ブエルタ・ア・エスパーニャ第18st:個人TTマスはタイムロスを抑える快心の走り!ログリッチはガルを突き放すもマスには大きくは迫れず、ステージを制したのはキュング、2位のソーンリーに大化けの予感
この第18ステージの個人TTこそが総合争いのカギになると思われていたステージだ。個人TTは得意不得意がはっきりしており、1ステージで2分、3分というタイム差がひっくり返ることはよくあることだ。機材の進化が進んでも、この得意不得意の壁は大きく立ちはだかり、戦局を激変させる破壊力を持つ。そしてそれが山岳ステージ直前に配されているのであれば、なおのこと大きな影響を与えかねないものだ。

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そんな中迎えた個人TT,ステージ優勝争いと共に総合勢の順位がどう変わるのか、そこに大きな注目が集まった。総合3位、4度ブエルタ・ア・エスパーニャ覇者のプリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)は個人TTを得意としているのに対し、今年の総合トップ10を見渡した時、個人TTを得意としている選手がログリッチ以外に見受けられない、つまりはログリッチが総合5度目の優勝へ向け逆転できるのかが注目ポイントだった。
スタートは昨日の総合順位の逆、総合トップ20までは1分間隔、トップ10からは2分間隔でのスタートとなる。新人賞争いを繰り広げている総合5位のオスカル・オンリー(ネットカンパニー・イネオス)と総合6位のコブ・オムルツェル(バーレーン・ヴィクトリアス)はスタート前は僅か28秒差、ここの争いにも注目が集まった。中間計測ではじわじわとオンリーがその差を広げていくが、その差は大きくは開いては行かない。最終的にゴールでは29秒の差をつけ、総合では57秒差まで広げることに成功したオンリーに軍配が上がった。

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ベテランのリチャード・カラパズ(EFエデュケーション・イージーポスト)がスタートし激走する背後で、トップ3がスタートしていく。まずはログリッチがスタート、快調にタイムを刻んでいく。その次に大柄で爆発力のないフェリックス・ガル(デカスロンCMA・CGM)がスタート、状態が少し起き上がったポジションからも個人TTが得意ではないことがはっきりと見て取れる。そして最後にマイヨ・ロホを着用する総合リーダーにエンリック・マス(モビスター)がスタートしていった。

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最初の中間計測ではログリッチが二人よりも早く、その差はじわじわと広がっていく。だがこの段階でガルとマスのペースはほぼ変わらなかった。だがここからガルとマスの明暗が分かれていく。ガルがどんどんとタイムを失っていくのに対し、マスは当初予想されていたよりも遥かによいペースでタイムを刻んでいく。最大でログリッチに対し1分半ほど失うと予想されていたが、それどころかだ最終中間計測からゴールまでのタイムではログリッチを上回る快走を見せた。結果ステージ4位に入ったログリッチは総合2位の座をガルから奪いさらにタイム差を1分24秒にまで広げることに成功した。だがマスとのタイム差は僅か33秒しか縮められず、1分37秒差で最終山岳バトルへと突入することとなった。

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そんな個人TTで躍動したのはTTスペシャリストたちだ。出走順が早かった選手の中でカルム・ソーンリー(レッドブル・ボーラハンスグロエ)が35分25秒のトップタイムをたたき出すと、暫定トップの選手が座るホットシートに長きにわたり鎮座した。23歳で今シーズンからとプうチームに合流を果たしたが、昨年度のU-23イギリス個人TTチャンピオンであり、その才能がこの日大きく開花することとなった。だがステージ優勝の夢は、ベテランのTTスペシャリストステファン・キュング(チュードル・プロサイクリング)によって打ち砕かれてしまった。序盤はペースを落とし眼でスタートしたキュングは、中盤に一気にペースを上げると、そのまま最後まで突き進みソーンリーよりも3秒早い35分22秒でゴールラインを駆け抜けた。32歳の大ベテランは今シーズン序盤に大腿骨骨折の大けがを負ったが、大会直前のツール・ド・ポローニュの第7ステージ個人TTでも勝利しており、完全復活を遂げた。ブエルタ・ア・エスパーニャでは2024年の最終ステージでログリッチを抑えてステージ勝利を飾っており、これがブエルタ2勝目となった。
ステージ3位には今大会いいところがなかった総合系のジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツXRG)が入り、今大会大暴れのワウト・ファン・アールト(ヴィズマ・リースアバイク)もステージ5位に入って見せ、ここでもその好調さを感じさえてくれた。
このステージを終え総合トップ10では大きな変動はなく順位の入れ替えが少し発生したにとどまった。唯一セップ・クス(ヴィズマ・リースアバイク)がトップ10陥落で総合11位となり、ハロルド・テハダ(XDSアスタナ))がトップ10返り咲きとなった。これでXDSアスタナは総合9位のクリスチャン・ロドリゲス(XDSアスタナ)と合わせてトップ10に二人を送り込む形となっている。
ステファン・キュング(ステージ1位)
「タイム差が大きかろうが小さかろうが、勝たねば意味がないんだよ。だから勝てたことが最高にうれしいね。今回のように32㎞のフラットな高速コースだと、ワンミスが命取りになるんだ。高速であるが故にトップTTスペシャリストたちにとっては差が付きにくいからね。僕はいくつかのコーナーで小さなミスをしたんだけど、幸いなことに元のリズムに戻すことができたんだ。」
エンリック・マス(総合1位)
「頭に中にタイムクロックはあったんだよ。皆が予想しているほどにタイムを失わない自信はあったんだ。今回は32㎞の区間を3つに分けて考えていたんだ。そして結果的に上出来だったと思うよ。もっといいTTをしたこともあるけど、この結果には満足しないとおかしいよね。1ステージぐらい勝利したいけど、まずは総合で勝ち切ることが最優先事項だね。」
第18ステージ順位
1位 ステファン・キュング(チュードル・プロサイクリング) 35’22”
2位 カラム・ソーンリー(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +03”
3位 ジョアオ・アルメイダ(UAEチームエミレーツXRG) +09”
4位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +19”
5位 ワウト・ファン・アールト(ヴィズマ・リースアバイク) +20”
6位 フィン・フィッシャー・ブラック(レッドブル・ボーラハンスグロエ) +21”
7位 ブルーノ・アルミライユ(ヴィズマ・リースアバイク) +26”
8位 イヴァン・オリベイラ(UAEチームエミレーツXRG) +30”
9位 イーサン・ヘイター(ソウダル・クイックステップ) +32”
10位 ハビエル・アズパレン(ピナレロQ36.5 ) +33”
ブエルタ・ア・エスパーニャ)総合順位
1位 エンリック・マス(モビスター) 60h45’58”
2位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ) +1’37”
3位 フェリックス・ガル(デカスロンCMA・CGM) +3’01”
4位 リチャード・カラパズ(EFエデュケーション・イージーポスト) +5’17”
5位 オスカル・オンリー(ネットカンパニー・イネオス) +6’03”
6位 ヤコブ・オムルツェル(バーレーン・ヴィクトリアス) +7’00”
7位 クレメント・ベルセット(グルーパマFDJユナイテッド) +7’47”
8位 マティアス・スケルモース(リドル・トレック) +7’51”
9位 クリスチャン・ロドリゲス(XDSアスタナ)
10位 ハロルド・テハダ(XDSアスタナ) +9’57”
H.Moulinette












