ジロ・デ・イタリア第10ステージ:残り1kmに魔物潜む、アッカーマン落車でスプリント賞争いが混沌、ステージを制したデマールがポイント賞争いで1ポイント差の2位へ浮上、初山またも大逃げ

それぞれのステージにはそれぞれのドラマがある。休息日明けのスプリントステージは、初山翔(ニッポー・ヴィーニファンティーニ・ファイザン)の今大会2度目の大逃げという形で展開していった。淡々と進んだステージは、予想通りスプリント勝負となるが、残り1kmで集団前方でまさかの落車発生、これを逃れたスプリンターバトルを制したのはアルノー・デマール(グルーパマFDJ)、ここまであまり目立ってこなかった男がここで一気にスプリント賞争いに名乗りを上げた。

©Bettini Photo
この日もステージ序盤から大逃げを見せたのは初山、積極的に動き飛び出したルーカ・コヴィリ(バルディアーニCSF)と共に集団から飛び出していく。今大会では第3ステージに続いて2度目の逃げ、この日も110km以上に及び逃げ続けて見せた。
この逃げを吸収した大集団は、激しい主導権争いを続ける。各チームがトレインを形成、そのままペースを上げながらコーナーごとにトレインが崩れると再び隊列が再編成されるを繰り返していく。そしてそのまま迎えたゴール勝負、どのチームが主導権を握っているのかさえ分からないほどにあれた展開となるが、残り1kmのバナーでまさかの事態が起きる。

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今大会すでに2勝を挙げ、ポイント賞ジャージを着用するパスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグロエ)がルーカ・メズゲック(CCC)と接触、激しく落車をしてしまう。コース右側で起きた落車ではあったが、そのあおりでコース反対側でも落車が発生、ここでは今大会初出場ながらも素晴らしい走りを見せていたマッテオ・モスケッティ(トレック・セガフレド)が全く起き上がれないほどに激しくからだを打ち付けてしまう。
この難を逃れたスプリンターたちは一気に加速、ただ一人もう一枚アシストを残していたのはデマール、チームメイトのリードアウトから満を持して飛び出していく。エリア・ヴィヴィアーニ(ドゥクーニンク・クイックステップ)はカレブ・イーワン(ロット・ソウダル)をマークしていたが、デマールの加速を見てデマールチェックからそのまま仕掛けるが、時すでに遅し、デマールが納得の表情でステージ優勝を上げた。この勝利でポイント賞争いは激化、アッカーマンとデマールとの差はわずか1ポイントにまで縮まることとなった。ステージ2位にはヴィヴィアーニ、3位にはエーススプリンターを失ったボーラ・ハンスグロエのルディガー・セリグ(ボーラ・ハンスグロエ)が入った。

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「この勝利の為にイタリアまで来たんだよ!ようやく勝てたよ!落車を免れたのは、あの時点でも隊列を組めていたからだね。いや~最高にうれしいよ。」
~アルノー・デマール ステージ1位
「また2位だよ。でも今日はデマールが強かったんだよ。完敗だね。彼はこのままスプリント賞を撮ってもおかしくないぐらいのスプリンターだからね。今日はイーワンが右サイドを、デマールが左サイドと完全に分かれたんだよ。僕はイーワンの背後を取っていたんだけど、デマールの加速を見て僕も一気に真ん中を駆け上がったんだけどね。届かなかったよ。」
~エリア・ヴィヴィアーニ ステージ2位
「正直何が起きたのか全く分からなかったよ。もう避ける間もなく地面に転がっていたよ。今日はライバルチームとスプリンターに心理戦を仕掛けるつもりだったんだけどねぇ・・・」
~パスカル・アッカーマン
ジロ・デ・イタリア第10ステージ
1位 アルノー・デマール(グルーパマFDJ) 3h36’07”
2位 エリア・ヴィヴィアーニ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
3位 ルディガー・セリグ(ボーラ・ハンスグロエ
4位 カレブ・イーワン(ロット・ソウダル)
5位 ジャコモ・ニッツォーロ(ディメンション・データ)
6位 ダビデ・チモライ(イスラエル・サイクリングアカデミー)
7位 マニュエル・ベレッティ(アンドローニ・ジョカットリ・シデルメック)
8位 ジョバンニ・ロナルディ(ニッポー・ヴィーニファンティーニ・ファイザン)
9位 ジャスパー・デ・ブイスト(ロット・ソウダル)
10位 ジャコポ・グアルニエッリ(グルーパマFDJ)
ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 ヴァレリオ・コンティ(UAEチームエミレーツ) 39h44’39”
2位 プリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ) +1’50”
3位 ナンス・ピータース(AG2R) +2’21”
4位 ホセ・ロハス(モビスター) +2’33”
5位 ファウスト・マスナダ(アンドローニ・ジョカットリ・シデルメック) +2’36”
6位 アンドレイ・アマドール(モビスター) +2’39”
7位 アマロ・アントゥーネス(CCC) +3’05”
8位 ヴァレンティン・マドゥアス(グルーパマFDJ) +3’27”
9位 ジョバンニ・カルボーニ(バルディアーニCSF) +3’30”
10位 ペッロ・ビルバオ(アスタナ) +3’32”
H.Moulinette