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シクロクロス世界チャンピオンのワウト・ファン・アールトが来シーズンのチーム契約問題でロード転向の為にすったもんだし集中できない日々が続いた中で、所属チームが春のクラシック出場を目指しプロコンチネンタルへとステップアップをしたヨーロッパチャンピオンのマシュー・ファン・デル・ポエル（コレンドン・サーカス）の勢いが止まらない。世界最強シクロクロッサー2強の明暗が今シーズンはくっきりと分かれている。

©Tim D.Waele/Getty Images

第6戦ナミュールで行われたワールドカップシリーズ、なんとスタートで世界チャンピオンのファン・アールトがペダルを踏み損ね出遅れるハプニング、さらにはシーズンリーダーのトゥーン・アールツ（テレネット・フィデア・ラインオンズ）は体調不良と、スタートからレースはファン・デル・ポエルの為のレースとなる。レース序盤で早くも独走態勢を築くと、泥まみれになりながらシリーズ4連勝目を果たした。ファン・アールトは粘りの走りで追い上げ最後は2位まで順位を上げ、途中落車で泥の中に転がったアールツも粘りの走りで3位表彰台を獲得、シリーズリーダーの座を守り切った。

©Tim D.Waele/Getty Images

「いつもこういうマディーなコースでは苦戦していたから、かえって集中できたね。」ファン・デル・ポエルは余裕の表情を見せた。対してファン・アールトは「気を付けていたのにスタートでミスだよ。今シーズンはここまで後塵を拝し続けているのが悔しいよ。」といら立ちを見せた。

©Tim D.Waele/Getty Images

このレースではジョリス・ニューエンハウス（サンウェブ育成チーム）が素晴らしい走りを披露、あと一歩で表彰台獲得の走りを見せた。急激に頭角を現し次世代世界チャンピオン候補に名乗りをあげてきたこの男の存在が楽しみだ。

©Tim D.Waele/Getty Images

そして第7戦、またしても主役はファン・デル・ポエル、独走で勝利し、これでワールドカップシリーズの連勝を5にまで伸ばした。今シーズンは出場しているレースで圧倒的な強さを見せており、これで出場20レースで18勝とまさにアンタッチャブルだ。

©Tim D.Waele/Getty Images

そしてこのレースでは先日のレースで表彰台を逃した ニューエンハウスが見事に表彰台の一角を仕留めて見せた。また世界チャンピオンのファン・アールトはまたしてもファン・デル・ポエルの背中を見つめ続けるだけのレース、もどかしさだけがつのるレースとなった。シリーズリーダーのアールツは、シリーズ2位につけているファン・アールトにポイントを失いながらも位付きポイント差のロスを抑え、何とか年間総合優勝に向け踏ん張り切った。

©Tim D.Waele/Getty Images

5連勝と波に乗るファン・デル・ポエルだが、開幕2戦、アメリカでのレースを欠場したことによるポイント差が大きく、次戦はあえて欠場して年間王者争いには興味がないことを口にし、自らの最大のターゲットは世界選手権であることを明言した。

「スタートの段階から狙っているのは勝利だよ。アールトが迫ってきたのは、僕がちょっと気を緩めすぎたからだね。でもそれだけいいレースが出来たんだよ。」ファン・デル・ポエルの強さの秘密はそのメンタルにもありそうだ。

©Tim D.Waele/Getty Images

「年間王者が僕の最大の使命だよ。ファン・アールトというライバルがいることで、僕も限界を超えられるよ。」年間シリーズ王者を狙うアールツもまた集中できている。

シクロクロスワールドカップシリーズ第6戦ナミュール
1位　マシュー・ファン・デル・ポエル（コレンドン・サーカス）　　　1h03’37”
2位　ワウト・ファン・アールト　　　+1’04”
3位　トゥーン・アールツ（テレネット・フィデア・ライオンズ）　　　+1’50”
4位　ジョリス・ニューエンハウス（サンウェブ育成チーム）　　　+2’02”
5位　ミカエル・ファントゥーレンハウト（マーラックス・ビンゴール）　　　+2’21”
6位　コーン・ファン・ケッセル（テレネット・フィデア・ライオンズ）　　　+3’23”
7位　マルセル・メイセン（コレンドン・サーカス）　　　+3’30”
8位　ローレンス・スウィーク（パウエル・サウゼン・ファスゴエサービス）　　　+3’38”
9位　ジャンニ・フェルメサーチ（スタイラーツ777）　　　+3’41”
10位　ラース・ファン・デル・ハール（テレネット・フィデア・ライオンズ）　　　+3’50

シクロクロスワールドカップシリーズ第7戦ゾルダー
1位　マシュー・ファン・デル・ポエル（コレンドン・サーカス）　　　1h02’49”
2位　ワウト・ファン・アールト　　　+16”
3位　ジョリス・ニューエンハウス（サンウェブ育成チーム）　　　+29”
4位　トゥーン・アールツ（テレネット・フィデア・ライオンズ）　　　+35”
5位　ローレンス・スウィーク（パウエル・サウゼン・ファスゴエサービス）
6位　クインテン・ヘルマンス（テレネット・フィデア・ライオンズ）　　　+55”
7位　ダビデ・ファン・デル・ポエル（コレンドン・サーカス）　　　+1’03”
8位　ラース・ファン・デル・ハール（テレネット・フィデア・ライオンズ）　　　+1’07”
9位　コーン・ファン・ケッセル（テレネット・フィデア・ライオンズ）　　　+1’10”
10位　ダーン・ソート（テレネット・フィデア・ライオンズ）　　+1’17

H.Moulinette