[ストラーデ・ビアンケ2018] ストラーデ・ビアンケ2018:雨に濡れた”白い道”決戦は伏兵ベノートが見事な勝利!昨年ツール表彰台のバルデが2位、シクロ世界王者ファン・アールトは攻守に活躍で3位、サガン沈黙

今年のストラーデ・ビアンケ、”白い道”決戦は雨に祟られたレースとなった。選手たちの顔もユニフォームも泥まみれとなり、滑りやすくなった路面にも注意しなければならない展開となった。もちろん注目が集まったのはアルカンシエルを着用する世界王者のピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ)やジュニア時代からのライバルでもある元世界チャンピオンミカル・クウィアトコウスキー(チームスカイ)と言った強豪だったが、この日のレースで攻守にわたり大車輪の活躍を見せたのはもう一人のアルカンシエル、現役シクロクロス世界チャンピオンのワウト・ファン・アールト(ヴェランダズ・ウィレムス・クレラン)だった。しかしそんな世界チャンピオン達から主役の座を最後に奪い去ったのは誰も予想していなかった伏兵、ティス・ベノート(ロット・ソウダル)だった。若手期待のクラシックスペシャリストがプロ初勝利をワールドツアーで飾る大仕事をやってのけた。

『若手が活躍したレース @Tim D Waele』
「いつか勝利するよ、とは言っていたけど、僕は勝利を量産するタイプじゃないからね。でも勝つときはビッグタイトルって決めていたんだよ。このレースでは過去に2度8位に入っていたから、僕向きだと思っていたんだよ。今日は”いける”って感じていたし、今日は自信をもって”僕はヒーローだった”って言えるよ。このレースに勝てたことは光栄だし、勝者に名を刻んだことで皆は僕のことを長く覚えてくれているだろ。もちろん僕も覚えているよ、なんていってもプロ初勝利だからね!」まだ23歳のベノートはうれし泣きをしながら語った。

『泥まみれのバトルとなった @Tim D Waele』
この日のレースは序盤から荒れた展開となった。天候がそれに拍車をかけ、各未舗装路セクターを抜けるごとに選手が減っていく展開となる。セクター7では一度は10人ほどの逃げが飛び出すが、次のセクター8までの30㎞で再び集団は一つとなる。しかし最難関とも言われ、アップダウンの激しい未舗装路が選手たちを迎えたセクター8に入るとレースは激化、先頭にはクウィアトコウスキーや最強ベテラン、絶好調のアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)、ファン・アールトらが飛び出していく。さらにはサガン、ベノートらが後方から追走、そしてさらには単独でバルデが先頭集団へと追い付いてくる。

『シクロ世界王者がその才能を披露 @Tim D Waele』
そのバルデは追いつくなりすぐさまアタックを決め、展開が一気に混とんとする。自らのバイクに「take the risk or loose the chance(リスクをとるかチャンスを失うか)」と自らのモットーをフレームに書き込む男がここで一気の勝負に出た。そしてこれに反応したのはファン・アールト、この日さんざんな積極的に動いてきた男はここでも積極性を見せる。これにより他の選手たちはスローダウンし、後続の追走が合流し25名ほどの集団となる。

『ベノートの勢いは誰にも止められなかった @Tim D Waele』

『何度となく仕掛け、独走態勢に @Tim D Waele』
するとこの追走からベノートが飛び出していく。これにクウィアトコウスキーやサガン、ゼネク・スティバー(クイックステップ・フロアーズ)らが対応、追走グループに優勝候補がズラリとかを並べる展開となる。しかしベノートの勝負はここで終わらなかった。「ほかの選手はチームメイトがいたが僕はない、だから仕掛けるしかなかったんだ。」そう後に語った通り、攻撃の手を緩めることなく加速していく。今度は反応したのがピーター・セリー(クイックステップ・フロアーズ)だが、ベノートのパワフルな走りはセリーを置き去りにする。
単独で追うベノートのモチベーションは高く、逃げるバルデとファン・アールトとのタイム差をぐんぐんと縮めていく。そして一気に先を行く二人を捉えると、最後の未舗装路セクターの上りでベノートが一気に仕掛ける。バルデとファン・アールトも反応を試みるが二人に力は残っていなかった。バルデはローテーションを促すもファン・アールトは首を横に振り、限界だという意思表示をする。これで勝負あり、ベノートの独走態勢は決定的となった。

『プロ初勝利がワールドツアーの勝利 @Tim D Waele』
ゴールまでのシエナの街中に入ると激坂の石畳が選手たちを迎える中、ベノートは濡れた路面に慎重になりながら勝利を確信、ガッツポーズを決めながらのゴールとなった。バルデはその背後でファン・アールトを引き離し単独で2位、シクロ世界チャンピオンはいきなり3位表彰台を獲得、そのポテンシャルの高さを見せつけた。
そしてその背後では激しい4位争いが繰り広げられたが、今シーズンすでにステージレースで総合優勝も果たしている最強のオールラウンダーのバルベルデが制した。ここでもキッチリとポイントを稼いだバルベルデは、年間総合ランキングでも順位を上げてきた。サガンは伸びずに8位、目立つことなくレースを終えるも「順調に調子は上がってきている」とコメントしている。

『泥が目に入り皆苦戦 @Tim D Waele』

『まるでシクロクロス @Tim D Waele』
ストラーデ・ビアンケ
優勝 ティス・ベノート(ロット・ソウダル) 5h03’33’
2位 ロメイン・バルデ(AG2R) +39”
3位 ワウト・ファン・アールト(ヴェランダズ・ウィレムス・クレラン) +58”
4位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) +1’25”
5位 ジョバンニ・ヴィスコンティ(バーレーン・メリダ) +1’27”
6位 ロバート・パワー(ミッチェルトン・スコット) +1’29”
7位 ゼネク・スティバー(クイックステップ・フロアーズ) +1’42”
8位 ピーター・サガン(ボーラ・ハンスグロエ) +2’08”
9位 ピーター・セリー(クイックステップ・フロアーズ) +2’11”
10位 グレゴール・ミュールベルガー(ボーラ・ハンスグロエ) +2’16”
H.Moulinette