ブエルタ・ア・エスパーニャ第10ステージ:強いクイックステップ!強いトレンティン!山岳こなしスプリントで圧倒の逃げ切り勝利!これで今大会2勝目!ロッシュが最後に抜け出し総合タイム稼ぐ
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今大会のマッテオ・トレンティン(クイックステップ・フロアーズ)は止めようがないほどに絶好調だ。チームメイトの勝利をアシストしたかと思えば自らも勝利、そしてこのステージでも逃げに乗ると山岳を平然とこなし、最後は余裕のスプリント勝利、これで自ら今大会2勝目を飾るとともにチームはすでに今大会4勝目、最強個性派集団の勢いはまったくとどまるところを知らない。また総合争いはそのまま動き無く終わるかに思われたが、最後の最後で下りでニコラス・ロッシュ(BMC)が抜け出し僅かながらタイム差をつけてゴールした。
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『2枚の強力なメンバーが逃げに乗ったクイックステップ・フロアーズ ©Tim D Waele 』
来シーズンの移籍が決まっているトレンティン、新天地でクラシックでのエースが約束されている男はその適性をしっかりと見せつけた。この日のステージはレース中盤を越えた90km過ぎ、ゴールまで75kmを残して逃げ集団が形成される。それと同時に後続の集団も分裂、そのままレースが進んでいく。その先頭集団にニキ・テルプストラとトレンティンを送り込んだクイックステップ・フロアーズ、どちらも勝利を狙える有力選手が入ったことで、ライバルチームにとっては脅威となった。
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『トレンティンが登りでも素晴らしい走り ©Tim D Waele 』
残り45kmを切り上りに入ると、ゴール勝負へ向けた駆け引きが早くも始まる。その中で最初はとレンティンが、そしてつぎはテルプストラがきちんと対応、そしてさらなる動きにまたトレンティンが反応とクイックステップ・フロアーズが常に勝利に向けての意思を示す。同じ逃げ集団にはアレッサンドロ・デ・マルキ(BMC)やルイス・レオン・サンチェス(アスタナ)などもいたが、常にアタックに気を配り続けたトレンティンらに対して仕掛け遅れてしまう。
『下りは得意不得意がはっきりする場 ©Tim D Waele 』
ホセ・ホアキン・ロハス(モビスター)、ジェイミー・ロンソン(カハルーラル・セグロスRGA)、ジャック・イェンス・ファン・レンズバーグ(ディメンション・データ)、そしてトレンティンの4人がゴール前最後の1級山岳への細い道を快調に飛ばし、そして頂上を超えるとまた細くテクニカルなダウンヒルでも同じく加速していく。ただこの下りて技術、そして恐怖心克服の差が出ることとなった。トレンティンとロハスは残り二人を置き去りにしてさらに加速、最後のゴール勝負を二人で迎えることとなる。
しかし目に見て余裕があるのはトレンティン、何度となく後続との差を確認するのに対し、ロハスはただ前だけを見て漕ぎ続ける。そして迎えたゴール勝負、残り400mでロハスが早めにしかけるがトレンティンは冷静にその背後を取りスリップストリームに。そのままストレートでトレンティンが加速をするとロハスはギブアップ、最後の勝負すること無くトレンティンに軍配が上がった。
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『トレンティン圧勝 ©Tim D Waele 』
「このステージは狙っていたんだけど、最後の1級山岳がどうかが気がかりだったんだよね。きついのがわかっていたからね。でもメンバーも良かったし、脚も回っていたんでこれはいけると思ったんだよ。最後の頂上からの下りもテクニカルなのはわかっていたし、そんなダウンヒルが得意なロハスが一緒にいたのは大きかったね。正直ついていくので精一杯だったけどね。これでブエルタで4勝目、ジロとツールでチームは5勝ずつ挙げているから、ここでも5勝目を狙いに行くよ。」トレンティンの言葉には自信がみなぎっていた。
そしてその背後の総合バトルでは、まず1級山岳の上りでバーレーン・メリダが素晴らしい統率力と引きを見せる。この日ばかりはヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)が主人公だとばかりに引き続けるが、結局頂上前にはアシストはいなくなり、攻めきるところまでは行かない。下りが得意なニーバリにとっては、この頂上をライバルたちよりも早く超えられればタイム差を稼ぎ出すチャンスではあったが、やはり今大会のニーバリは調子が上がってきていないようだ。
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『この日は珍しく雨が選手たちの足元を濡らした ©Tim D Waele 』
そのゴールへの下りではロッシュがクリス・フルーム(チームスカイ)らから飛び出し、単独でゴールへと爆走する。集団はこれを追うことはせず無理せずゴール。ロッシュはこの日だけで一気に29秒のタイム差をライバルたちに対して稼ぎ出し、総合3位は変わらないがエステバン・チャベス(オリカ・スコット)と同タイムまで挽回した。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第10ステージ
1位 マッテオ・トレンティン(クイックステップ・フロアーズ) 3h34’56”
2位 ホセ・ホアキン・ロハス(モビスター)
3位 ジェイミー・ロンソン(カハルーラル・セグロスRGA) +19”
4位 ジャック・イェンス・ファン・レンズバーグ(ディメンション・データ) +21”
5位 アレクサンドレ・ジェニエ(AG2R) +56”
6位 マルク・ソレル(モビスター) +59”
7位 ルイス・レオン・サンチェス(アスタナ) +2’22”
8位 アレッサンドロ・デ・マルキ(BMC)
9位 アルノー・クルティエール(FDJ) +2’40”
10位 ラファエル・リース(カハルーラル・セグロスRGA) +3’05”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 クリス・フルーム(チームスカイ) 40h12’44”
2位 エステバン・チャベス(オリカ・スコット) +36”
3位 ニコラス・ロッシュ(BMC)
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) +1’17”
5位 ティージェイ・ヴァン・ガーデレン(BMC) +1’27”
6位 ダビ・デ・ラ・クルス(クイックステップ・フロアーズ) +1’30”
7位 ファビオ・アルー(アスタナ) +1’33”
8位 マイケル・ウッズ(キャノンデール・ドラパック) +1’52”
9位 アダム・イェーツ(オリカ・スコット) +1’55”
10位 イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン) +2’15”
H.Moulinette