ジロ・デ・イタリア2019:優勝候補と大会注目のコース!大飛躍のログリッチは果たしてグランツール制覇に届くのか?それともデュムランやニーバリがそれを阻止するか?
ついに開幕する今シーズンのイタリア頂上決戦、ジロ・デ・イタリアの総合優勝争いで本命視されるのは過去の実績から言えばサイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)、トム・デュムラン(チームサンウェブ)と、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)の3人だろう。しかし勢いだけを考えれば大本命と言えるのは、今シーズンここまで3つのステージレースで総合優勝を果たしてきた元スキージャンプ金メダリストのプリモズ・ログリッチ(ジャンボ・ヴィズマ)だろう。昨年度のツール・ド・フランスでは総合4位に入り、実力は間違いないだろう。そして今シーズンのステージレースでは、スプリント勝利、頂上ゴール勝利、TT勝利と満遍なくその強さを発揮している。この勢いに対してイェーツ、ニーバリとデュムランがどこまで対抗できるのかが一つの見どころだろう。
そして本命少なき大会で期待されるのはダークホース的存在の活躍だろう。本命視される選手以外でグランツールでの実績を考えると、イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン)、ラファル・マイカ((ボーラ・ハンスグロエ)、ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)、ミケル・ランダ(モビスター)が総合トップ10争いに加わるだろう。しかしそれ以外の選手に関しては正直予想が難しい。もしかしたら思わぬ選手の台頭を目の当たりにすることになるかもしれない。
そんな今大会のコースで注目のステージを見てみよう。まずはなんといっても第1ステージの個人TTだ。なんとゴール前に最大勾配10%近い急勾配が用意されており、ここをいかにこなすかで今大会最初のマリア・ローザ―獲得となる。TTスペシャリストではおそらく勝てないコース、総合を狙う選手たちにとっては最初の腕試しとなるだろう。
そして次の山場は再び個人TT、第9ステージとなるだろう。まるで山岳TTと言えるような延々と続く登り勾配、特に中盤からは2級山岳となり、多くの選手がバイク交換する可能性がある。急勾配が用意されるこのステージは間違いなく総合系選手のふるい落としとなるだろう。TTを不得意とする選手でも、勾配を利用してなんとかタイムロスを踏みとどまれる可能性が高いが、ここで大きくタイムを失えば、総合争いからの脱落は必至だ。
今年は前半戦がフラット(平坦)なコースが続くということは、今年の大会後半は山岳パラダイスとなる。合計で5つの頂上ゴールでは激しいバトルが予想される。その最初のステージは第13ステージだ。196kmのステージで、後半最後は最大勾配13%で45km上り続ける地獄となる。間違いなくここで総合争いは大きく動くだろう。最大標高2247mの頂上ゴールを終えたころには総合系は大きく減っているだろう。
翌第14ステージは131kmながら。総獲得標高が4000mを越える過酷なコース、多くのアシスト選手たちがタイムオーバーを避けるべく耐えるステージとなる。昨今の大会では上りのみならず、下りも勝負所になる。さらには残り8kmから一気に上り勝負へとなる。ここでも生き残った者が、間違いなくここでライバルたちを蹴落としにかかるだろう。
第16ステージは総獲得標高5700m、226km、7時間にも及ぶステージとなる。この長丁場で総合優勝争いは間違いなく絞られてくるだろう。エースの実力もさることながら、アシストの層の厚さが間違いなく問われるステージ、チームワークにより脚を消耗しないで終盤に持ち込めるからが勝負のポイントとなる。中盤には今大会の最高標高地点チマコッピ(標高2618m)が控える。
そして第19、20ステージの山岳2連戦が最後のバトルとなる。決してきついステージではないが、残り少ない逆転可能なステージでであることから激しいバトルが予想される、さらに最後の山岳バトルはステージ序盤から標高2000mの山岳が3つも続くハードなステージだ。その先には最後の頂上ゴールバトルが待っており、ここで事実上の総合争いが決着する。しかしここでも僅差だった場合、最後の第21ステージの個人TTで決着を見ることとなるだろう。
果たして今大会のこの極端な後半山岳の大会を制すのは誰だろう。
H.Moulinette