いまさら聞けない!?初めてのジロ・デ・イタリアを体験するための基礎知識!これらを知ってジロを楽しく観戦しよう!2018ジロ・デ・イタリアの注目ステージは?

世界三大ツールの一つ、ジロ・デ・イタリアが開幕する。しかし今回から始めてみる人にとっては、3大ツールって何?ジロ・デ・イタリアって何?となっている人もいるだろう。そんな方へ、ジロ・デ・イタリアをわかりやすく説明しよう。

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まずは基本知識としての3大ツールから説明しよう。3大ツールとは、別名グランツールとも呼ばれるジロ・デ・イタリア(イタリア開催)、ツール・ド・フランス(フランス開催)、ブエルタ・ア・エスパーニャ(スペイン開催)という世界最高峰のステージレースのことである。ステージレースとは一日で終わるレースではなく、複数のステージから構成されるレースのことで、その日のステージ以外にも、全ステージでの総合タイムでも競い合うのだ。3大ツールは今現在各全21ステージで構成されており、期間中に2、3日の休息日が用意されている。

©Tim D.Waele
その中でもジロ・デ・イタリアは5月のイタリアを駆け抜けるレースだ。第一回大会は1909年、今大会101回目となる。レースは山岳ステージ、平坦ステージ、タイムトライアルのステージで構成されているが、3大ツールの中でも山岳ステージが厳しいことからもクライマーと呼ばれる山岳スペシャリストが活躍することが多いレースだ。タイムトライアル以外のステージは、今年の大会では最終日のみが短い115㎞だが、それ以外は皆150㎞以上の長丁場となり、最長ステージはなんと239㎞となる。
山岳ステージとはその名の通り峠を越えていくステージのことで、多い日になると一日の合計獲得標高(上りの標高差の合計)が8000mを超えることもあるのだ。その中でも頂上ゴールと呼ばれ、上りの峠でゴールを迎えるステージは総合優勝を狙う選手たちにとっては正念場となるステージであり、見ごたえのある勝負が展開される。

平坦ステージ©RCS
平坦ステージはスプリンターと呼ばれるゴール前で爆発的な加速をする選手が活躍できるステージだ。各チームはトレインと呼ばれる隊列を組み、全力でチームのスプリントエースをサポートするのだ。またタイムトライアルはその年によって異なるが、チームタイムトライアルと呼ばれるチーム対抗の場合と、個人TTと呼ばれる個人戦の場合がある。どちらも他のステージのように全選手による集団走行ではなく、チームごと、もしくは個人で走るステージとなり、チーム力、そして純粋に個人の実力が問われるステージとなる。ちなみに今年の大会では2度の個人TTが用意されている。最近ではこの個人TTでも強く、山岳でも強い選手が総合優勝を獲得する傾向にある。
総合リーダーが着用するジャージはマリア・ローザと呼ばれるピンクのジャージで、このピンクは主催者であるガゼッタ・デロ・スポルトのコーポレートカラーとなっている。最終第21ステー終了時点でこのジャージを着用していたものが総合優勝者となり、グランツール制覇者となる。

ジロの勝利の女神はいつでも美しい©Tim D.Waele
このジャージ以外にも中間スプリントポイントやゴールスプリントポイントで通過順によって加算されるポイントを多く集めたものが着用するポイント賞ジャージはマリア・チクラミーノと呼ばれる紫色のジャージ、同じく山岳ポイント通過で加算されるポイントで決まる山岳賞はマリア・アッズーラと呼ばれる青のジャージ、そして開催年度に25歳以下の選手の中で総合順位が最も高い選手が着用する新人賞はマリア・ビアンカと呼ばれる白いジャージとなる。ポイント賞と山岳賞はそのメインスポンサーにより時代により色が変わってきているのは面白いところだ。
出場するのは22チーム、最高峰プロであるワールドツアーチーム18チームには出場の義務があり、それに加えて一つランクが下のプロコンチネンタルチームから4チームが主催者推薦のワイルドカードで出場をする。各チームの選手は8人、昨年度までの9人から一人減った形となる。チームによっては総合優勝を狙うエースを中心としたチーム編成にすることもあれば、それよりも毎日のステージでの優勝を狙うチームもある。
どのチームでもエースにトラブルがあれば、アシストの選手たちがそれを全力でサポートするのがロードレース、一見個人戦のように感じるが、じつはチーム戦であり、心理的駆け引きが勝敗を大きく左右する。時にアシストは限界までエースをけん引し、時に相手チームのアシストを減らすために陽動作戦を仕掛け、時にエースの機材が壊れれば自らの機材を差し出し、勝利のためにチームはお互いをサポートしながらレースを進めるのだ。

エトナ火山での頂上ゴール©RCS
今年のコースはイスラエルで開幕、イスラエルで第1ステージから第3ステージまでを行うと、休息日をはさんでイタリア本土へと戻る。5月10日の第6ステージではエトナ火山でのゴールとなる序盤戦の注目ステージだ。そして5月13日にの第9ステージは今大会2番目に長い225㎞、さらには雪の残る標高2135mでの頂上ゴールの山頂決戦、この日のステージが前半戦の山場となるだろう。

最難関ステージの一つ第19ステージ©RCS
5月19日の第14ステージは、名物峠のゾンコランでの頂上ゴールとなる。難易度が高く大会中最も難しいとされる5つ星のステージだ。このステージで総合順位は間違いなく大きくシャッフルされ、総合優勝を狙える選手が一気に絞られるだろう。終盤第18、19、20ステージは最後の山岳バトルとなり、この山岳3連戦で実質今年の総合優勝が決まることとなる。第19ステージ中盤には大会中の最高標高到達地点に与えられる”チマコッピ”を冠するフィネストレ峠を通過するが、その標高は2178mというだけではなく上り後半約8㎞が未舗装路という難所となっている。
実質第20ステージで勝負は終了、最終第21ステージはローマの街中を駆け抜ける顔見せのステージとなる。総合優勝を決めた選手はスタート直後から自転車に乗りながら祝杯を挙げるシーンが見られる。果たして今年は誰がその祝杯を挙げることになるだろう。今年もイタリア全土がピンクに染まる。基本的知識を知って、今年のジロを満喫して欲しい。
H.Moulinette