ブエルタ・ア・エスパーニャ第21ステージ:最終ステージはトレンティンで今大会4勝目も逆転スプリント賞ならず!フルームはダブルツール達成!総合優勝、スプリント賞、コンビネーション賞獲得
今年のブエルタ・ア・・エスパーニャが幕を閉じた。最終ステージの注目はマッテオ・トレンティン(クイックステップ・フロアーズ)の逆転スプリント賞獲得だったが、昨日のアングリルでタイムオーバーで救済されたトレンティンがポイント剥奪無くポイント賞狙いというのはおかしいという抗議の意思を示していた。チームスカイとクリス・フルームは宣言通りスプリントに参加、トレンティンは絶対条件であるステージ優勝を果たしたが、フルームがステージ11位でポイントを獲得したために、逆転でのスプリント賞獲得はならなかった。代わりにフルームは総合優勝でツール・ド・フランスとブエルタ・ア・エスパーニャのダブルツールの偉業に加えて、ポイント賞ジャージとコンビネーションジャージも獲得、世代最強の選手がその名にふさわしい結果を残してみせた。
圧倒的なトレンティンのスプリントだった。今大会ここまで自ら3勝を挙げ、チームは5勝をあげていたが、このステージ優勝で21ステージ中6ステージの勝利という圧倒的な存在感を示した。このステージでも逆転ポイント賞の条件を満たすために、まずは中間スプリントをきっちりと一位通過、そしてステージ優勝を狙った。ニキ・テルプストラ、イブ・ランパート、そして最後はジュリアン・アラフィリップ(3人共クイックステップ・フロアーズ)のトレインから発射されロングスパート、圧倒的な強さで最終ステージも優勝を掴んだ。
「4勝してもポイント賞ジャージを取れないなんて冗談だよね。」苦笑いをしながらも、「チームのお陰で今大会4勝もできたんだ、誇りに思うよ。」とチームの組織力を讃えた。
通常であれば総合優勝選手を出したチームが横並びでゴールすることが通例なのだが、フルームがポイント賞を狙うということで通常ステージと同じく競い合ってのゴールとなった。フルームは12位以下であればポイント賞ジャージを失うところ、自力のスプリントでステージ11位に入り、ポイント賞を譲らずキープすることに成功した。
そして総合優勝を確定させ、ブエルタが秋開催に移って以降は史上初となるツール・ド・フランスとブエルタ・ア・エスパーニャの同一年連覇のダブルツール達成、(ブエルタ春開催も含めると通算3人目)という偉大な記録を達成、また一つ記録に名を刻んだ。また山岳、ポイント、総合の合計で競われるブエルタ独特のコンビネーション賞も獲得、史上最強の王者は伝説はこれからも続きそうだ。
ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)はジロ・デ・イタリアに引き続き今大会でも総合2位、ライバルの前に悔しい思いが募る一年となった。総合3位にはイルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン)が入り、昨日ステージ優勝を果たし今大会限りで引退を決めているアルベルト・コンタドール(トレック・セガフレド)は 集団ゴールの際にタイム差が付き結局総合5位に終わった。しかし今大会での総合敢闘賞を獲得、元王者が王者の何ふさわしい引退の花道を自ら演出した。
そのコンタドールに変わり総合4位に入ったウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ)、ジロ・デ・イタリアを制したトム・デュムランに続く新たな才能の開花、チームサンウェブにとっては価値あるブエルタとなった。
今大会最も印象的だった1人ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)は新人賞を獲得、規定上ジャージはないが、25歳以下の選手で最高位となる総合8位となった。そのアスタナはチーム総合も獲得、総合では振るわなかったがファビオ・アルー(アスタナ)もその結果に貢献し表彰台に登った。
今大会フルームが逃した唯一の賞は山岳賞、その山岳賞を獲得したのはダビデ・ヴィレラ(キャンデール・ドラパック)、チーム存続に大きく貢献した価値ある山岳賞となった。またチームメイトのマイケル・ウッズ(キャノンデール・ドラパック)も総合7位と大健闘、新チームとなる来シーズンに要になりそうだ。
様々な記録や記憶に残る大会となった今年のブエルタ・ア・エスパーニャ、ジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランスに比べると華やかさがないと言われるが、9つの頂上ゴールというまさに地獄の過酷さで選手とチームの真の実力が試される見どころ満載の大会となった。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第21ステージ
1位 マッテオ・トレンティン(クイックステップ・フロアーズ) 3h06’25”
2位 ロレンツォ・マンチン(FDJ)
3位 ソレン・アンデルセン(チームサンウェブ)
4位 トム・ファン・アスブロック(キャノンデール・ドラパック)
5位 イヴァン・ガルシア(バーレーン・メリダ)
6位 マグナス・コート(オリカ・スコット)
7位 ケネス・ファン・ヴィルセン(コフィディス・ソルーションクレジッツ)
8位 サッシャ・モドロ(UAEチームエミレーツ)
9位 ミカエル・シュワルツマン(ボーラ・ハンスグロエ)
10位 ダニエル・ホールガード(FDJ)
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 クリス・フルーム(チームスカイ) 82h30’02”
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) +2’15”
3位 イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン) +2’51”
4位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ) +3’15”
5位 アルベルト・コンタドール(トレック・セガフレド) +3’18”
6位 ワウト・ポエルス(チームスカイ) +6’59”
7位 マイケル・ウッズ(キャノンデール・ドラパック) +8’27”
8位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +9’13”
9位 スティーブン・クライズワイク(ロットNLジャンボ) +11’18”
10位 ティージェイ・ヴァン・ガーデレン(BMC) +15’50”
山岳賞
ダビデ・ヴィレラ(キャノンデール・ドラパック)
ポイント賞
クリス・フルーム(チームスカイ)
コンビネーション賞
クリス・フルーム(チームスカイ)
チーム総合
アスタナ
総合敢闘賞
アルベルト・コンタドール(トレック・セガフレド)
新人賞
ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)
H.Moulinette