2018年度ワールドツアーチームの使用バイクとコンポから見えてくるシマノの圧倒的な独占市場状態、ライバルなきジャイアントになったジャパンブランド、己がルールとなりつつある機材競争
10年ほど前まではまだまだライバルブランドも勢いがあり、お互い切磋琢磨してより良い製品づくりが行われてきたが、シマノというコンポーネントの巨人はライバルたちをことごとく追いやり、今やレース界を己の独占市場としつつある。そして2018年度、今度はパワーメータの分野でもシェアを伸ばすことになる。進撃を続ける巨人の勢いはさらに加速していきそうだ。
各チーム来シーズンのマシンおよびコンポーネントが決定したが、今シーズン同様にシマノの使用率は圧倒的だ。来シーズンは18チーム中14チームがメインコンポとして使用、EFエデュケーションファースト・ドラパックがFSAとのミックスコンポ、ディメンションデータがローターとのミックスコンポとなる。また唯一スラムを採用しているカチューシャもブレーキだけはシマノというミックスコンポとなり、カンパニョーロを使用するチームはロット・ソウダル、モビスター、UAEチームエミレーツのみとなる。
そしてここ数年使用が定番化しているパワーメーターにもシマノのその勢いは波及、今シーズンはわずかにFDJのみが使用していたが、来シーズンは一気に6チームが使用することとなる。ここでもSRMなどライバルメーカーを一気に追いやる勢いだ。
今シーズンと顔ぶれが同じとなるワールドツアーチームではフレームメーカーの変更はない。ただそのほとんどのメーカーがマーケット用にはディスクロードをラインナップしてきている。ただしレースシーンに限定すれば、正式にUCIにディスクブレーキ使用のフレームの使用登録をしているのは2チームとなっているが、あくまでも選択肢として用意しただけであり、本格的に使用する可能性はまだまだ低そうだ。いくつかのチームは試験的な使用を検討してはいるが、レース界全体としてはまだ安全性やレース時のホイール交換など問題が山積みであるということもあり、ディスクブレーキが普及するには至りそうにない。
昔は質の悪さでライバルメーカーの後塵を拝してきたシマノだが、自転車低迷期も絶え間ない努力を続けた結果、ライバルメーカーが次々と吸収合併や閉鎖に追い込まれる中でその地位を確立、誰もが認める圧倒的な自転車界のコンポーネント界の巨人となった。ライバルなき今、自らがマーケットに送り込みたい商品をルールにねじ込めるほどの権力と存在感を得たシマノはこれからどこへ向かうのか、その目指す先が気になるところだ。
H.Moulinette