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ベルギーを駆け抜ける第3ステージ、今シーズンここまで絶好調でクラシック屋メジャーなステージレースでなどで勝利を量産しているジュリアン・アラフィリップ（ドゥクーニンク・クイックステップ）にとってはまさに御馳走のようなステージだった。誰もがアラフィリップ向きだと公言し、当の本人も僕向きのコースだと口にしていた男が、その膨大なプレッシャーの中で難なくステージを制して見せた。そしてステージ優勝と共に総合リーダージャージも獲得、現世界ランク1位の男の勢いはマスばかりだ。

©Bettini Photo

残り15.7km、12％の勾配セクションでライバルたちがしのぎを削る中、一人だけ別次元の切れ味でアラフィリップが飛び出していく。一瞬イーガン・ベルナル（チームイネオス）が反応を見せたが、すぐに冷静に周囲を見渡しゲラント・トーマス（チームイネオス）の位置を確認し、追走を踏みとどまる。

©Bettini Photo

大多数の選手が体を振り、頭を振り、もがきながら登っていく中で、アラフィリップだけはまるで平坦のアタックかのごとく加速、あっという間に先行していたティム・ウェレンス（ロット・ソウダル）を捉えると、そのまま頂上をクリアしダウンヒルへと突入していく。長いゴールまでの道のりでどこまでそのタイム差を維持できるかに注目が集まったが、一時は縮まり始めたそのタイム差もゴールまでの上りで再び加速したアラフィリップの走りで広がってしまう。

そのまま圧倒的な走りを見せたアラフィリップが余裕の勝利、ボーナスタイムなども加えて一気に単独総合首位へとジャンプアップを果たした。その後方では激しい2位争いが繰り広げられ、マイケル・マシューズ（チームサンウェブ）が2位を確保した。

©Bettini Photo

「最高の気分だよ。ツール前にステージ勝利をしてマイヨ・ジョーヌを獲得するこのシナリオを思い描いていたんだよ。難しいのはわかっていたけど、集中できていたし全力で挑んだよ。この勝利は間違いなく僕にとって人生最高の勝利の一つだよ。チームは僕をしっかりとアシストしてくれたね。あの仕掛けの場面ではデヴェニエンスにペースを上げてくれと頼んだんだよ。仕掛ける予定だったからね。でもまさか単独になることは想定していなかったね。皆がこのステー所の優勝候補だと僕をマークしていたから、難しさもあったよ。フランス人としてマイヨ・ジョーヌに袖を通せたことは光栄だよ。」アラフィリップは感無量の表情を見せた。

しかしドゥクーニンク・クイックステップは、ツアー・オブ・カリフォルニアでステージ勝利を挙げ、先日のデンマークTTチャンピオンとなったばかりのキャスパー・アスグリーンがゴール手前で道路中央の交通標識に激しく突っ込んでしまう。何とかゴールはしたものの、フレームは真っ二つ、衝撃の大きさを物語っており、明日以降の出場は未定だ。

このステージのゴールまでの上りでは、ベルナルが必死にスプリントする中、気が付けば後続のトーマスとの差が開いてしまい、5秒差がついてしまう結果となった。途中まではアシストに徹していたが、最後の最後で思わぬ形でトーマスを振り切ってしまった。

「正直自分の背後のことはわかっていなかったんだよ。他の総合系の選手たちがどこにいるかが確認できてなかったんだ。きつかったよ。アラフィリップを追おうと思ったんだけど無理だったね。今日はみな疲労勝ち奇跡していて、あの走りに対抗するのは無理だったと思うよ。追い風で速度が上がったし、上りもきついし、このステージはかなりの難関ステージだったよ。」
イーガン・ベルナル（チームイネオス）　　　総合6位

©Bettini Photo

ツール・ド・フランス第3ステージ
1位　ジュリアン・アラフィリップ（ドゥクーニンク・クイックステップ）　　　4h40’29”
2位　マイケル・マシューズ（チームサンウェブ）　　　+26”
3位　ジャスパー・ストゥーヴェン（トレック・セガフレド）
4位　グレッグ・ヴァン・アーヴェルマート（CCC）
5位　ピーター・サガン（ボーラ・ハンスグロエ）
6位　マッテオ・トレンティン（ミッチェルトン・スコット）
7位　ソニー・コルブレッリ（バーレーン・メリダ）
8位　ザンドロ・メウリス（ワンティ・グループゴベール）
9位　ワウト・ファン・アールト（ジャンボ・ヴィズマ）
10位　ティボー・ピノー（グルーパマFDJ）

ツール・ド・フランス総合順位
1位　ジュリアン・アラフィリップ（ドゥクーニンク・クイックステップ）　　　9h32’19”
2位　ワウト・ファン・アールト（ジャンボ・ヴィズマ）　　　　+20”
3位　スティーブン・クライズワイク（ジャンボ・ヴィズマ）　　　　+25”
4位　ジョージ・ベネット（ジャンボ・ヴィズマ）
5位　マイケル・マシューズ（チームサンウェブ）　　　　+40”
6位　イーガン・ベルナル（チームイネオス）
7位　ゲラント・トーマス（チームイネオス）　　　+45”
8位　エンリック・マス（ドゥクーニンク・クイックステップ）　　　+46”
9位　グレッグ・ヴァン・アーヴェルマート（CCC）　　　+51”
10位　ウィルコ・ケルデルマン（チームサンウェブ）

H.Moulinette