ジロ・デ・イタリア第11ステージ:山岳決戦前、今大会のスプリンター競演も最後か、ステージ優勝のイーワン、4位のヴィヴィアーニはそのままリタイアでツール・ド・フランスへ向けて調整へ
今大会本格的な山岳ステージ初日を前に、最後の本格的スプリンター頂上バトルはポケット・ロケットことカレブ・イーワン(ロット・ソウダル)が低い重心からの突進で制して見せた。そしてそのイーワンを含む複数のスプリンターが、ポイント賞ジャージ獲得が難しいと判断して今大会からのリタイア、そのままツール・ド・フランスへ向けての調整に入ることが分かった。ポイント賞が絶望的な中では、山岳でグルペットで毎日タイムオーバーと戦うよりも次のレースへの準備に費やすことを選択するのもまたレースなのだ。
そんなステージは昨日同様に逃げの3名を捉えたところから一気にスプリントへと向かっていく。数が強く吹くコースで最適な進路が限定される中、昨日の落車の影響が懸念されるパスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグロエ)はチームメイトのアシストでしっかりとジャージを守るべくポジショニングしている。しかし昨日の勝利で一気にポイント賞ジャージに迫ったアルノー・デマール(グルーパマFDJ)は、この日の中間でもポイントを取りゴールスプリントでアッカーマンよりも先着すればジャージが獲得できる状況、チームは結束してジャージ奪取を目指す。ここまでのスプリントステージでデビデ・チモライが結果を残しているイスラエルサイクリングアカデミーも勝利を狙う。
そしてこの日仕掛けたのアッカーマン、しかしいつもの切れ味は全くない。イーワンがあっという間にアッカーマンを追い抜くと、デマールもイーワンをぴたりと追走、そのままアッカーマンを追い抜く。しかしヴィヴィアーニはこの日も間合いが悪く完全にライバルたちの後塵を拝した。イーワンが今大会2勝目、そしてデマールはステージ2位でポイント賞ジャージを奪取、アッカーマンは辛うじて3位でポイント賞ジャージ再獲得に望みをつないだ。そしてビビアーニは結局勝利できず、厳しい表情のまま今大会を去ることを決断した。昨年度4勝とポイント賞を獲得した男にとっては寂しい大会となってしまった。
総合は翌日からの山岳を睨んで動かず、ヴァレリオ・コンティ(UAEチームエミレーツ)が総合リーダージャージをキープした。総合系が乏しいチームにとっては、思わぬ形で総合リーダージャージを着続けていることがスポンサーに対して大きなアピールとなり続けている。
「ここまで7回もトップ4に入れたんだから満足だね。ジロは重要だったんだよ。ジャスパー・デ・ブイストとロジャー・クルーゲとの連携を確認したかったからね。うまくいって2勝をあげられたね。それにほかのチームメイトたちともうまくはまったね。ちょっと休息をとってツール目指してトレーニングをするよ。」
~カレブ・イーワン ステージ1位
「昨日の勝利がターニングポイントになったよ。がつがつするのでは無く、もっと明確に何をしたいのかを意識するようになったんだよ。それを理解するのに10ステージもかかってしまったよ。でもチームは目的通りステージ勝利を達成したし、ポイント賞ジャージはなんとしても死守していくよ。簡単ではないけど、残りのステージはそれに専念するよ。」
~アルノー・デマール ステージ2位
「僕のジロは終わりだよ。状態も良くないし、納得した走りが出来ていないからね。まずは家に帰って次の準備を進めるよ。僕の場合はスプリンターだし、目的もないままにただ最後まで完走目指すものではないからね。」
~エリア・ヴィヴィアーニ ステージ4位
ジロ・デ・イタリア第11ステージ
1位 カレブ・イーワン(ロット・ソウダル) 5h17’26”
2位 アルノー・デマール(グルーパマFDJ)
3位 パスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグロエ)
4位 エリア・ヴィヴィアーニ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
5位 ダビデ・チモライ(イスラエル・サイクリングアカデミー)
6位 シモーネ・コンソーニ(UAEチームエミレーツ)
7位 ライアン・ギボンス(ディメンション・データ)
8位 ジャコモ・ニッツォーロ(ディメンション・データ)
9位 ヤコブ・マレッチェッコ(CCC)
10位 シャーン・ベネット(EFエデュケーションファースト・ドラパック)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 ヴァレリオ・コンティ(UAEチームエミレーツ) 45h02’05”
2位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) +1’50”
3位 ナンス・ピータース(AG2R) +2’21”
4位 ホセ・ロハス(モビスター) +2’33”
5位 ファウスト・マスナダ(アンドローニ・ジョカットリ・シデルメック) +2’36”
6位 アンドレイ・アマドール(モビスター) +2’39”
7位 アマロ・アントゥーネス(CCC) +3’05”
8位 ヴァレンティン・マドゥアス(グルーパマFDJ) +3’27”
9位 ジョバンニ・カルボーニ(バルディアーニCSF) +3’30”
10位 ペッロ・ビルバオ(アスタナ) +3’32”
H.Moulinette