明暗くっきり、マクラーレンをスポンサーに迎えるバーレーン・メリダに対し、チームスカイは2019年度限りでメインスポンサーのスカイと21世紀フォックスを失うことに
ここへ来て有力チームの明暗がくっきりと分かれた。来シーズンバーレーン・メリダはF1などで有名なマクラーレンをチームスポンサーとして迎えることを公表した。それに対してメインスポンサーであるスカイがコムキャストに買収されたことで、2021年まで続く予定であった契約が2019年限りで打ち切られることとなった。
バーレーン・メリダはチーム名はそのままに、F1などでその名を轟かせてきたマクラーレンが技術開発としてチームへ参加、最強チームを目指すこととなった。マクラーレンはすでにスペシャライズドと共同開発などを行っているが、ニーバリとも繋がりが深く、今回のチームへの参加となった。来シーズンはメリダと協力しての開発を行い、順当にいけば2020年度にはメインスポンサーとして名乗りを上げる可能性が高いと言えるだろう。
それに対して最強チーム、チームスカイが一転苦境に立たされることになりそうだ。多くの高額年俸選手を抱えるチームスカイのメインスポンサーであるスカイと21世紀フォックスは共同でチームスカイの運営会社の株式も全て保有していた。そんな中でスカイへの買収劇が表面化、するとコムキャストが21世紀フォックスの提示額を上回る金額でスカイを買収してしまった。これにより当初2021年度までは継続される予定であったスポンサードが2019年度限りで打ち切られることとなったのだ。これはコムキャストがチームスカイのブラッドリー・ウィギンスのTUE(治療目的例外措置)悪用疑惑、さらには昨年度シーズンをにぎわせたクリス・フルームのサルブタモール問題、さらにはジャンニ・モスコンの人種差別発言と暴行事件というチームのグレーなイメージを嫌い、打ち切りを決断することとなった。それに伴い残された21世紀フォックスも単独でのスポンサーを断念、今回の発表となった。
クリス・フルームは2021年度まで契約を残しており、ツール連覇を宣言したゲラント・トーマスは他チームのオファーを蹴ってチームスカイと契約を延長したばかり、さらには将来のグランツールエースとの呼び声高いイーガン・バーナルとは長期5年契約を結んだが、それら全てが一気に危機的状況に立たされることとなった。選手たちは新たなスポンサー獲得に期待を寄せているが、高額なチームの運営資金と年俸がネックとなり、簡単には名乗りを上げるところなさそうな雰囲気だ。さらにはマイナスイメージ払拭の為にもいろいろと動かねばならず、最強チームが開幕を控え頭を抱える事態となった。
チーム運営はスポンサー頼みなのが現状であり、これこそが改善と改革が急がれる問題点だけに、この騒動をうけてUCIがどう動くのかにも注目が集まる。果たして来年度中にチームスカイは新たなスポンサー獲得ができるのか、そして来シーズンバーレーン・メリダはバーレーン・マクラーレンとなるのか、関心は尽きない。
H.Moulinette