ブエルタ・ア・エスパーニャ第11ステージ:頂上ゴールで総合大シャッフル!フルームについて行けたニーバリ、ケルデルマンが大きくジャンプアップ、ロペスもステージ勝利でトップ10入り
ブエルタの折り返し、第11ステージの頂上ゴール決戦は総合勢にとっては明暗が大きく別れるステージとなった。このステージの結果で総合順位は大きくシャッフル、ステージ優勝をしたミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ)が総合10位へと大きくジャンプを果たした。またステージ2位に入ったクリス・フルーム(チームスカイ)について行けたヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)が総合2位へとジャンアップする中、総合2位、3位を含むトップ10圏内の選手が軒並み脱落、総合順位が大シャッフルされるステージとなった。
これだけの大シャッフルがあったのに中級山岳、それがブエルタの怖さだ。残り14km、カラーアルト、そのゴールまでの最後の上りに突入し、先行するのは3名、ロメイン・バルデ(AG2R)とダーウィン・アタプマ(BMC)、サイモン・イェーツ(オリカ・スコット)の3人となる。バルデはこの日の逃げから粘り続け、そこにアタプマが追走集団を飛び出し合流、そしてサイモンはチームメイトのアダム・イェーツとエステバン・チャベスがいるために戦略的に追走、この時点で3人と後続とのメイン集団との差は3分弱まで離れていた。
しかしバーレーン・メリダの牽引によりその差はぐんぐんと縮まっていく。先頭ではまずサイモンがバルデらに合流できずにどんどんと遅れていく。そして残り11kmで後続のメイン集団でまずアルベルト・コンタドール(トレック・セガフレド)が揺さぶりのアタックを仕掛ける。これが号砲代わりとなりそのすぐ直後に今度はヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)がアタックを仕掛ける。これにより総合系選手が残っていたメイン集団は完全に崩壊、総合2位のチャベス、総合3位のニコラス・ロッシュ(BMC)、総合5位のティージェイ・ヴァン・ガーデレン(BMC)、総合6位のダビ・デ・ラ・クルス(クイックステップ・フロアーズ)、総合7位のファビオ・アルー(アスタナ)、総合8位のマイケル・ウッズ(キャノンデール・ドラパック)、総合9位のアダム・イェーツ(オリカ・スコット)らが遅れを取る。ニーバリについて行けたのはロペス、総合リーダーのフルーム、総合10位のイルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン)、ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ)だけという状況となる。
バルデらを飲み込み置き去りに、ついに先頭に躍り出たニーバリらはそのままペースを落とすこと無くのぼりつづけ、後続のライバルたちとの差は徐々に広がっていく。そして残り2kmでまたしてもニーバリが仕掛ける。フルームはこの日は切れ味悪く、それにすぐに対応するのではなくマイペースで上りながらその差を詰める形となるが、ニーバリも切れ味鈍くフルームを振り切ることが出来ない。すると残り1kmでロペスが一気に加速、ニーバリやフルームとの差をみるみる広げていく。これでステージ勝負は勝負あり、ロペスが見事にステージ優勝を奪取した。
「怪我のあと随分と苦しい時期が続いたけど、ようやく勝利できたよ。雨と寒さでステージはかなり厳しかったけど、でも最後の上りではまだ脚に力が残っていたんだよ。だから自分が勝てると確信を得られるタイミングまで待ち続けたんだ。カザフスタンの憲法記念日に勝てたことがチームにとっては極めて重要だよね。」ロペスはこの勝利が自らとチームにとって大きな勝利であることを口にした。
そしてその後ろではフルームとニーバリ、ケルデルマン が3つ巴でゴールへ流れ込んでくるが、フルームが僅かに先着し2位、ニーバリは3位に終わったがこれで総合順位を大きく上げ一気に2位までジャンプアップを果たした。ステージ4位にケルデルマンが入り、総合でも5位となった。また少し遅れてゴールはしたが、ザッカリンも総合6位まで順位を上げた。総合3位から8位は30秒ほどのタイム差の中にひしめき合っており、表彰台争いは激化しそうだ。しかし全体的に見れば、総合1位のフルームと後続との差は大きく広がった。この日2分近くタイムを失ったチャベスは何とか総合3位はキープしたものの、2分半以上の差まで広がってしまった。大会中間地点での中級山岳でこのきつさ、本格的山岳ではどのようなドラマが待っているのか、今年のブエルタはハイレベルな潰し合いになりそうな雰囲気を感じさせる。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第11ステージ
1位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) 5h05’09”
2位 クリス・フルーム(チームスカイ) +14”
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)
4位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ)
5位 ロメイン・バルデ(AG2R) +31”
6位 アルベルト・コンタドール(トレック・セガフレド)
7位 イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン)
8位 ミケル・ニエベ(チームスカイ)
9位 ダーウィン・アタプマ(BMC) +1’02”
10位 ダビ・デ・ラ・クルス(クイックステップ・フロアーズ) +1’14”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 クリス・フルーム(チームスカイ) 45h18’01”
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) +1’19”
3位 エステバン・チャベス(オリカ・スコット) +2’33”
4位 ダビ・デ・ラ・クルス(クイックステップ・フロアーズ) +2’36”
5位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ) +2’37”
6位 イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン) +2’38”
7位 ファビオ・アルー(アスタナ) +2’57”
8位 マイケル・ウッズ(キャノンデール・ドラパック) +3’01”
9位 アルベルト・コンタドール(トレック・セガフレド) +3’55”
10位 ミゲル・アンヘル・ロペス(アスタナ) +4’11”
H.Moulinette