ツール前哨戦が終了!クリテリウム・ド・ドーフィネはフグルサングが、ツール・ド・スイスはベルナルが勝利!ツールは一体どうなる?イネオスが万全の態勢でツールに挑む

今年のツール・ド・フランスは、大本命と目されたクリス・フルームやトム・デュムランが怪我で出場しないこともあり、今年のジロ同様に大本命なき混戦が予想される。しかし過去の例からいえば、前哨戦のクリテリウム・ド・ドーフィネやツール・ドスイスを制したものが総合優勝争いをすることが極めて多い。その意味で言えば今年はクリテリウム・ド・ドーフィネを制したアスタナのヤコブ・フグルサング、そしてツール・ド・スイスを制したチームイネオスのイーガン・ベルナルが主役を演ずることとなりそうだが、果たして本命なき混戦はそんなに簡単に彼ら二人の活躍を許すだろうか・・・

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ドーフィネでは今シーズン絶好調のアスタナが効果的なチームワークでライバルを逆転、そのままフグルサング総合優勝を果たした。総合ではティージェイ・ヴァン・ガーデレン(EFエデュケーションファースト)が2位、エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ)が総合3位に入ったが、どちらもグランツールでの総合優勝を狙える器ではない。フグルサングは過去にグランツールエースに任命されるも結果を残せなかったこともあり、正直どこまでエースとしての役割を果たせるのかはまったく未知数と言えるだろう。
その意味では将来のエースを担うと言われ、チームイネオスではフルームの後継者として英才教育を受けているベルナルは要注目だ。フルームが抜けたことで弱体化が予想されたが、昨年度ツールを制したゲラント・トーマスを軸にベルナルがダブルエースとして勝負に出るだろう。さらにはドーフィネでステージ勝利も挙げ、総合4位に入ったワウト・ポエルスの存在も大きいだろう。この3枚体制に加え、アシスト勢も豊富なイネオスはこの前哨戦を通して、明確にツールに向けたチーム戦略が垣間見えたと言えるだろう。ベルナルは「トーマスの為に全力を尽くす」とコメントしているが、チームとしてはダブルエースに近い状態を想定している。
またスイスでは総合2位にローハン・デニス(バーレーン・メリダ)が入り、パトリック・コンラッド(ボーラ・ハンスグロエ)が総合3位に入ったが、このどちらも総合系ではないことを考えると、出場をしてもツールでの活躍は限定されるだろう。

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この二つの大会を通して見えてきたのは、チームイネオスの明確なツールへの照準だろう。年間を通してこのレースだけを狙っているのではと思えるくらいに用意周到に準備をしており。チームスカイから新チームのチームイネオスとなった今でもそれは変わっていない。年間を通してのランキングを狙うドゥクーニンク・クイックステップのようなチームとは対照的に、世界最高峰のレースであるツール・ド・フランスを制することが「最強チームの証」であることをこのチームは目指している。
ライバルチームは果たして誰をエースに、そしてどんな戦略で挑んでくるのか、イネオスの戦略と布陣を見たうえでのライバルチームの動きがこれからの残り短い時間で活発になる。
H.Moulinette