ブエルタ・ア・エスパーニャ第19st:山頂を制したのは逃げたダンバー!、ログリッチが仕掛けるも爆発力に欠ける、総合はマスが冷静に対応し差がつかずトップ5が一団でゴール

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いよいよ大詰めを迎えたブエルタ・ア・エスパーニャ、昨今のグランツールではタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG)の「攻撃は最大の防御」のスタンスの影響もあり、激しいバトルが繰り広げられることが多いが、ポガチャルリタイア後の総合優勝争いは、それ以前の冷静な対応によるバトルとなった。結果差がつくようなステージでありながら実力差が拮抗、総合リーダーのエンリック・マス(モビスター)が徹底した防御に回ったことで、総合トップ5が揃ってゴールする、全く差のつかないステージとなった。山岳ステージとしては物足りなさもあるが、これが総合優勝をするための選択と戦略でもあるのだ。

©ASO

そんなステージは総合勢の動きを見越してステージ優勝を狙った逃げによる争いとなった。逃げ集団から分裂して4人で迎えた最後の山頂までの上り勝負、残り2㎞でアタックを仕掛けたのは山岳賞ジャージのサンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス)だった。今大会まだ勝利がない山岳賞ジャージは、難関山岳ステージをものにすべく必死の走りを見せる。だがその背後で牙を研ぎ澄ませていたのはエディー・ダンバー(ピナレロQ36.5 ))だった。マイペースで淡々とブイトラゴに迫っていくと、残り500mでブイトラゴを捉えそのまま追い抜いていく。最後は独走で頂上を制し、ゴールでガッツポーズを決めた。

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その7分後方で最後の上りへと突入した総合上位勢は、総合2位のプリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラハンスグロエ)擁するレッドブル・ボーラハンスグロエが牽引をしていく。逆転総合優勝での大会5度目の制覇を目指すログリッチにしてみれば、マスとの1分37秒は一撃で取り返すにはなかなか難しいタイムであり、現実的には背後のフェリックス・ガル(デカスロンCMA・CGM)を抑えることも考えねばならない。そしてその後モビスター、EFエデュケーション・イージーポストと主導権が渡り、残り2㎞でログリッチがアタックを仕掛けた。しかしそれもマスに対応され決定打とはならなかった。結局山頂にトップ5が揃ってゴール、また総合トップ10も僅差で次々とゴール、難関山岳ステージでマティアス・スケルモース(リドル・トレック)が唯一同タイムで総合9位だったクリスチャン・ロドリゲス(XDSアスタナ)に逆転されただけの動きの極めて少ない結果となった。

210.8㎞のアンダルシア山頂決戦は長丁場のステージ、そして総合が僅差でひしめき合うこともあり、逃げ切り容認の公算は高かった。それを察した各チームが激しいアタックの応酬をスタート直後から繰り返す。平均時速が50㎞を超える中でも繰り返されたアタックの末、40㎞ほどを要してスティーヴン・クライズワイク(ヴィズマ・リースアバイク)、アンドレアス・レクネサンド(Uno-Xモビリティ)、ジャシャ・スッターリン(ジェイコ・アルーラ)の3名がまず飛び出していく。そしてそこにさらに4人が合流、80㎞を過ぎてもメイン集団とのタイム差が1分以内で推移しており、さらにそこにダンバーら6名が合流を果たす。

それでもこの日のメイン集団のペースは速くメイン集団はこの逃げをダンバーを残して中盤の2級山岳で吸収してしまう。その背後ではマスが初めての危機を迎える。メイン集団から少し遅れる形となり、チームメイトも不在の状況となるが、まだ中盤ということもあり、ステージ優勝争いを狙う選手たちのアタックの応酬もあり総合系の動きには繋がらなかったことがマスにとっては幸運となった。

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その後ブイトラゴ、レクネサンドを加えた新たな15名の逃げが発生、先を行くダンバーを吸収してこの日の16名の逃げとなった。その背後では疲れ知らずの鉄人、総合4位のリチャード・カラパズ(EFエデュケーション・イージーポスト)が残り95㎞でアタックを仕掛ける。ライバルたちを出し抜く動きに、チームメイトも合流し大きな仕掛けになるかと思われたが、そのチームメイトがメカトラでバイク交換を余儀なくされると、この逃げも吸収されてしまった。そしてここからメイン集団はモビスターとネットカンパニーイネオスによるコントロールが始まり、それが最後の上りまで続くこととなった。

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先に頂上までの山岳ゴール勝負に突入した逃げだったが、アタックの応酬の末にブイトラゴが先行していく。だが今日一番勝利を狙い続けて踏み続けていたのはダンバーだった。諦めることなく最後まで踏み続けると。ペースが落ちてきたブイトラゴをゴール前500mで逆転、そのまま2年ぶりの勝利を挙げた。この日ピナレロQ36.5は、ステージ3位と5位にもそれぞれトーマス・グローグ(ピナレロQ36.5 )とマルセル・カンプルビ・ピフアン(ピナレロQ36.5)が入り、1-3-5というチームとしては最高の結果を残した。

総合勢は結局膠着状態のままゴール、総合が動くと思われた山岳ステージで、総合上位が全く差のつかない昨今では珍しいステージとなった。

エディー・ダンバー(ステージ1位)
「逃げに二人のチームメイトがいたのが大きかったよ。それで要所要所で脚を休められたことでリラックスすることができたよ。正直怪我から調子が上がらず、ステージ優勝なんてできるとは思ってもいなかったよ。本当に信じられないよ。」

エンリック・マス(総合1位)
「明日の第20ステージが人生で一番重要な日になるよ。あと一日の集中、今はそれだけだよ。もう今シーズンも最終盤、そこであと一日だけ持ちこたえるだけだよ。」

第19ステージ順位
1位 エディー・ダンバー(ピナレロQ36.5)   5h00’54”
2位 サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス)   +14”
3位 トーマス・グローグ(ピナレロQ36.5 )   +23”
4位 ウルコ・ベラーデ・フェルナンデス(エキッポ・ケルン・ファルマ)   +44”
5位 マルセル・カンプルビ・ピフアン(ピナレロQ36.5)   +1’44”
6位 アンドレアス・レクネサンド(Uno-Xモビリティ)   +2’01”
7位 ギヨーム・マルタン(グルーパマFDJユナイテッド)   +2’11”
8位 クリス・ハミルトン(ピクニック・ポストNL)   +2’39”
9位 ケヴィン・ファルマルケ(UAEチームエミレーツXRG)    +3’03”
10位 セルジオ・サミティア(コフィディス)   +3’17”

ブエルタ・ア・エスパーニャ)総合順位
1位 エンリック・マス(モビスター)  65h52’03”
2位 プリモズ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグロエ)   +1’37”
3位 フェリックス・ガル(デカスロンCMA・CGM)   +3’01”
4位 リチャード・カラパズ(EFエデュケーション・イージーポスト)   +5’17”
5位 オスカル・オンリー(ネットカンパニー・イネオス)   +6’03”
6位 ヤコブ・オムルツェル(バーレーン・ヴィクトリアス)   +7’06”
7位 クレメント・ベルセット(グルーパマFDJユナイテッド)   +7’57”
8位 クリスチャン・ロドリゲス(XDSアスタナ)   +8’21”
9位 マティアス・スケルモース(リドル・トレック)  +9’06”
10位 ハロルド・テハダ(XDSアスタナ)   +10’27”

H.Moulinette