ミラノ・サンレモ2018:モニュメントを制したのはニーバリ!グランツールからクラシックまで、貪欲に勝利を狙う男が渾身の単独アタックから逃げ切り勝利!初山がスタートから大逃げに挑戦
今シーズン最初のモニュメント、ビッグタイトルの一つミラノ・サンレモは今年のレース界同様に全く読めない展開となった。そんなスプリンターズクラシックを制したのはグランツールライダーとして、そしてクラシックも狙う貪欲な”シャーク”ニーバリは、ライバルたちのマークをかいくぐり終盤でアタックを決めると、そのまま最後まで独走を続け、久しぶりにイタリアに栄冠をもたらした。
「まだ信じられないよ。今朝は今日勝者としてここにいられるとは思わなかったよ。とにかく自分でも驚くほど冷静でいられたことが勝因かな。僕自身は今日はコロブレッリのために走っていたんだよ。だからラトヴィアチャンピオンが仕掛けたときには即座に反応したんだよ。でもポッジオで後続との差が20秒に広がったから、そのまま行ってしまおうと思ったんだよ。あとはもう振り返らず勝つことだけを信じて走ったよ。残り2㎞からは精神的にもきつかったね。でもそこからは自分を信じてプッシュし続けたんだよ。」エースだからこそのメンタル、ニーバリは自らのチャンスをきっちりと活かして見せた。これで3つのグランツールの勝利、イル・ロンバルディアの2勝にまた一つ称号を加えた。
この日の勝負は逃げが早めに吸収されると、レースは膠着状態となる。例年早めに仕掛けが起きることが多かったが、そのままにらみ合いが続き各チームのエースらが隙を伺う展開となる。昨年度は現世界チャンピオンのピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)、その最大ライバルの元世界チャンピオンミカル・クウィアトコウスキー(チームスカイ)、ジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・フロアーズ)の三つ巴による写真判定となったこともあり、この3人への徹底マークが続いた。
そんな中駆け引きが続くと勝負どころのポッジオでクリスツ・ニーランズ(イスラエル・サイクリングアカデミー)が勢いよく飛び出していく。そしてそれに”するり”と反応したのがニーバリ、そのままにーランズをとらえると、一気に独走態勢へと持ち込んでいく。メイン集団はなかなかそれでもなかなか動こうとはしない。するとクラシックのエースとして新チームに引き抜かれたマッテオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット)が仕掛ける。猛スピードで追走するが、ポッジオの頂上を超え、ゴールまで得意にダウンヒルに入ったニーバリの早さは圧倒的だった。
後続集団はペースを上げ、何とかニーバリを捕まえようと試みるが、ニーバリの速度は抜群だった。最後はぎりぎりまで迫った捕まらないことを確信しガッツポーズ、その背後ではカレブ・イーワン(ミッチェルトン・スコット)がアルノー・デマール(グルーパマFDJ)をお抑えて2位で飛び込んだ。
サガンはスプリントには参加したが6位に終わった。「ポッジオではニーバリを追わなかったんだよ。まだそのままのペースで行くつもりだったんだ。そして下り切ってから誰が動くかを見極めたかったんだけど、でも誰も動かなかったんだ。もしあの状況下で僕が追走を仕掛けていたら間違いなくニーバリを掴まえられていたと思うよ。でもそうしたら僕は勝利できないと思ったからね。だからほかの選手達がどう動くかを見ていたんだよ。掴まえられなければニーバリが勝つし、掴まえられたらスプリント勝負、自分だけがリスクを背負うつもりはなかったんだよ。まあでも結局ニーバリが勝ってしまったね。あの独走は勝利に値するよ。」
また全く勝負できなかったもう一人の優勝候補、クウィアトコウスキーは「ポッジオでニーバリが動いたときにはチームが居眠りをしてしまったよ。アタック自体には驚かなかったけど、誰も追走をしなかったことに驚いたよ。自分ももっとできるつもりだったんだけど、がっかりしたよ。」とレース後に語った。
この日のレースではスタート直後に発生した9人の逃げに初山翔(NIPPOヴィー二・ファンティー二)が乗り、そのまま逃げ続けた。苦しい表情を見せながらも踏ん張りを見せ存在感をアピールした。
そしてここ2戦連続で落車に見舞われ、肋骨骨折のまま出場していたマーク・カベンディッシュ(ディメンション・データ)はこの日もアクシデントに見舞われた。レース終盤になんとコース上の中央分離帯に突っ込みそのまま大きく宙を舞い路面に背中から叩きつけられたのだ。大怪我は免れたが、「落車癖」が気になるところだ。
ミラノ・サンレモ順位
優勝 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) 7h18’43”
2位 カレブ・イーワン(ミッチェルトン・スコット)
3位 アルノー・デマール(グルーパマFDJ)
4位 アレクサンダー・クリストフ(UAEチームエミレーツ)
5位 ユルゲン・ルーランツ(BMC)
6位 ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)
7位 マイケル・マシューズ(チームサンウェブ)
8位 マグナス・コート・ニルセン(アスタナ)
9位 ソニー・コルブレッリ(バーレーン・メリダ)
10位 ジャスパー・ステューベン(トレック・セガフレド)
H.Moulinette