ブエルタ・ア・エスパーニャ第8ステージ:アラフィリップがマイカとポランツを振り切り会心のステージ勝利!総合バトルはフルームとコンタドールが逃げてライバルにタイム差!
ブエルタのコース設定は、間違いなく他のグランツールに比べてバトルを誘発するような設定となっている。そしてこの日のすテージでもステージ優勝争いと総合順位争いという2つの激しいバトルが繰り広げられた。ステージ優勝争いを制したのはジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・フロアーズ)、チームはこれで今大会早くも3勝目、今年のグランツールここまで50ステージ中13勝という量産真っ只中だ。また総合争いではまたしてもクリス・フルーム(チームスカイ)がその強さを発揮した。
この日最後の通過頂上ポイント、ゴールから僅か3kmの地点への道のりは勾配18%の激坂だった。軽やかにこの日の逃げ集団から飛び出ひたのはラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ)、今大会での総合エースとして期待されながらも大きくタイムを失い、ステージ優勝へと目的を切り替えていた。そしてそれにすぐに反応したのがアラフィリップ、何度となくマイカがアタックをして振り切ろうとするが、怪我から復帰、自らの復調具合を確かめるように走るアラフィリップを振り切ることが出来ない。そしてヤン・ポランツ(UAEチームエミレーツ)が二人をマイペースで追い続ける。何度となく加速と減速を繰り返し揺さぶるが、アラフィリップの表情は笑っているかのようにみえるほど余裕が感じられた。
そして頂上を越え下りに入ると、猛烈なスピードで下ってきたポランツが残り1kmほどで合流する。これにより巴戦となるかに思われたが、残り400m、マイカとポランツの動きを見ながら早めに仕掛けたアラフィリップの加速に、二人はまったくついていくことができなかった。最後は独走でガッツポーズ、チーム勝利数をさらに積み重ねた。ステージ2位にはポランツ、これでUAEチームエミレーツは連日のように結果を残している。またマイカは3位に終わった。
「本当は明日の激坂頂上ゴールが僕向きだと思っていたんだけだ、今日勝っちゃったね。今日は誰かが逃げに乗るという戦略だったんだけど、僕の脚の調子が良かったんで志願したんだよ。あの上りでは間違いなくマイカが仕掛けるのはわかっていたから、きっちりとマークしていたんだよ。だからあの頂上をどうこなすかが勝負だったね。春先の膝の怪我から、ようやくここまで復活できたよ。チーム勝利数?まだグランツールは終わってないでしょ。(笑)」アラフィリップは自らの体調の良さで志願して攻めたことを笑顔で語った。
その背後では総合優勝を目指す総合上位勢による激しいバトルが繰り広げられていた。最後の上りに入った集団では、まずサイモン・イェーツ(オリカ・スコット)、ダビ・デ・ラ・クルス(クイックステップ・フロアーズ)、そしてマイケル・ウッズ(キャノンデール・ドラパック)らが動きを見せる。この段階でフルームの姿は集団後方に沈んで入るが、チームスカイのチームメイトたちがガッチリとそれを守り、仕掛けるタイミングを待っていた。
そして激坂区間に入ると、フルームが一気に加速、これに反応できたのは総合2位のエステバン・チャベス(オリカ・スコット)、アルベルト・コンタドール(トレック・セガフレド)そしてウッズだった。ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)は辛うじてそれに反応するが、すぐに遅れてしまう。そしてフルームがさらに加速をすると、チャベス、ウッズも脱落してしまう。さらにコンタドールもわずかに引き離して頂上を越えたフルームだが、コンタドールはフルームに再び追いつくと、この二人はそのままゴールまでランデブーを続けた。
十数秒の差ではあるが総合ではフルームがライバルたちとのタイム差をさらに広げることに成功、そしてタイム以上にライバルたちにフルームの強さを刻み込み、精神的なダメージを与えただろう。レース後にニーバリは、「調子はいいんだけど、ただフルームにはついていけない、それだけのことだ。」トフルームの強さを痛感したことを示唆した。それでもニーバリはティージェイ・ヴァン・ガーデレン(BMC)を交わして総合4位に順位を上げた。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第8ステージ
1位 ジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・フロアーズ) 4h37’55”
2位 ヤン・ポランツ(UAEチームエミレーツ) +02”
3位 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグロエ)
4位 セルジュ・パウエルス(ディメンション・データ) +26”
5位 ネルソン・オリベイラ(モビスター) +28”
6位 ミケル・クレーダー(アクア・ブルー・スポーツ) +32”
7位 マクシム・モンフォール(ロット・ソウダル)
8位 バート・デ・クレルク(ロット・ソウダル) +34”
9位 アルベルト・ロサダ(カチューシャ・アルペシン) +37”
10位 エマニュエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグロエ) +1’04”
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合順位
1位 クリス・フルーム(チームスカイ) 32h2613”
2位 エステバン・チャベス(オリカ・スコット) +28”
3位 ニコラス・ロッシュ(BMC) +41”
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ) +53”
5位 ティージェイ・ヴァン・ガーデレン(BMC) +58”
6位 ファビオ・アルー(アスタナ) +1’06”
7位 ダビ・デ・ラ・クルス(クイックステップ・フロアーズ) +1’08”
8位 アダム・イェーツ(オリカ・スコット) +1’18”
9位 マイケル・ウッズ(キャノンデール・ドラパック) +1’41”
10位 イルヌール・ザッカリン(カチューシャ・アルペシン) +1’57”
H.Moulinette