ツール・ド・フランス第1ステージ:ジャンボ・ヴィズマの天国と地獄、グローネウェーゲンが落車で勝負できずチームガッカリも、テウニッセンがまさかのサガン撃破の大金星でマイヨ・ジョーヌ獲得
ツール・ド・フランスと言えば劇的なドラマを多く演出してきたが、ベルギースタートの今大会でもいきなりそんなドラマが待ち構えていた。スプリントステージのこのステージ、ジャンボ・ヴィズマにとってはエーススプリンターのディラン・グローネウェーゲンがゴールスプリントまであと僅かなところで落車、チームカー内の監督、スタッフは一様に頭を抱えてうなだれた。しかしその直後映像に飛び込んできたのは、マイク・テウニッセン(ジャンボ・ヴィズマ)がピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)と並んでバイクを前方に投げ出す瞬間だった。
状況をよく把握できずに凍り付く車内、しかし写真判定の結果と共にテウニッセンの勝利が確定すると、チーム関係者は喜びを爆発させた。チームにとってまさかの勝利、そして初日の勝利で総合リーダージャージも獲得、並み居る強豪スプリンターを相手に伸び盛りの若手が大仕事をやってのけた。
「今日チームとしてリーダージャージを獲得するとは思っていたけど、まさかそれが自分だとは夢にも思わなかったよ。今日は最後まだファン・アールトが僕をアシストしてくれていたから勝てたんだよ。あれだけのスプリンターを破ったなんて信じられないね。勝ってよかったんだよね?でもどこか変な気分だよ。」テウニッセン自らもその勝利に驚きを隠せなかった。
残り2.5km、グローネウェーゲンが前にいた選手がブレーキングしたため、そのまま突っ込み落車、ショックのあまり立ち上がることも出来ずにうなだれた。しかしレースは進む、各チームエースが揃うが、どのチームも主導権を握ることができない。そうなれば後はエース同士のぶつかり合い、先に仕掛けたのはサガン、中間スプリントも制しそのままステージ勝利も一気につかみ取るべく加速する。カレブ・イーワン(ロット・ソウダル)が食い下がる中、ぽっかりと空いたコース左側のスペースを一気にテウニッセンが駆け上がる。
僅差でのバトルは最後バイクを投げ出してのゴール、どちらの選手も勝利を確信できないままに写真判定を待つこととなった。結果はテウニッセンの勝利、長い手足を目いっぱい投げ出した分がそのまま勝利の10㎝差となった。
敗北したサガンは、納得しながらも悔しさをにじませた。「他に何ができるっていうんだよ。この順位には満足しているよ。中間スプリントも取れたし、プラスに考えるよ。今日のスプリントは、予想以上にハードでどのスプリンターもガス欠になったんだと思うわ。普段スプリンターの為に仕事をしている人間がチャンスを活かして勝利したっていうのは、いいことだと思うよ。まだ初日だしいいスタートを切れたと思うよ。」
このステージでは早くも二人の総合上位候補が落車に巻き込まれた。ゲラント・トーマス(チームイネオス)はゴール近く残り1.5kmでの落車に巻き込まれたが、難なくゴールした。しかし翌ステージのチームTTに影響はないとは言えないだろう。もう一人大きく落車に巻き込まれたのはヤコブ・フグルサング(アスタナ)、前哨戦のドーフィネを勝利した男は残り18kmで落車、顔からも流血するなど痛々しい姿で集団復帰を果たした。
ツール・ド・フランス第1ステージ
1位 マイク・テウニッセン(ジャンボ・ヴィズマ) 4h22’47”
2位 ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)
3位 カレブ・イーワン(ロット・ソウダル)
4位 ジャコモ・ニッツォーロ(ディメンション・データ)
5位 ソニー・コルブレッリ(バーレーン・メリダ)
6位 マイケル・マシューズ(チームサンウェブ)
7位 マッテオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット)
8位 オリビエ・ナーセン(AG2R)
9位 エリア・ヴィヴィアーニ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
10位 ジャスパー・ストゥーヴェン(トレック・セガフレド)
ツール・ド・フランス総合順位
1位 マイク・テウニッセン(ジャンボ・ヴィズマ) 4h22’37”
2位 ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ) +04”
3位 カレブ・イーワン(ロット・ソウダル) +06”
4位 ジャコモ・ニッツォーロ(ディメンション・データ) +10”
5位 ソニー・コルブレッリ(バーレーン・メリダ)
6位 マイケル・マシューズ(チームサンウェブ)
7位 マッテオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット)
8位 オリビエ・ナーセン(AG2R)
9位 エリア・ヴィヴィアーニ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
10位 ジャスパー・ストゥーヴェン(トレック・セガフレド)
H.Moulinette