[驚異の成長カーブを見せるグローネウェーゲン] 驚異の成長カーブを見せるグローネウェーゲン、「状況が困難な勝負ほど燃えるし、勝った時爽快だろ。」最強スプリンター争いに名乗りを上げる
毎年注目が集まる最強スプリンター争い、今シーズン序盤からその中でひときわ際立っているのがディラン・グローネウェーゲン(ロットNLジャンボ)、今シーズン強豪スプリンターたちを次々と撃破し勝利を量産している男が大きな称号を一つ手に入れた。春のクラシックレースであるクールネ・ブリュッセル・クールネでも鮮やかにスプリントバトルを制して見事に優勝をその手中に収めた。一体この勢いはどこまで続くのか、今シーズンのスプリントバトルの台風の目はこの男で決定だ。
2016年、前年度まで所属したプロコンチネンタルのルームポット・オレンジからワールドツアーのロットNLジャンボ(ユンボ)へといきなりの3年契約で移籍を決めると、いきなりエネコツアーなど、出場するレースで勝利を量産し始めた。オランダナショナルチャンピオンも獲得しこの年だけで10勝を稼ぎ出すと、2017年度はより強豪ぞろいのビッグレースへのさらなる挑戦が始まるがここでも安定した走りでスプリント勝利を重ねる。勝てなくても安定した走りでドバイツアーでは総合2位も獲得するなど、大崩れしない、波のあまりない抜群のセンスを見せつけ、なんとツール・ド・フランス最終ステージで誰もを驚かせる勝利を飾るなど、一気にスターダムへとのし上がってきた。
そのグローネウェーゲンは今やチームの絶対的スプリントエースに成長、24歳にして最強の一角と呼ばれるまでになってきた。今シーズンはドバイツアーでステージ1勝、そしてヴォルタ・アオ・アルガーベではステージ2勝を稼ぎ出すと、クールネ・ブリュッセル・クールネでも勝利を力技でもぎ取って見せた。
チームも絶対的なスプリンターに育ちつつあるグローネウェーゲンを支えるが、完璧なお膳立てがなくとも勝ててしまうのがこの男の強さだろう。この男の強さは状況を問わず勝ててしまうところだ。昨年度のツールで見せたような早仕掛けでの勝利もあれば、自らのアシストがいなくてもタイミング見透かしたかのように飛び出して圧勝したクールネ・ブリュッセル・クールネのように、この男は勝負勘が優れている、「勝利への嗅覚」が極めて高いということがわかる。
「状況が困難な勝負ほど燃えるし、勝った時爽快だろ。」こう言い切ってしまうこの男には勝利というものへのプレッシャーがまだないようだ。今はそのような形で勝利が量産できているが、他のスプリンター同様に必ず勝てない日々が続くことが出てくるだろう。その時にいかにそれを乗り越えていくことができるか、いかに強いメンタルでそれを克服できるかが、それらがグローネウェーゲンがさらなる進化を遂げ「世代最強」となるために必要なことだろう。
今シーズンこれからジョジョのエンジンがかかってくるスプリンターもまだ多い。シーズン序盤戦を慣らし運転ととらえているベテラン勢がこれから本気を見せ始めたとき、それでもそのベテラン勢を撃破することができれば、グローネウェーゲンは間違いなく「一流」の仲間入りを果たす。様々な壁を乗り越えた先にある「最強の称号」への挑戦権をすでにこの男は握っている。
クールネ・ブリュッセル・クールネ順位
優勝 ディラン・グローネウェーゲン(ロットNLジャンボ) 4h51’41”
2位 アルノー・デマール(FDJ)
3位 ソニー・コルブレッリ(バーレーン・メリダ)
H.Moulinette