シュヘルデプライス2018:スプリンターズクラシックは雨と踏切で波乱!そして制したのはまたしてもクイックステップ・フロアーズ!ヤコブソンが大金星のクラシック勝利!
スプリンターズクラシックと言われるシュヘルデプライス、強力なスプリンター陣の出走が少ないこともあり戦前の予想では今大会を5度制しているマルセル・キッテル(カチューシャ・アルペシン)が圧倒的有利の声が多く聞かれた。しかし勝利の女神はキッテルに味方しなかった。
そして勝利の女神が味方したのはまたしてもクイックステップ・フロアーズ、スプリント勝負で誰も予想すらしなかったファビオ・ヤコブソン(クイックステップ・フロアーズ)が大金星の勝利、これでチームはロード24勝目となった。この勢いはいったいどこまで続くのだろう。
雨が選手たちに神経質なレースを求める中、もう一つ勝敗を大きく分けるハプニングが明暗を分けた。スタートから100㎞、集団がいくつかに分散する中で、最初の集団が踏み切りを超えた後に何と踏切が突如としてなり始め、ディラン・グローネウェーゲン(ロットNLジャンボ)、アルノー・デマール(グルーパマFDJ)を含む選手たち第2集団が、前方の選手たちとの差が開くのを嫌い無理をして降り始めた遮断機を無視して線路を渡ったのだ。数年前に選手達が大挙して遮断機が下りた踏切を渡す行為が世界に放映され手非難の的となったこともあり厳しくなったルールのもと、グローネウェーゲンやデマールら35人にその場で失格処分が言い渡されることとなった。
キッテルは難を逃れ先頭集団で走行を続けたが、終盤にまさかのパンク、勝利は遠ざかっていった。そうなればもはやレースは混沌とした状態、主導権を取るチームもなくノーガードでの打ち合いのようにアタックが繰り返される荒れた展開となる。
しかしそんな中で元気いっぱい、集団先頭で積極的な動きを見せていたヤコブソンが、クリス・ローレス(チームスカイ)やパスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグロエ)を圧倒、21歳の若人が今シーズン2勝目を挙げた。
「チームが勝利を量産できるわけ?多分これだけ勝っているっていうことが、自分らが強いという暗示にもなっていると思うよ。常にだれもが全力投球し、そして一人が勝利すれば、それはつまりチーム全員に勝利のチャンスが巡ってくるってことだからね。”オオカミの群れ”と呼ばれる一員でいられることは光栄だよ!」ヤコブソンはチーム内の雰囲気が、”勝てる”というリズムを生み出していることを語った。
このレースでは横風が選手たちを何度となく苦しめ続けた。さらにはその影響で道路脇に止めてある車までもが障害物となり、選手達が駐車中の小型車に突っ込む事故まで発生した。更には踏切で多くの選手が失格となり、スタートから130㎞の時点ですでに先頭集団は54名にまで絞られていた。そこから数名が飛び出し、そのまま17㎞を3周する周回コースへと入っていく。すると土砂降りとなり、このままでは逃げ切りの危険性があると判断したカチューシャ・アルペシンとクイックステップ・フロアーズがここで一気にペースを上げて差を詰める。
しかし残り12㎞でカチューシャ・アルペシンにとっての悪夢が待っていた。何とキッテルがパンク、ペースが上がったままの集団に戻るには大きすぎる痛手となった。そしてスプリントに向け今度はチームスカイが動きを見せると、クイックステップ・フロアーズも当然のようにと勝負に備える。そして最後はヤコブソンで勝利をものにした。
シュヘルデプライス2018
優勝 ファビオ・ヤコブソン(クイックステップ・フロアーズ) 4h23’51”
2位 パスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグロエ)
3位 クリス・ローレス(チームスカイ)
4位 イェンス・デブッシェール(ロット・ソウダル)
5位 ジェレミー・レクロック(ヴァイタルコンセプトクラブ)
6位 マックス・ウォルシェイド(チームサンウェブ)
7位 ティモシー・デュポン(ワンティー・グループ・ゴベール)
8位 ヨナス・リッカート(スポルトフランデーレン・バロワーズ)
9位 ブラム・ウェルテン(フォーチュネオ・サムシック)
10位 マルコ・ハラー(カチューシャ・アルペシン)
H.Moulinette