ブエルタ・ア・エスパーニャ第17ステージ:激坂頂上バトルでキンターナとロペス脱落!バルベルデとマスがジワリとS.イェーツとの差を詰める!ステージ勝利は逃げ集団を制したウッズ
ようやく総合バトルが一歩前進した。そして最大勾配25%に激坂バトルで泣いたのはナイロ・キンターナ(モビスター)と、攻め続けたアスタナとそのエース、ミゲル・アンヘル・ロペスだった。そして逆に総合リーダーのサイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)をわずかながら置き去りにしその差を詰めたのは、もうひ土地のモビスターのエース、アレハンドロ・バルベルデ、そしてクイックステップ・フロアーズに突如現れた総合期待の星エンリック・マス(クイックステップ・フロアーズ)だった。
そんなステージの優勝争いは、容認された逃げのメンバーによる激しいアタックの応酬の末、総合上位候補に挙げられながらも早い段階で脱落、ステージ優勝狙に切り替えていたマイケル・ウッズ(EFエデュケーションファースト・ドラパック)だった。
この日のステージ優勝争いは、ほとんどのチームがメンバーを送り込んだことで、逃げの面々にゆだねられた。その中には総合優勝候補に名前が上がりながらも結果が全く残せなかったメンバーの名前がずらり、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)、イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン)、ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ)やウッズなどが顔をそろえる。そして最後の頂上ゴールを目指す上りに入ると、ノーガードの打ち合いによるバトルが勃発、これら強豪勢も容赦なくふるい落とされていく。
残り1km、ウッズ、ディラン・テウンス(BMC)、デビ・デ・ラ・クルス(チームスカイ)、マイカの四人の中から、残り800m、勾配がきつくなると仕掛けたのはウッズ、そしてそれに反応したのはテウンスだった。そしてそのままゴールラインまで独走、見事にステージ優勝をチームにもたらした。テウンスは粘ったもののステージ2位、デ・ラ・クルス、マイカの順でのゴールとなった。
「形容しがたいね。勝ったよ!うちの家内と生まれたばかりの息子のために勝ちたいと思っていたし、監督が無線で”家族のために勝利を狙え!”と叫んでいたんだよ。上っている間中ずっと息子の顔が脳裏をよぎっていたよ。だから”パパ”としてどうしても勝ちたかったんだ。」ウッズは息子にとって誇れる父親となった。
そしてそのはるかに後方では、早い段階でエウスカディ・バスクカントリー・ムリアスがペースを上げ先頭の逃げを追走、さらにそこにアスタナが加わり各チームのアシスト勢が次々と脱落していく。そしてそのまま迎えたゴールまでの最後の勝負に入っても手を緩めないアスタナがペースをさらに上げていく。すると大逆転を狙うティボー・ピノー(グルーパマFDJ)、リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションファースト・ドラパック)らが早々に脱落、そしてレースは一気に総合優勝を狙える6名によるバトルへと絞られていく。
S.イェーツはアシストに最強の双子の兄弟アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)を迎え、ライバルたちを迎え撃つ。しかし残り3km、勾配が最大に達した激坂で、真っ先に脱落したのは二人のエースを送り込んでいたモビスターのキンターナだった。さらにはロペスがアタックをしたことでキンターナは一気に差をつけられてしまう。しかしこのロペスも脱落すると、残り1kmで仕掛けたのはマスとバルベルデだった。これにはS.イェーツもついていくことができず、必死にタイムロスを最小限に抑えるべく粘りの走りで耐えしのぐ。
結局マストバルベルデは8秒だけS.イェーツに先着、マスはこれで総合表彰台県内の3位までジャンプアップを果たした。昨日快走を見せ僅差の総合3位まで順位をあげたスティーブン・クライズワイク(ロットNLジャンボ)だったが、この日はいいところなくタイムを失い、総合5位まで順位を落とした。キンターナはそれに次ぐ総合6位まで順位を落とし、タイムでもトップまで2分越えとなり、これでモビスターのエースはバルベルデとなることをキンターナも認めた。「今日はまったく力が出なかったよ。でも重要なのはバルベルデがまだ優勝を狙えるということ。ここからは全力でバルベルデをアシストするよ。」
この日の走りを見ると、総合優勝争いはバルベルデ、ロペス、マス、S.イェーツに絞られた感があるが、まだクライズワイクも2分差以内で堪えており、一発逆転を狙ってくるかもしれない。またこの日も山岳ポイントを荒稼ぎしたミスター逃げ男ことトーマス・デ・ヘント(ロット・ソウダル)がついにこの日のステージで山岳賞ジャージを奪い取った。
「タイムは失いたくはなかったよ。でもバルベルデとマスが強かったんだよ。でも僕もいい走りができて、タイムロスを最低限に収められたよ。アダムがいてくれたことでいろいろと救われたよ。TTの後の今日のステージが僕の中では鬼門だったんだよ。」~S.イェーツ
「休み明けのTTからの山岳ってきついんだよね。結構有力選手たちも苦しんでいただろ。それを考えれば僕らの走りは悪くなかったね。キンターナにアタックしたいんだが、と話したんだけど、OKと言うことだったんで揺さぶりをかけたんだよ。でもそのあとアタックするタイミングが難しかったね。」~バルベルデ
ブエルタ・ア・エスパーニャ第17ステージ
1位 マイケル・ウッズ(EFエデュケーションファースト・ドラパック) 4h09’28”
2位 ディラン・テウンス(BMC) +05”
3位 ダビ・デ・ラ・クルス(チームスカイ) +10”
4位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +13”
5位 イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン) +38”
6位 アレッサンドロ・デ・マルキ(BMC) +44”
7位 アマニュエル・ゲブレザビエル(ディメンション・データ) +48”
8位 ヘスス・エラダ(コフィディス・ソルーションクレジッツ) +51”
9位 ジェイ・ヒンドリー(チームサンウェブ) +55”
10位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(ミッチェルトン・スコット) +1’48”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 サイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット) 69h05’34”
2位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +25”
3位 エンリック・マス(クイックステップ・フロアーズ) +1’22”
4位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +1’36”
5位 スティーブン・クライズワイク(ロットNLジャンボ) +1’48”
6位 ナイロ・キンターナ(モビスター) +2’11”
7位 ヨン・イザギーレ(バーレーン・メリダ) +4’09”
8位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションファースト・ドラパック) +4’36”
9位 ティボー・ピノー(グルーパマFDJ) +5’31”
10位 トニー・ギャロパン(AG2R) +6’05”
H.Moulinette