ブエルタ・ア・エスパーニャ第1ステージ:個人TTを制したのはローハン・デニス!今シーズン限りのBMCはこれで今年全ての大会で総合リーダージャージ獲得!
遂に始まった今年最後のグランツール、暑さと乾燥が選手たちを追い詰める過酷なバトルが開幕した。そのオープニング個人TT,存在感を見せたのはクリス・フルームもゲラント・トーマスもいないチームスカイだった。今大会のエースとして、ダビ・デ・ラ・クルス、もしくはミカル・クウィアトコウスキーという布陣とされているが、戦前の予想ではここまでのグランツールメンバーと比べると、はるかに見劣りするチームと思われていた。しかしその大会初日、個人TTで次々とトップタイムを塗り替えたのはチームスカイのメンバー、高い集中力とモチベーションで圧倒的な存在感を示して見せた。
しかしそれでも甘くないのが真剣勝負の世界、ステージ勝利をさらったのは、今シーズン限りでチームが消滅し再編となるBMCのローハン・デニスだった。これでBMCは今シーズン全てのグランツールでリーダージャージを獲得、こちらもスカイ同様に存在感を見せた。
「クウィアトコウスキーはプレッシャーをかけてきたね。彼のタイムが結構プレッシャーになったんだよね。でも僕は自分ができる事、やるべきことをやるしかないからね。そして後は結果を求めるだけだったよ。今日は上ってのゴールなのはわかっていたから、もうそこでのタイムロスは覚悟のうえで突っ走ったよ。これで目標にしていたブエルタでの個人TTも獲得できたね。」これでデニスはすべてのグランツールの個人TTを制した15人目の男となった。
そして注目されたのは、総合優勝候補たちの走りだ。正直総合優勝候補たちのほとんどが、今回の個人TTでは全くいいところがなかったと言っていいだろう。唯一ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ)だけがトップ10入りを果たしたが、それ以外の選手たちはお互いタイム差はつかなかった。ここ数年のグランツールの傾向で見られるような、総合優勝候補=TTも強いという構図からは大きくかけ離れた結果となった。
リッチー・ポート(BMC)、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)、ファビオ・アルー(UAEチームエミレーツ)、ティボー・ピノー(グルーパマFDJ)、ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)、ナイロ・キンターナ(モビスター)、アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)、リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションファースト・ドラパック)、スティーブン・クライズワイク(ロットNLジャンボ)らがこれからどのような戦略を立ててくるのかが楽しみになってきた。これはつまり誰にも優位性がない大混戦になることを予感させてくれる。
また気になるのは大ベテランのアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)、好調さを維持しており、今シーズンの年間王者めざし、この大会でも積極的に結果を求めてきそうだ。なかなか評価されにくい年間王者だが、一年間を通して安定した結果を残すもののみが勝ち取ることができる栄光、大ベテランはそこにきちんと価値を見出している。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第1ステージ&総合順位
1位 ローハン・デニス(BMC) 9’39”
2位 ミカル・クウィアトコウスキー(チームスカイ) +06”
3位 ヴィクター・カンペナーツ(ロット・ソウダル) +07”
4位 ネルソン・オリベイラ(モビスター) +17”
5位 ディラン・ファン・バーレ(チームスカイ) +20”
6位 アレッサンドロ・デ・マルキ(BMC) +21”
7位 ヨナタン・カストロビエホ(チームスカイ)
8位 サイモン・ゲシュケ(チームサンウェブ)
9位 ヨン・イザギーレ(バーレーン・メリダ) +22”
10位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ)
H.Moulinette