グラベルロードとは何か?昨今話題の事情の裏側とは?原型は1970年台にすでにあった!グラベルロードの楽しみ方を考えよう

昨今よく耳にする用になったグラベルロード、各メーカーがこぞって新機種を投入しているが、そもそもグラベルロードって何?と思われている方も多いのではないだろうか。グラベルとは砂利道のことで、「未舗装路を走るロードバイク」というのが直訳となる。従来はドロップハンドルでオフロードを走るシクロクロスとロードバイクの中間程度のものを指すとされていたが、実は解釈は各メーカーによって異なっており、マウンテンバイクの太さのタイヤを履いたものもある。それを考えた上で、今現在ではマウンテンバイクとロードバイクの中間という位置づけと理解していいだろう。つまりはシクロクロス車も言い換えればグラベルロード、MTBもドロップハンドルにしてしまえばグラベルロードと言えてしまうだろう。それをあえて言い分けるのは業界の大人の事情と理解しておこう。
『これこそグラベルバイク! ©KANSAS』日本やアメリカではアドベンチャーバイク、MTBまでの装備が必要ないオフロード用との位置づけが多いが、ヨーロッパではツーリングバイクの延長上との位置づけであることが多い。そのあたりからもやはり明確な定義はないと言ったほうが的確だろう。実はグラベルロードは、日本ではパスハンターと呼ばれた自転車の後継機種と言うことが出来るかもしれない。1970年台以降、ランドナーやスポルティフと言ったツーリング自転車で旅をすることが盛んだった。そんなドロップハンドルだったランドナーやスポルティフにブロックタイヤを履かせ、そしてストレートハンドルに交換して未舗装路を走るようにしたものがパスハンターだ。ハンドルこそ違うが、未舗装路を走るための設定をされたものがグラベルロードなのだ。
まあ結局のところ、わかりやすくまとめれば「未舗装路を走るために、太いタイヤが使えるようにしたロードバイク」というのが一番わかり易い一文説明かもしれない。
各メーカー趣向を凝らしたグラベルロードが登場しているが、そのきっかけになったのがロード用ディスクブレーキの登場だろう。ロードバイクではキャリパーブレーキだったために使用できるタイヤに制限があった、そしてマウンテンバイクで衰退したカンチブレーキは、シクロクロスでは主流を占めているものの、生産メーカーが減ったことで選択肢が限られていた。またロード用ディスクブレーキも鳴り物入りで登場したものの、プロ選手の多くがその仕様を拒否、メーカーは思惑が外れ行き詰った感があった。
そこで登場したのがグラベルロードというわけだ。パーツメーカーにとってはある意味救世主でもあり、フレームメーカーにとっては新たなジャンルが出来ることで新たな客層開拓ができるという、双方にとってメリットの大きいものとなった。ではMTBやロードでもないのであれば、今市場にあるクロスバイクとは何が違うのか?と聞かれれば、ドロップハンドルである、という程度の差と認識して差し支えないだろう。

『これが元祖グラベルロード ©cunningham』

『トマックのバイクは今ならグラベルロードとも言えるだろう©YETI』
そもそもMTB創世記、伝説のビルダーでもあるチャーリー・カニングハムが1970年代後半に販売していたインディアンは、まさにグラベルロードの原型といえるだろう。まだMTBが産声を上げたばかりであり、トム・リッチーやゲーリーフィッシャーが本格的なMTBを作り始めた頃、C.カニングハムはドロップバーのMTBを作っていたのだ。また伝説のMTB選手、ジョン・トマックもMTBにドロップバーというセットアップで、世界最高峰のレースを戦っていた時期がある。
それ以外にも、グラベルロードという名称が出来るまでディスクロードに太めのタイヤを履かせたり、MTBをドロップバーにする酔狂な遊びをしていた一般人はすでにおり、決してグラベルロードは新しいものではないのだ。それが分野として確立されたことで、様々なパーツが提供されるようになり、手に入れやすくなった。マニアックな遊びをしていた人にとっては、楽しみが減ったという人もいるが、一部の人の酔狂な遊びだったものは、今や一般的なジャンルとしてより多くの人が楽しめるになったのだ。

『KOGAのスノーバイクもグラベルロードの一種といえるだろう ©CT』
様々な専用バイクがでている現在、もちろん市販されているグラベルロードを手に入れるのも一つの手だ。価格帯は比較的お手頃なものが多く、中級ロードバイクの金額でかなりのグラベルロードが入手可能だ。重量をあまり気にすることなく頑丈さが要求されることもあり、フレームはしっかりとしたものということでカーボン層が厚いミドルクラスと同じ素材と構造のもの、パーツはマウンテンバイク用のものが使用されることが多い。
またそれ以外にも、手持ちのバイクを改造してグラベル仕様にするというのも可能だ。ある意味ジャンル名ができたことで、遊びがやりやすくなったとも言えるだろう。一番簡単なのは、クロスバイクやMTBをドロップハンドル化することだろう。これだけで一応はグラベルロードというジャンルには該当するようになる。ディスクロードに太めのブロックタイヤを履かせるというのも、これまたグラベルロードとなる。筆者も1990年台からMTBにドロップハンドルをつけるなどして遊んでいたので、ある意味流行を先取りしていたといえるかもしれない。
グラベルロード、それは至極曖昧な新ジャンルだ。だからこそ遊び方も自由自在、自分なりのグラベルロードを楽しんでみてはいかがだろうか。
H.Moulinette