イル・ロンバルディア:今シーズングランツール無冠の男が意地の走り!独走勝利で2度めの落ち葉のクラシック制覇!アラフィリップが追走集団から飛び出し2位、お騒がせ中のモスコンが3位
今シーズングランツール総合系エースとして新チームの柱となった男だったが、ライバルたちの台頭とハイレベルなバトルに屈し、総合優勝は果たせなかった。しかし母国での秋のクラシック、狙いすましたような走りで見事にライバルたちを置き去り、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)が2度めの制覇を成し遂げた。
アップダウンと細い路地、勝負どころはゴールまで20kmを切ってからとなるこのレース、残り18kmで遂にニーバリが動いた。先行アタックを決めていたティボー・ピノー(FDJ)に追いつくと、そのまま二人は加速を続ける。しかしニーバリは協調を求めること無く、ピノーの表情を伺いながら、どんどんと攻め続ける。
苦手な下りを克服したピノーだが、やはり下りを得意とするニーバリの走りには全く対応できなかった。徐々に広がっていくその差、焦りを見せ懸命に踏み続けるピノーだが、先頭のニーバリは余裕の表情、この余裕の差はあまりにも大きすぎた。
下り終わって最後のサン・フェルモ・デラ・バッタリアの丘は上りに入ると、ピノーの視界からニーバリの背中は消えていった。これで勝負あり、ニーバリは余裕をもって笑顔でガッツポーズ、今大会2015年に続き2度めの優勝を果たした。
「正直勝利は難しかったよ。皆が僕をマークしていたからね。シーズン終盤にコンディションを維持するのは難しいんだよね。でもチームのお可げでこの結果が達成できたよ。まあ今日はいいレースができればいいと思っていたんだよね。今シーズンいいレースはしているけど、大きな勝利がなかったからね。だから今日勝ててよかったよ。」ニーバリは安堵の表情を見せた。エースの重圧をはねのけてしっかりとシーズン終盤にビッグタイトル獲得となった。
ピノーの後ろではリゴベルト・ウラン(キャノンデール・ドラパック)が動きを見せ飛び出すも失速、そしてピノーも徐々にペースを落とすと、1つでも上の順位を目指す後続の集団へと飲み込まれていった。そしてその後続集団からはジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・フロアーズ)が飛び出しそのまま単独でゴール、また一つ結果を残した。イタリアチャンピオンジャージに身を包んだファビオ・アルー(アスタナ)だったが、3位争いでは先日のレースで故意に落車させられたたとしてセバスチャン・レイエンバッハ(FDJ)に訴えられたジャンニ・モスコン(チームスカイ)が入った。今シーズンはクリス・フルーム(チームスカイ)のアシストとして素晴らしい走りを見せながらも、人種差別発言に落車引き金問題と話題に事欠かないが、きっちりとレースでもと表彰台を獲得してみせた。
「良かったね。今日は表彰台は難しいと思っていたし、世界選手権のあと何かこうしっくり来ていなかったんだけど、でも集中はできていたからね。ニーバリがアタックしたときにはついて行けなかったよ。だからそれを除外した中では最良の走りができたと思うよ。だからこの表彰台には大満足だよ。」アラフィリップは満足気に語った。
「勝利できなくてもここで表彰台を獲得できたのは嬉しいね。最高の形でシーズンを締めくくれたよ。まあ一番強かったのがニーバリで、僕らはそれに対応できなかったから負けたんだよ。無理してついて行ってたらピノーの二の舞いになっていてこの3位もなかっただろうね。」モスコンは冷静に状況判断をした。
このレースでは多くの落車も発生、ローレンス・デ・プラス(クイックステップ・フロアーズ)がテレビカメラの前で時速40kmでガードレールを飛び越えて崖下に落下する姿が飛び込んできた。幸いなことにデ・プラスは軽傷で済んだが、他にも3人が同じ場所でガードレールを飛び越え落車し、中でもヤン・バークランツ(AG2R)は肋骨7本骨折と3箇所の脊椎圧迫骨折の重傷でシーズンを終えることとなった。
イル・ロンバルディア
優勝 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)
2位 ジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・フロアーズ) 6h15’29”
3位 ジャンニ・モスコン(チームスカイ) +28”
4位 アレクシス・ヴイエルモーズ(AG2R) +38”
5位 ティボー・ピノー(FDJ)
6位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(AG2R)
7位 ファビオ・アルー(アスタナ)
8位 ミケル・ニエベ(チームスカイ) +40”
9位 ナイロ・キンターナ(モビスター) +42”
10位 セルジオ・チェルネツキー(アスタナ) +47”
H.Moulinette