フレッシュ・ワロンヌ2018:モビスター包囲網でアシストを削られたバルベルデの5連覇を阻みユイの壁を制したのはアラフィリップ!バルベルデは最後に力尽き2位!
アルデンヌクラシック通算9勝、内フレッシュ・ワロンヌ5勝、しかも4連覇中と圧倒的な力を見せるアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)、今シーズンもここまでステージレースで総合優勝、ステージ勝利など勝利を量産している男はこの大会5連覇とエディー・メルクスに続くアルデンヌクラシック通算10勝を狙っていた。しかしその前に立ちはだかったのは、豪華なメンバーを揃えてきたクイックステップ・フロアーズのエース、ジュリアン・アラフィリップだった。
この日のレース、カギとなるのはモビスターのアシスト勢をいかに削るかだった。各チーム勝利を手繰り寄せるにはまずこれこそが命題だった。このレースでは各チームがそれを見事に実行して見せた。しかしその中でも圧倒的数的優位でエースを温存し続けたクイックステップ・フロアーズがまたしても勝利を勝ち取った。
8人の逃げが先行する中で、集団からミカル・クウィアトコウスキー(チームスカイ)、ルイ・コスタ(UAEチームエミレーツ)、イェーレ・ファネンデール(ロット・ソウダル)らが周回コースに入り最初のユイの壁で積極的に動く。モビスターもミケル・ランダがこれに対応し動くが、危険なメンバーだけにモビスターはチームを挙げての対応を余儀なくされる。この動きは抑えられたが、さらにミカエル・ゴグル(トレック・セガフレド)とエンリック・マス(クイックステップ・フロアーズ)が動く。そしてこの動きが呼び水となり、残り45㎞でヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)が動く。そしてニーバリはそのまま先頭の逃げ集団に合流するとペースを上げ、新たな先頭集団を構築する。
タネル・カンゲルト(アスタナ)、マックス・シャックマン(クイックステップ・フロアーズ)、ジャック・ヘイグ(ミッチェルトン・スコット)に加え序盤からの逃げが加わりペースを上げる。大きく差は広がらないが、しかし後続の集団とのタイム差はなかなか縮まることなくレースはぐんぐんと進んでいく。モビスターのアシストはすでにその多くが削られており、バルベルデにとっては自らのポジション取りも自分で行わなければならず、この時点で徐々にその脚は削られていた。たいしてクイックステップ・フロアーズはピーター・セリー、ボブ・ユンゲルス、フィリップ・ジルベールがアラフィリップを守り続ける。
また先頭にシャックマンを送り込んでいるクイックステップ・フロアーズは積極的な追走を行うことなくその主力アシストを温存し続けた。一時は10秒台までニーバリらとの差は縮まったが、ニーバリの加速にカンゲルト、ヘイグ、シャックマンが反応しまた差が開いていく。しかしここで今度はニーバリとタンゲルトが送れ、ヘイグとシャックマンの二人が順調にゴールを目指してペダルを踏み続ける。
残り距離が3㎞を切り、チームメイト、シャックマンの逃げ切りの可能性がほぼなくなると感じると、ようやくクイックステップ・フロアーズも追走に加わることを選択する。そして最後のゴールまでのユイの壁に入ると、ついに後続集団のエースたちが牙をむく。最後まであがいたシャックマンを飲み込んだ集団は、一気に加速するが、この4年間ここで仕掛けてきたバルベルデのキレ味が悪い。代わりに先行したのはティム・ウェレンス(ロット・ソウダル)のアシストだったはずのイェーレ・ファネンデール(ロット・ソウダル)とアラフィリップ、アラフィリップはそのままファネンデールを置き去りに、バルベルデとの差も一気に広げ、独走態勢でゴール、念願のクラシック制覇を成し遂げた。バルベルデは追いつけないことを悟るとうなだれながらも2位をキープしゴール、勝利こそ逃したが、大ベテランの健在ぶりを改めて世に知らしめた。ここ数シーズンまったくその存在感がなかったファネンデールはここへきて復活の3位表彰台となった。
「自分を信じ続けたんだよ。何とか表彰台の両脇と、その中央の差を埋めるべく踏ん張ったんだよ。正直勝ったかどうかさえも分からないくらいに頭が真っ白だったよ。無線の声も聞こえなかったよ。実はまだ先にニーバリがいると思い込んでいたんだよ。今日の勝利はチームワークのおかげだよ。ただひたすらにチームメイトに感謝だね。今晩この勝利をかみしめるよ。これで最高の気分で次のリエージュ・バストーニュ・リエージュに挑めるよ。もう一勝積み重ねたいからね。」アラフィリップは崩れんばかりの笑顔で語った。
フレッシュ・ワロンヌ
優勝 ジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・フロアーズ) 4h53’37”
2位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +04”
3位 イェーレ・ファネンデール(ロット・ソウダル) +06”
4位 ロマン・クロイツィゲル(ミッチェルトン・スコット)
5位 マイケル・マシューズ(チームサンウェブ)
6位 バウク・モレンマ(トレック・セガフレド)
7位 ティム・ウェレンス(ロット・ソウダル)
8位 マックス・シャックマン(クイックステップ・フロアーズ)
9位 ロメイン・バルデ(AG2R)
10位 パトリック・コンラッド(ボーラ・ハンスグロエ) +12”
H.Moulinette