが掴んだ。
キンターナはそのままステージ2位でゴールすると、ログリッチは猛追を見せなんとバルベルデに追いつき先着して見せた。ロペスはさらに暮れてゴール、総合リーダー争いに踏みとどまった。これにより総合は混とんとなる。キンターナがマイヨロホを獲得、ログリッチが2位、そしてロペスは3位でバルベルデが4位だが、そのタイム差は僅か20秒という大混戦となっている。さらにステージ優勝のポガチャルが1分42秒差の総合5位までジャンプアップ、総合前線に割って入りそうな勢いだ。
「凄いステージだったよ!このステージを狙ってきたし、天候が崩れそうなのを見てうれしかったんだよ。未舗装路区間で加速してうまくいったね。雹や未舗装路などテクニカルだったね。とにかくすごいレースだったよ。」ポガチャルは興奮気味に語った。
「何とかライバルたちの目でゴールしたかったんだよ。マイヨロホは嬉しいけど正直このタイム差は厳しいね。雹はきついね、あの状況で体を守ってくれるものは何もないからね。」キンターナは総合リーダージャージ獲得も身を引き締めた。
ログリッチはレース後も沈黙を貫いているが、チームメイトのクスは「いい走りが出来ているし、タイムロスも最小限にとどめられたからね。」と口にしており、チーム関係者も「大きな問題はない」というスタンスのようだ。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第9ステージ
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) 2h58’09”
2位 ナイロ・キンターナ(モビスター) +23”
3位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) +48”
4位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)
5位 マルク・ソレル(モビスター) +57”
6位 ヘルマン・ペルシュタイナー(バーレーン・メリダ) +59”
7位 セルジオ・アンドレアス・ヒグイタ(EFエデュケーション・ファースト) +1’01”
8位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ)
9位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)
10位 タオ・ゲオグヘーゲン(チームイネオス) +1’38”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 ナイロ・キンターナ(モビスター) 35h18’18”
2位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) +06”
3位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +17”
4位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +20”
5位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ) +1’42”
6位 カール・フレドリック・ヘーゲン(ロット・ソウダル) +1’46”
7位 ニコラス・エデ(コフィディス・ソルーションクレジッツ) +2’21”
8位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +3’22”
9位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ) +3’53”
10位 ディラン・テウンス(バーレーン・メリダ) +4’46”
H.Moulinette