ツール前のレース総括:ツール・ド・スイスで総合優勝はポート!ナイロ・キンターナもツール・ド・フランスへ向け順調な仕上がり、ルート・ドクシタニーではバルベルデが総合優勝

ツール・ド・フランスへ向けた最終調整を行う選手たちが結果を残している。ツール・ド・スイス(全9ステージ)ではBMCのエース、リッチー・ポートが総合優勝を果たし、準備万端だ。同じくツール・ド・スイスに出場したナイロ・キンターナ(モビスター)も総合3位と結果を残した。さらにはそのキンターナ、ミケル・ランダ(モビスター)と合わせてのトリプルエース体制で挑むと予想されるアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)も出場していたルート・ドクシタニー(全4ステージ)で総合優勝を果たした。今年はサッカーワールドカップの影響で開幕がずれ込むツール・ド・フランスだが、各チームの絶対的エースが順調な仕上がりを見せている。

©Tim D.Waele/Getty Images
ツール・ド・スイスでは初日チームTTでBMCが優勝、そのまま総合順位で上につけていたポートが第5ステージで総合リーダージャージを獲得すると、第7ステージでキンターナが勝利して総合2位と迫るが、最終第9ステージまで総合リーダージャージを守り抜いたポートが総合優勝を決めた。

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総合3位に入ったのはキンターナ、モビスターはツール・ド・フランスでは複数エース体制で挑むことを決めており、その中核となるキンターナの調子の良し悪しはチーム戦略に大きく影響するだけに、結果を求められていた。そのキンターナはステージ優勝も上げ万全の状態になりつつある。そのキンターナは、「レースの内容次第でエースは常に変わっていくよ。まずはレース序盤をいかにクリアして、中盤戦へもっていくかだね。その時点で誰がエースを担うことになるかだよ。」と語りながらも、その言葉には自信が満ち溢れていた。そして第3のエースとなるランダも第5ステージで動きを見せるなど好調だと言えるだろう。
ツール・ド・スイスでは第2ステージでアルカンシエルのピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)が勝利をするも、その後のスプリントステージでは上位に入るもことごとく勝利を逃す形となった。ツール・ド・フランスでのスプリント賞ジャージを狙うサガンにとっては、勝利を量産するよりは、ライバル達の調子をじっくりと確認したような大会となった。

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ランダとキンターナと共にモビスターのエースを担うアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)は春先からステージレースで勝利を量産し絶好調だが、ここへ来てもその勢いは止まらないようだ。ルート・ドクシタニーでは第3ステージでステージ勝利を挙げ総合リーダーに立つと、最終第4ステージでもステージ2位に入りがっちりと総合優勝を確保して見せた。何よりもすごいのは、どのステージのどのタイミングで仕掛ければいいかという勝負勘がキレキレだということだろう。今シーズンのここまでの勝利同様に、無駄な勝負は極めて少なく、省エネ勝負に徹していることだろう。これでモビスターは3枚のエースがかなり順調に仕上がっていると言えるだろう。

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ここで二人の木になる若手を紹介したい。ツール・ド・フランスの出場はわからないがエンリック・マス(クイックステップ・フロアーズ)とサム・オーメン(チームサンウェブ)のツール・ド・スイスでの調子の良さは気になるところだ。マスは総合4位獲得に加えて新人賞ジャージも獲得、個性派集団に属する伸び盛りの23歳はこれから注目を浴びる存在となりそうだ。またジロ・デ・イタリアでトム・デュムラン(チームサンウェブ)のアシストをしながらも総合9位に入った22歳は、ここでも総合7位、間違いなく今後ロードレース界の主役候補となりえる存在となりそうだ。
チームスカイはいまだにエースのクリス・フルーム(チームスカイ)がどうなるのかグレーの状態であり、主催者のASOは出場の辞退をするようにコメントをし続けている。ライバルチームの選手たちはそんなこと関係なくどんどんと調子を上げており、ツール・ド・フランスでは熱い総合バトルが展開されそうだ。
ツール・ド・スイス最終成績
総合優勝 リッチー・ポート(BMC) 29h28’05”
2位 ヤコブ・フグルサング(アスタナ) +1’02”
3位 ナイロ・キンターナ(モビスター) +1’12”
4位 エンリック・マス(クイックステップ・フロアーズ) +1’20”
5位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ) +1’21”
6位 サイモン・スピラック(カチューシャ・アルペシン) +1’47”
7位 サム・オーメン(チームサンウェブ) +1’52”
8位 スティーブン・クライズワイク(ロットNLジャンボ) +1’59”
9位 ディエゴ・ウリッシ(UAEチームエミレーツ) +2’27”
10位 アーサー・ヴィショー(グルーパマFDJ) +2’41”
ルート・ドクシタニー最終成績
総合優勝 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) 18h25’34”
2位 ダニエル・ナヴァーロ(コフィディス・ソルーションクレジッツ) +14”
3位 ケニー・エリソンデ(チームスカイ) +20”
4位 セバスチャン・レイエンバッハ(グルーパマFDJ) +1’22”
5位 ルイス・レオン・サンチェス(アスタナ) +1’24”
H.Moulinette