ジロ・デ・イタリア第21ステージ:最終TTで総合優勝が決着!ゲイガン・ハートが最終日でマリア・ローザ獲得!ヒンドリーは惜しくも2位!ステージ優勝はガンナが4勝目!

最終日を総合1位と2位が同タイムで迎えるというグランツール史上初の事態、最終個人TTまで勝利が決まらないというまさかの展開もついに決着した。TTが得意かどうかで決着する形になったが、最後まで素晴らしい大会となった。

©Giro d’Italia
そんな最終ステージを制したのはまたしてもフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス)、現個人TT世界チャンピオンが、今大会全ての個人TTを制して見せた。それに加えて通常ステージでも1勝の合計4勝となった。

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最終日を総合2位でスタートしたタオ・ゲイガン・ハート(イネオス・グレナディアス)は、中間計測で徐々にジェイ・ヒンドリー(チームサンウェブ)を突き放し、大逆転で総合優勝を手にした。ヒンドリーは最終日を総合リーダーの証、マリア・ローザでスタートをしたものの、逆転を許し総合2位に終わった。そして総合3位でスタートしたウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ)はそのまま順位をキープ、逆転を許さず総合表彰台の両端をサンウェブが獲得することとなった。

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今大会を盛り上げたジョアオ・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)は、素晴らしい走りでこの日もステージ4位に入り、一つ総合順位を上げ総合4位で大会を終えた。ネオプロとしての大快挙こそ逃したが、その名をしっかりと、歴史とファンの心に刻み込んだ。
総合1位と2位がともに新人賞枠だっただけではなく、新人賞争い3位で総合4位のアルメイダもまだ22歳と今大会は完全に世代交代が大きく進んでいることを感じさせる大会となった。
ポイント賞はアルノー・デマール(グルーパマFDJ)が獲得、サガンを抑えて勝利を量産したことで紫の、マイヨ・チクラミーノを獲得した。山岳賞はルーベン・ゲレーロ(EFプロサイクリング)が獲得、総合系の選手を抑えての獲得となった。また敢闘賞は逃げ職人のトーマス・デ・ヘント(ロット・ソウダル)が獲得した。

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チーム総合はイネオス・グレナディアス、2位にはドゥクーニンク・クイックステップが、そしてチームサンウェブが3位に入り、今大会目立った3チームがそのまま結果にも表れている。
ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアス)のアシストとして今大会に参加したゲイガン・ハートはエースを第3ステージで失ったチームに”予想外”の総合優勝をもたらす結果となった。「正直大会前は夢でもグランツールの総合優勝なんて可能だとは思わなかったよ。僕は選手生活の中で、常にトップ10入り、トップ5入り、という風に目標を掲げてきたんだ。だからまだこの優勝に現実味がないんだよ。自分の中でこの状況を咀嚼して理解するまでには相当時間がかかると思うよ。」
ステージ優勝を挙げたガンナは、「今は自分の勝利よりもタオの総合優勝のほうが嬉しいよ。今朝彼の顔を見たときに、今日はチームとしてのステージ7勝目とマリア・ローザを獲得できる、と確信が持てたんだよ」とこの日の結果を予見していたことを笑顔で語った。
一方で最終日にジャージを失ったヒンドリーも、ケルデルマンのアシストとして大会に臨んだことを考えれば、この総合2位という結果は予想をはるかに超えた大躍進と言えるだろう。「難しいとはわかっていたけど、最終日にマリア・ローザを失うのはやっぱりがっかりだよ。でも今大会を振り返ったとき、この結果には誇りを持てるよ。この結果はチームにとっても最高の形となったしね。今年のジロは僕の選手生活を一変させるかもしれないし、この大会のことは一生忘れないよ。」サンウェブにとってもヒンドリーの可能性の開花は予想を大きく上回っただろう。
今大会は季節も含め例年の大会とは違う状況ではあったが、最後の最後まで目が離せない、そして若手の台頭を露骨なまでに感じさせる素晴らしい大会となった。しかしそのすべてはゲイガン・ハートのレース後のこの言葉に集約されている気がする。

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「今は勝利をじっくりとかみしめて味わうよ。でもこれからも僕は選手としても、人としても今までと変わらないよ。毎日朝起きて。自転車に乗ることを楽しみにして、妻を愛して、今の境遇に感謝をして、このチームでレースができることに感謝して生きていくんだ。」
ジロ・デ・イタリア第21ステージダイジェスト
ジロ・デ・イタリア第21ステージ順位
1位 フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアス) 17’16”
2位 ヴィクトル・カンペナールツ(NTTプロサイクリング) +32”
3位 ローハン・デニス(イネオス・グレナディアス)
4位 ジョアオ・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ) +41”
5位 マイルズ・スコットソン(グルーパマFDJ)
6位 ヨセフ・チェルニー(CCCチーム) +44”
7位 チャド・ハガ(チームサンウェブ)
8位 ブランドン・マクナルティ(UAEチームエミレーツ) +46”
9位 カミル・グラデック(CCCチーム) +47”
10位 ヤン・トラトニック(バーレーン・マクラーレン)

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ジロ・デ・イタリア総合順位
1位 タオ・ゲイガン・ハート(イネオス・グレナディアス) 85 h40 21”
2位 ジェイ・ヒンドリー(チームサンウェブ) +39”
3位 ウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ) +1’29”
4位 ジョアオ・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ) +2’57”
5位 ペッロ・ビルバオ(バーレーン・マクラーレン) +3’09”
6位 ヤコブ・フグルサング(アスタナ) +7’02”
7位 ヴィンチェンツオ・ニーバリ(トレック・セガフレド) +8’15”
8位 パトリック・コンラッド(ボーラ・ハンスグロエ) +8’42”
9位 ファウスト・マスナダ(ドゥクーニンク・クイックステップ) +9’57”
10位 ヘルマン・ペルシュタイナー(バーレーン・マクラーレン) +11’05”
山岳賞
ルーベン・ゲレーロ(EFプロサイクリング)
ポイント賞
アルノー・デマール(グルーパマFDJ)
新人賞
タオ・ゲイガン・ハート(イネオス・グレナディアス)
敢闘賞
トーマス・デ・ヘント(ロット・ソウダル)
チーム総合
イネオス・グレナディアス
H.Moulinette