ツール・ド・フランス第8ステージ:スプリント直接対決でグローネウェーゲン再び!Dマーティンは必至の追走むなしく落車で大きくタイムロス、ガヴィリアとグライペルは頭突きで降格処分
昨日はアレクサンダー・クリストフ(UAEチームエミレーツ)、そして今日はアンドレ・グライペル(ロット・ソウダル)を発射台にした成長株のディラン・グローネウェーゲン(ロットNLジャンボ)が群雄割拠のスプリンター頂上決戦を再び制して見せた。チームのトレインがなくともライバルたちをトレイン代わりに利用し、自らのタイミングで飛び出してステージ連勝、一気にスターダムにのし上がってきた。
この日も典型的なスプリントゴール勝負となる中、各チームが隊列を作ってゴールへと向かっていく。残り16㎞でダニエル・マーティン(UAEチームエミレーツ)が落車、必死で追走をする中で、先頭集団は容赦なく加速していく。背中にシャチを背負ったチームスカイが危険回避のために先頭に立ちさらに加速をする。
ディメンション・データ、ロット・ソウダル、グルーパマ・FDJが入れ替わり先頭集団に躍り出るが、残り1kmを切ると一気に勝負は混沌としていく。この日はクイックステップ・フロアーズのいつもの圧倒的なチーム力は抑え込まれ、昨日のような先行優位の状況を作り出せない。
昨日まで連敗しているピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)はこの日はライバルのマークではなく先頭に躍り出ると、残り300mで一気に勝負に出る。その背後ではアンドレ・グライペル(ロット・ソウダル)とフェルナンド・ガヴィリア(クイックステップ・フロアーズ)がお互いにヘッドバッドをしながら進路を切り開こうともがく。さらにその背後では昨日の勝者グローネウェーゲンがグライペルの背後から一気に飛び出し、進路を大きくコース右側へと取る。
サガンは粘るがグライペルとガヴィリア、そしてグローネウェーゲンの3人に力負け、ステージ4位に沈んだ。グローネウェーゲンは格の違いを見せる加速で一気に先頭に躍り出ると、そのままトップでゴール、昨日に引き続きゴールパフォーマンスで自らの勝利を祝った。サガンは4着に終わった・・・かに思われたが、レース後にグライペルとガヴィリアが共に頭突きにより降格処分(ガヴィリアはグライペルへの頭突き、グライペルはニキアス・アルント(チームサンウェブ)への頭突き)となった事で2位へと繰り上げとなった。結果では勝利したが、勝負ではサガンは連敗、ただそれでもキッチリとポイントを積み重ねるあたりのしたたかさが世界チャンピオンだからこそと言えるだろう。
「日々脚の調子は良くなっていくよ。今日はかなりペースが速かったしコーナーも多かった。でもチームがいい仕事をしてくれたから最終局面まで持ちこたえられたんだよ。そうしたら目の前でガヴィリアとグライペルがポジション争いを始めたんだ。ただそのタイミングでゴールラインが見えて、「今だ!」って思ったんだよ。混沌とした勝負だったけど、でもツールって毎日がそんなものだからね。ここ二日で2勝、最高だね。」グローネウェーゲンは満足げに勝利を振り返った。
総合争いでは落車のあおりを食らったDマーティンのみならず、昨日までの総合4位ジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・フロアーズ)もタイムロス、順位を大きく下げる形となった。マイヨ・ジョーヌのグレッグ・ヴァン・アーヴェルマート(BMC)は抜け目なくボーナスタイムを獲得し後続とのタイム差を僅からながら広げた。
「こんなことでいちいち選手を降格や失格にしていたら、最終日まで完走できるのは50人ぐらいになるんじゃない?もう処分が下ったから何も言えないけど、納得していないよ。あの程度の体の寄席は、バランスを取るためにもラインをキープするためにもスプリントでは当たり前のことでしょ。」~グライペル
「あのくらいスプリントではよくあることだよ。(怒)」~ガヴィリア
「いいポジションにいたんだけど、スプリントを始めるのが早すぎたね。あれでライバルたちに抜かされてしまったよ。また明日頑張るよ」~サガン
「調子よかったんだけどね・・・医師がガーゼとか外してレントゲンする瞬間に”・・・あぁぁぁぁぁ!!!”ってなるよね。まあでも予想していたような骨折みたいな大怪我がなかったからよかったけど、傷だらけだよ。背中から落ちたから最悪の事態も想定したよ。」「シャワーでは痛かったよ・・・でもそのあとに怪我したことへのショックがね・・・」~Dマーティン
ツール・ド・フランス第8ステージ
1位 ディラン・グローネウェーゲン(ロットNLジャンボ) 4h23’36”
2位 ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)
3位 ジョン・デゲンコルブ(トレック・セガフレド)
4位 アレクサンダー・クリストフ(UAEチームエミレーツ)
5位 アルノー・デマール(グルーパマFDJ)
6位 トーマス・ブダ(ダイレクトエナジー)
7位 ニキアス・アルント(チームサンウェブ)
8位 マーク・カベンディッシュ(ディメンション・データ)
9位 イブ・ランパート(クイックステップ・フロアーズ)
10位 アンドレア・パスカロン(ワンティ・グループゴベール)
ツール・ド・フランス総合順位
1位 グレッグ・ヴァン・アーヴェルマート(BMC) 32h43’00”
2位 ゲラント・トーマス(チームスカイ) +07”
3位 ティージェイ・ヴァン・ガーデレン(BMC) +09”
4位 フィリップ・ジルベール(クイックステップ・フロアーズ) +16”
5位 ボブ・ユンゲルス(クイックステップ・フロアーズ) +22”
6位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・ファーストドラパック) +49”
7位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +55”
8位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +56”
9位 ヤコブ・フグルサング(アスタナ) +57”
10位 リッチー・ポート(BMC)
H.Moulinette