ヘント・ウェヴェレヘム:ようやくお目覚め?世界チャンピオンのサガンが豪快にライバルたちをねじ伏せての勝利!迫ったヴィヴィアーニは発車のタイミング逸し涙の2位

クラシックレースは一発勝負のバトル、勝ったものが笑い負けたものが泣く厳しい世界だ。そんなビッグタイトルを狙うバトルは最後の最後までもつれる展開となり、そして圧倒的優位に立っていたクイックステップ・フロアーズに対してライバルたちがうねりとなり、それを飲み込む形でのスプリント勝負となった。そんな勝負を制したのは今シーズンここまで結果が出ていなかった現世界チャンピオンのピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)、厳しいマークの中でも完璧なタイミングで仕掛け、圧倒的な力の差をライバルたちに見せつけた。

©Tim D Waele
人数を残しているクイックステップが完璧といえるお膳立てでゴールスプリントへと向かっていく。しかし今シーズンここまでなかなか本調子とは言えないレースが続いているサガンは冷静に虎視眈々と狙っていた。昨年までであればレース中盤からその力と存在感を示しながらの走りとなるが、この日は淡々と走り続けると、残り200m、最後の最後でマークしていたエリア・ヴィヴィアーニ(クイックステップ・フロアーズ)が周囲を囲まれているのを確認すると一気にオープンスペースへと飛び出していった。

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それに対してライバルたちも一斉にスプリントを開始、ヴィヴィアーニは完全に立ち遅れた形となったが、目の前で加速するアルノー・デマール(グルーパマFDJ)を利用して加速、しかし時すでに遅し、懸命の加速もサガンには届かなかった。笑顔のサガンに対して泣き崩れるヴィヴィアーニ、新天地でエーススプリンターとして大きく開花した男はその重責を背負い戦った男は悔し涙に肩を震わせた。デマールはそのまま3位に入った。
「ハレルベークみたいな悪い日だってあるさ。今年はいろいろ走って、休みをはさんででもハレルベークでは100%ではなかったんだよね。集中しててもさ、調子が悪い時はダメなんだよ。そんな時に何ができるっていうの?頭は冷静で行けると思っていても、脚が動かなければどうしようもないんだよ。まあそんな感じでハレルベークではだめだったけど、ここではよかったということだよ。」サガンの言葉はハルクと呼ばれた男もまた人間であることを感じさせた。

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「悔しいよ。だって僕の人生の目標の一つがクラシック、その勝利が目の前にあったんだから。でも結局世界チャンピオンに屈したんだよ。チームが最高の仕事をしてくれたから、どうしても勝ちたかったんだよ。最後はサガンではなくデマールをマークしていたんだ。調子もよさそうだったしね。でもその間にサガンに逆サイドで仕掛けられたんだ。デマールの加速を利用して前に出たときにはもうサガンははるか前方だったんだよ。」ヴィヴィアーニはサガンの今シーズンのここまでの調子の悪さから、そのマークを外していたことが敗因であることを語った。

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この日のレースでは6人の逃げが発生、最初のケンメルベルグの丘でもタイム差は5分以上あった。ここで追走の集団からフィリップ・ジルベール(クイックステップ・フロアーズ)が揺さぶりのアタックを仕掛け、集団の動きを煽る。

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そして先頭との差がBMCの動きなどによって縮まっていく中、イェーレ・ワレイス(ロット・ソウダル)らが動く。小集団がそれに加わり、第2集団が形成されたが、すぐにその集団内で落車が発生、結局4人となった第2集団は先頭の6人と合流し10人となる。そして最後のケンメルベルグでまたしてもジルベールが動く。さらにはセップ・ファンマルケ(EFエデュケーション・ファーストドラパックp/bキャノンデール)、マッテオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット)、ゼネク・スティバー(クイックステップ・フロアーズ)らが動く。そしてここからさらにこの日のレースをスプリント勝利に持ち込みたいチームの思惑が合致し、結局先頭集団は飲みこまれてしまい30人ほどの集団が先頭に誕生する。ここで人数を送り込んでいたのがクイックステップ・フロアーズ、不用意なアタックをさせないためにハイペースを維持する。

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そのままクイックステップ・フロアーズ主導のままゴールへ向かっていくが、ここでもう一度ファンマルケがアタック、しかしそれも本命が多く残ったこの日のレースには前座に過ぎなかった。シクロクロス現世界王者のワウト・ファン・アールト(ヴェランダズ・ウィレムス・クレラン)も先頭に躍り出るが、最後はタイミングを見透かしたかのように勢いよく飛び出したサガンが制して見せた。
ヘント・ウェベレヘム順位
優勝 ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ) 5h53’37”
2位 エリア・ヴィヴィアーニ(クイックステップ・フロアーズ)
3位 アルノー・デマール(グルーパマFDJ)
4位 クリストフ・ラポルテ(コフィディス・ソルーション・クレジッツ)
5位 イェンス・デブッシェール(ロット・ソウダル)
6位 オリビエ・ナーセン(AG2R)
7位 マッテオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット)
8位 ゼネク・スティバー(クイックステップ・フロアーズ)
9位 ジャスパー・ストゥーヴェン(トレック・セガフレド)
10位 ワウト・ファン・アールト(ヴェランダズ・ウィレムス・クレラン)
H.Moulinette