ツール・ド・フランス2026第15st:休息日前の総合バトルを制したのはエヴァネポエル、ポガチャルはデル・トロの総合をアシストしてアタックせず、ヴィンゲガードは終盤の落車でリタイア
休息日前のレースはハードになることが多く、多くのドラマが待っていることが多い。そしてこのステージでもそんなドラマが待っていた。総合2位でタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG)の最大ライバルであり最大の理解者でもあったヨナス・ヴィンゲガード(ヴィズマ・リースアバイク)が残り21.2㎞の下りコーナーで落車、右鎖骨を骨折してリタイアとなってしまった。状況が変わったことで、ポガチャルは事前の戦術通りチームメイトのアイザック・デル・トロ(UAEチームエミレーツXRG)の総合表彰台争いへのアシストを敢行した。

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歴代最強の男が自らの勝利を捨ててまでもチームメイトであり時期エースをアシストする姿はなかなか見られるものではない。そしてそのまま淡々とペースを刻んでアシストをするだけでレムコ・エヴァネポエル(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ)以外の全員を振るい落としてしまった。残り1㎞を切りデル・トロが自らのステージ優勝を狙いアタックをするも、エヴァネポエルがそれを潰す。だがもう一度アタックを仕掛けると今度はエヴァネポエルが一気に前へ出てゴールを目指す。ポガチャルはそれを見てエヴァネポエルについていくと、必死でもがくエヴァネポエルに対し最後まで腰も上げずに最後までついていった。エヴァネポエルは個人TT以外で初のツール・ド・フランスステージ勝利となった。本格的に仕掛ければ間違いなくエヴァネポエルを仕留められたであろうポガチャルだが、ここはあえて狙うことなくステージ2位で、ライバル達とのタイム差をさらに広げることとなった。デル・トロはステージ3位、そして一気に総合3位まで順位を上げると新人賞ジャージも獲得した。
総合上位勢では19歳のセクサスが粘りの走りを見せステージ4位、だがデル・トロに新人賞ジャージも奪われる形となった。それでも19歳はこのステージでも誰もの想像を上回る走りを披露した。最終的な総合表彰台獲得へ向け、これからまだまだ素晴らしい走りを見せてくれそうだ。
第15ステージは序盤に中間スプリントが設定されていた。そしてこの日の中間スプリントも制したのはヤスパー・フィリップセン(アルペシン・プレミアテック)いまだにゴール勝負で勝てていない男は連日中間スプリントでは先着しまくっており、じわじわとマッズ・ピーダースン(リドル・トレック)との差を詰めてきている。だがこの日のステージでは、既にステージ3勝を挙げているティム・メリエール(ソウダル・クイックステップ)が完走できずにリタイアとなったため、ポイント賞ジャージの行方はイだいぶ絞られてきた。

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そして中盤の残り90㎞でようやくこの日の逃げが発生する。クイン・シモンス(リドル・トレック)に加え、3日連続でトム・ピドコック(ピナレロQ36.5 プロサイクリング)が逃げに乗って見せる。いつかはグランツールの総合優勝を狙うのかというのをたびたび聞かれている世代最強の一角ではあるが、グランツールは自分向きではないと口にしている。それでも自分ならではの勝負方法として総合上位につけながらの連日の山岳でのアタックは、当然総合上位勢を警戒モードにさせるには十分だった。それでもピドコックは何度となく逃げ集団からもアタックを仕掛けるなど、終始攻めの姿勢を貫いた。ステージ終了後に故意に第三者(車)によるアシストを受けたとしてペナルティと罰金が下されたが、それでも3日連続のこのアタックは色褪せ内だろう。
そんな中追走集団がじわじわとペースを上げタイム差を3分台から2分代前半まで縮めたところでアクシデントは突然降ってきた。ヴィンゲガードが何でもない下りコーナーでフロントスリップ、そのまま落車しチームメイトを巻き添えにし、さらにはフェリックス・グロスシャルトナーとデル・トロのUAEチームエミレーツXRG)の二人も巻き込んでしまう。しかし一番深手を被ったのはヴィンゲガード、まったく立ち上がることなく首を横に振る。そのままメディカルチェックを受け救急車に乗り込む形となった。デル・トロは「ポガチャルに突っ込むか、自分が倒れるかだった」という状況で、エースを守るという選択をし自らが落車したが、そこからすぐさま復帰、隊列に戻った。

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そのころ先頭では既にステージ勝利を挙げているマウロ・シュミット(ジェイコ・アルーラ)が独走をしていたが、ゴールまでの最後の上りに突入するとシモンスが追いつきそのまま独走態勢へと持ち込む。その背後では事前の予定通りデル・トロのアシスト役を買って出たポガチャルがペースを作る。これにより最後まで残っていたセクサス、、ホァン・アユソ(リドル・トレック)、フロリアン・リポウィッツ(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ)が脱落していく。ポガチャルは頻繁に振り向きデル・トロのペースに合わせながらの走り、そしてペースの変動がないテンポを刻む走りはエヴァネポエルにとっては吉と出る。

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ポガチャルは最後まで余力を残したままの走りで、まるで我が子を見守るかの如くデル・トロを最後までサポートし続けた。エヴァネポエルがアタックをしてもこの日は獰猛なゴールハンターの顔は影を潜め、最後は余裕をもっての2位となった。エヴァネポエルにとっては念願のロードステージでの優勝、感極まった男の眼には涙があった。

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レムコ・エヴァネポエル(ステージ1位、総合2位)
「気持ちが動転しているよ。本当に最初から最後まできつい一日だったし、今朝はあまり調子が良くなかったんだよ。でも走っているうちに調子が戻っていったんだよ。理解してほしいのは、今歴代最強の男と走っているということなんだよ。今日もデル・トロと組んでやばい走りしてただろ。そのペースについていけたということだけで僕にとっては大きな一歩だったんだよ。僕はいつも”あいつはあのペースにはついていけない”と言われているからね。この心地よさのままに休息日に入れるんはありがたいよ。」
タデイ・ポガチャル(ステージ2位、総合1位)
「本当にヴィンゲガードがリタイアになったのは悲しいよ。彼とは2021年から常に総合優勝を競い合ってきたし、最初はあまりいい関係性ではなかったけど今では最高のライバルであり、お互いを尊敬しているんだよ。彼がいないツールは今までのツールとは違うものになってしまうね。昨日の深夜2時にいきなりドーピングコントトールがあったんだけど、あれで眠りと休息を妨げられたことも、下りでの集中力を欠くことに繋がったかもしれないと思うよ。ドーピング検査が悪いわけではないけど、休息を妨げられるはちょっとね。」

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アイザック・デル・トロ(ステージ3位、総合3位)
「ポガチャルに突っ込むか、自分が落車するか、その二択だったんだよ。だから自分で落車するほうを選んだよ。うちのエースがアシストしてくれるなんて本当にやばいだろ。頭のねじ飛んでるよね。でもだから僕らも全力で期待に応えたいと思うんだよ。」
ヨナス・ヴィンゲガード(リタイア)
「こういう形で大会を去るのは残念だけど、レースとはそういうものだからね。ここまでチームとして順調に来ていたし、幸運なことに鎖骨一本の骨折で済んだからね。ちょっとコーナーへの侵入速度が速すぎて、フロントホイールが滑ったんだよ。あれはどうにもできないよ。あとはチームのメンバーが気持ちを切り替えてステージ勝利を狙ってほしいね。」
ツール・ドフランス第15ステージ順位
1位 レムコ・エヴァネポエル(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ) 4h23’09”
2位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG)
3位 アイザック・デル・トロ(UAEチームエミレーツXRG) +06”
4位 ポール・セクサス(デカスロンCMA・CGM) +58”
5位 フロリアン・リポウィッツ(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ)
6位 レニー・マルチネス(バーレーン・ヴィクトリアス) +1’57”
7位 マティアス・スケルモース(リドル・トレック)
8位 ホァン・アユソ(リドル・トレック) +2’00”
9位 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツXRG)
10位 クイン・シモンス(リドル・トレック) +2’16”
ツール・ド・フランス総合順位
1位 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG) 55h41’31”
2位 レムコ・エヴァネポエル(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ) +5’00”
3位 アイザック・デル・トロ(UAEチームエミレーツXRG) +5’58”
4位 ポール・セクサス(デカスロンCMA・CGM) +6’23”
5位 フロリアン・リポウィッツ(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ) +6’48”
6位 ホァン・アユソ(リドル・トレック) +7’28”
7位 マティアス・スケルモース(リドル・トレック) +9’38”
8位 レニー・マルチネス(バーレーン・ヴィクトリアス) +10’28”
9位 トム・ピドコック(ピナレロQ36.5 プロサイクリング) +11’19”
10位 ジョーダン・ジェガット(トータルエナジーズ) +19’26”
H.Moulinette












