パリ~トゥール:クイックステップでの有終の美!オリカ・スコットに移籍するトレンティンが大躍進の年を締めくくるスプリント勝利!グライペルはまたしても勝てず、アシストの足りなさを痛感
個性派集団クイックステップフロアーズ、そこで育成から7年間過ごし成長してきた男が、チームを去る前にその集大成を見せた。今シーズン大躍進の年となったマッテオ・トレンティン(クイックステップ・フロアーズ)がヨーロッパツアーの締めくくりのパリ~トゥールで鮮やかなスプリント勝利を挙げ、2015年に続いて今大会2勝目をあげた。
シーズン終了後のオリカ・スコットへの移籍は決まっていた。そんな中で今年最後のグランツール、ブエルタ・ア・エスパーニャで躍動、ステージ4勝を挙げてみせた。そしてシーズンの締めくくりでもありクイックステップ・フロアーズでの締めくくりでもあるこのレースで見事に優勝、成長の跡をしっかりと見せつけた。ありがちな、移籍を決めた選手にはアシストをしないというようなことは一切なく、クイックステップ・フロアーズはきっちりと勝利のために最高のアシストをして店これでシーズン52勝目を挙げた。
荒れた展開となったこのレース、クイックステップ・フロアーズは昨年度の覇者フェルナンド・ガヴィリアでの勝利を狙っていた。しかし残り18km、ガヴィリアが集団先頭に位置取りながら濡れた路面にグリップを失いまさかの単独落車、一度は自力で集団復帰を果たしたが力尽きてしまう。そうなればすかさず曲者チームは作戦変更、そして遠慮なく攻撃を仕掛ける。
アタックを決め飛び出したトレンティンに対し対応できたのはクラー・アンデルセン(チームサンウェブ)のみ、さらにそこにトレンティンのチームメイト、ニキ・テルプストラ(クイックステップ・フロアーズ)が合流する。更にその背後にはクイックステップ・フロアーズのチームメイト達が追走を阻むべくきっちりと仕事をする。
これで数的優位にたったクイックステップ・フロアーズ、あとは3人の中で圧倒的にスプリント力を誇るトレンティンの間合いまで持っていくだけでよかった。一言言葉をかわしたテルプストラとトレンティン、テルプストラが得意の独走力で後続の追走を最後まで振り切ると、トレンティンが残り200mで発射、アンデルセンもこれに反応し追うが、速度があまりにも違いすぎた。トレンティンは軽いスプリントしかしていないがそのまま余裕の勝利、きちんとチームロゴを強調してのゴールとなった。
「2年前と同じだよ。もちろん状況は違うけどね。今日は雨降りで路面は濡れているし、上りへのアプローチもテクニカルだったしね。集団が攻めてを欠いていたのがわかったから、だったら仕掛けてみようと思ったんだよ。アンデルセンと2人になった時点では迷いがあったんだけど、後ろを見たらテルプストラが飛び出してきていたから、あえてそれを待ったんだよ。その選択は間違えじゃなかったね。彼は最高のリードアウトをしてくれて、僕はこのジャージでの最後のレースでチームに最高の恩返しができたよ。」トレンティンは笑顔で語った。
この日は5名の逃げから始まった。このレースは逃げ切りでの勝利も多く、その可能性に賭け手のアタックだったが、今大会をチームとして3連覇を狙うクイックステップ・フロアーズがそれを許すことはなかった。そして集団をコントロールすると、途中ライバルチームに追走を任せ、集団ゴールスプリントへの体制を着々と進める。しかしガヴィリアのまさかの落車でいきなりの作戦変更を余儀なくされた。だがそれでも短時間で新たな勝ちパターンを生み出せるのが個性派集団、最後はトップ10に4人の選手が入る圧倒的な組織力を見せた。
今シーズン勝てないアンドレ・グライペル(ロット・ソウダル)はここでも前3人の逃げを許したことが響き、後続でのスプリントで先着し4位は獲得したものの、ゴール後に悔しさを爆発させた。だがこれがチームスポーツ、人数を残していたクイックステップ・フロアーズの組織力に軍配が上がった。
パリ~トゥール
優勝 マッテオ・トレンティン(クイックステップ・フロアーズ) 5h22’51”
2位 ソレン・クラー・アンデルセン(チームサンウェブ)
3位 ニキ・テルプストラ(クイックステップ・フロアーズ) +01”
4位 アンドレ・グライペル(ロット・ソウダル) +07”
5位 マキシミリアーノ・リケーゼ(クイックステップ・フロアーズ)
6位 オリビエ・ナーセン(AG2R)
7位 イブ・ランパート(クイックステップ・フロアーズ)
8位 アンドレア・パスカロン(ワンティ・グループ・ゴベール)
9位 マイク・テウニセン(チームサンウェブ)
10位 ジャン・ピエール・ドラッカー(BMC)
H.Moulinette