[揺らぐチームスカイ、トーマスが移籍を示唆] 揺らぐチームスカイ、”もう一人のエース”ゲラント・トーマスが移籍を示唆、問われているのはスキャンダル続きのチームスカイの倫理観

本来であれば来シーズン以降もチームスカイでの長期契約が噂されていたゲラント・トーマス、しかしブラッドリー・ウィギンス問題に始まり、クリス・フルームでも引き続いたドーピンググレーゾーンでの問題に、チームを去ることも選択にあることを口にした。さらにはツール・ド・フランスへ向けて”エース”としてのスタンスで準備をするとも発言、はっきりしないチーム内の状況と、あくまでも絶対王者のフルーム中心のチームの考えによる、自らのあやふやにされる立ち位置に対して苦言を呈する形となった。
フルームの状況がはっきりしない現段階で、トーマスの役割自体もはっきりしないというあおりを受けている。チームからはグランツールエースとしての役割を与えられながらも、チームスカイとしてはあくまでも絶対王者のフルームが中心だ。その為本来であれば昨シーズン落車でチャンスを逃したジロ・デ・イタリアで今年もエースを務めると思われていたが、フルームの3大グランツール連続優勝への挑戦が優先され、そのレーススケジュールまでもがはっきりしない状態だ。
<table width=670order=”0″ align=”right” cellpadding=”6″ class=”caption”>
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<td align=”center”><img src=”http://image.cyclingtime.com/themes/newsimg2012/180222002_1.jpg” border=”0″></a>
<font color=”gray”>『トーマスは身の振り方を考え中 @Tim D Waele』</font></td></tr></table>
しかし現状では、フルームはジロ・デ・イタリアのみならず、ツール・ド・フランスも出場を逃す可能性がある。それを踏まえてトーマスは「僕はツール・ド・フランスでエースとして走ることを前提にトレーニングをしている。その為にベストコンディションを整えるつもりだよ」とコメント、状況に応じてというよりは、チームのスタンスに対しての苦言とも言える形で発言をした。チームスカイとしてはフルームがダメだった場合のバックアッププランという形ではあるが、トーマスがすでに移籍を示唆しているのみならず、「フルームがツールに出場をしたとしても、僕は僕で総合上位でどこまで走れるかを確認するつもりだ。」とも発言しており、チームスカイが一枚岩でなくなってきている。
「ルールは重要だが、それ以上に倫理感のほうが大事でしょ。僕はずっとそうして育てられてきたからね。そもそも必要がないものを摂取しようという考えが僕にはないんだよ。つまりはTUE(治療目的例外措置)も必要な人間には必要なんだよ。でもそれを逆手に利用するなんて考えは僕の脳裏には全くないんだよ。」トーマスはそう答えた。
今回の一件が今シーズン限りで契約が切れることに影響があるか、との質問に対しては、「フルームの件次第というところもあるよね。でもチームを去るのであれば、理由はそれだけではないよ。たとえが給与だったり、契約内容だったり、様々なことが考えられるよ。」トーマスはそうやんわりと答えた。しかしながら今までチームスカイで長期契約ということを口にしていたことを考えれば、現段階では”去る”という選択肢が明確にトーマスの脳裏に浮かんでいることが確実だ。グレーな案件が多いチームだけに、所属している限りはあらぬ疑いをかけられたり、色眼鏡で見られてしまうというハンディキャップが付きまとう。脂の乗り切った今だからこそ、他のチームで絶対的エースとして活躍するという選択肢はありだろう。
果たして今シーズンこれからどのような走りを見せるのか、それ次第ではシーズン後半には解禁となる移籍市場へ向け、トーマスの身辺がさらに騒がしくなりそうだ。
H.Moulinette