もう一つの開幕戦、アルゼンチンのブエルタ・ア・サン・ホァンは今年も下克上で幕、世界の強豪選手相手に地元勢が大暴れでナハールがクイーンステージ制覇からそのまま総合優勝!
『I am No.1! @Tim D Waele』
地元の利とはよく言ったものだ。南米で唯一ワールドツアーチームが参加するビッグレースでは、今年も下克上が成立、ジャイアント・キリングを地元選手が達成してのけた。母国のレースで格下の選手が大物食いを果たすのは南米では当たり前の光景になりつつあり、いかにポテンシャルを秘めた選手が多いかを物語っている。サッカーではヨーロッパと南米が世界のトップクラスに君臨するが、サイクリングでも南米勢が今後世界勢力となる可能性を秘めている。
第5ステージのクイーンステージ、最後の山岳でするすると抜け出したのは現アルゼンチンロードチャンピオンのゴンザロ・ナハール(S.E.Pデ・サン・ホァン)、前日までの総合リーダーフィリッポ・ガンナ(UAEチームエミレーツ)、オスカル・セビーリャ(メデリン・インテル)、ルドルフォ・トーレス(アンドローニ・ジョカットリ・シダーメック)らが猛追をするが、テンポよく快走を続けるナハールには全く問題がなかった。そのまま後続に2分近い差をつけてのゴールで、一気に総合リーダーに躍り出た。
第6ステージではワールドツアーチームが意地を見せた。ロット・ソウダルのイェーレ・ワレイスが逃げ集団から飛び出しそのままトップでゴールし、ローカルチームの大躍進に歯止めをかけた。しかし2位には今や一大勢力となりつつあるコロンビアのロビグソン・オヨラ(メデリン・インテル)がトラヴィス・マッカベ(ユナイテッドヘルスケア)とイリヨ・カイセ(クイックステップ・フロアーズ)を抑えるなど、下克上は続く。
『早くもシーズン初勝利 @Tim D Waele』
最終日第7ステージはスプリントステージ、もうこうなれば総合優勝のナハールは確定的、2位に51秒の大差は最後まで変わることはなかった。ステージを制したのはジャコモ・ニッツォーロ(トレック・セガフレド)、ステージ2勝目を狙ったマキシミリアーノ・リケーゼ(クイックステップ・フロアーズ)は2位に沈んだ。
今年もまさかの下克上、ナショナルチャンピオンではあるが前評判の高くなかった24歳のナハールがまさかの総合優勝、頂上ゴールの際はコンドルのポーズで勝利を祝い、そしてそのまま最後までその座を譲らなかった。思い切りよく勝負し、可能性に欠けるそのハングリーさは次へつながる大きなステップとなるかもしれない。
今年も新たな才能が多くみられた南米での開幕戦、南米勢力がどこまでその勢いを強めていくのか、まだまだ自転車レース後進国でありながらも多くの才能を抱える可能性秘めたこのレースは今後もいろいろな意味での指針となりそうだ。
ブエルタ・ア・サン・ホァン
優勝 ゴンザロ・ナハール(S.E.Pデ・サン・ホァン) 21h59’06”
2位 オスカル・セヴィーリャ(メデリン・インテル) +51”
3位 フィリッポ・ガンナ(UAEチームエミレーツ) +1’01”
4位 ルドルフォ・トーレス(アンドローニ・ジョカットリ・シダーメック) +1’41”
5位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ) +1’58”
6位 ティス・ベノート(ロット・ソウダル) +1’59”
7位 オマール・メンドーザ(メデリン・インテル) +2’08”
8位 ダイヤー・キンターナ(モビスター) +2’58”
9位 カンスタンティン・シウトソウ(バーレーン・メリダ) +3’19”
10位 レミ・カヴァーニャ(クイックステップ・フロアーズ) +3’26”
H.Moulinette